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第十六章 三重苦 ~股関節痛、寝不足、ピッチ不良の三重苦で悪戦苦闘~

 先週の試合は、チームとしても個人としても楽勝であった。が、今回の試合は、チームとしても個人としても悲惨なものとなった。

 股関節痛、寝不足、ピッチ不良の三重苦をなんとかせねば……。

今日のシニアサッカーは、市リーグ第2節。相手は、昨年優勝チーム。我がチームの参加者は13人と交替要員に余裕がない。だが、一試合フル出場は何としても避けなければ……。

 なぜ、そんなネガティブなことを言うのか、というと前回の試合から1週間しか経っていないからか、ウォーミングアップをしてみると股関節の状態が思ったよりも芳しくないのだ。しかも、昨日3時起きで松本市まで花見に行き、昨夜も5時間ほどしか寝ておらず、寝不足なのだ。この試合が終わってから家人とイタ飯屋でランチをする約束をしている。何としてでもケガをせず、外食する体力を温存しておかなければならない。

 試合前のミーティングでは、監督から前半フル(30分間)出場、後半は、10分で交替の40分間出場がノルマだと言われた。ハーフ30分間フル出場……。いまの私には過酷なミッションである。県リーグのチームでは、前半15分間、後半15分間と刻んで出場させてもらっているので、30分間出ずっぱりは慣れてもいないのだ。

 しかも、今回のシステムは、監督が日本代表のマネをして3-4-2-1。私のポジションは右WBウイングバック。日本代表では、伊東純也が務める攻撃の核となるポジションである。だが、私にとっては、最も苦手な「持久力」を要求されるポジションなのである。

「こりゃ困った。どうなることやら……。」

と不安になりながらのキックオフ。

案の定、常に上下に動いたり、サイドに開いたりと大忙しである。マイボールになる度に上がり、相手のボールになる度に下がらなくてはならない。この繰り返しが非常につらい。伊東や堂安はよくやれるものだ、さすがだ、でも、オレには無理だ、などと考えながら上下運動を繰り返していた。息が上がり、大変苦しい。先週の試合では、こんな思いなど皆無だったのに……。寝不足の影響で救急車案件か?などと大袈裟なこと

まで考える始末である。

 と、その時、相手から右サイドの選手にパスが出た。咄嗟に追いかけようと踏ん張った瞬間、足を滑らせて転んでしまった。その辺りは芝が剥げており、おまけに露出した土は粘土質のため、大変滑りやすいのだ。しかも、その後、2回も滑って転んだ。監督からは、

「何回滑るんだ!慣れろ!」

となじられた。もう踏んだり蹴ったりである。

 このままでは、股関節痛だけでは済みそうにない、ランチに行く体力もなくなる、となんとかせねば……。

 ここで一句

 三重苦 克服せねばと 乞う交代


 午後のランチという絶対命令を遂行させるために苦肉の策に打って出た。息が上がって苦しいから交代させて、では恥ずかしいので、

「滑って転んだ際に、股関節痛がひどくなり、走れないので交代させて。」

と、監督に申し出たのだった。

 私が交代を申し出る前にも肉離れで交代した味方選手がいたので、これで、交替選手はいなくなり、脚を攣ってビッコを引きながらも奮戦する選手もいた。試合結果は、0対11という惨憺たるものであった。

 だが、私の午後のミッションは、コンプリートできた。

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