第十四章 青春の蹉跌 〜タイムスリップして中学生のオレに意見してやりたい〜
章題の「青春の蹉跌」とは、私が中学生の頃に上映していた映画である。ある若者が人生の岐路を誤り、罪を犯すという話である。
近所の鍼灸院に行った。以前から痛めている股関節の痛みが全然治まらないからだ。その鍼灸院は、私の小中学校時代の1年後輩が営んでいる。同じサッカー部員として汗を流した仲でもある。今は、別のシニアサッカーチームに所属し、新年度の県リーグ開幕戦
の対戦相手である。そんな話を、治療ベッドで施術を受けながらした。
ひょんな話から、中学校時代の女子の話になった。私の2つ上の姉やその友達とか、ある先輩女子がとても綺麗だったとか、生徒会役員のだれそれが、非常にモテたとか、などなど。
そんな懐かしい話の中で、彼の同級生の女子の話が出た。1年生の途中に、東京から転校してきた彼女は、色白のスラリとした美人で、英語もペラペラ。まさに才色兼備で、他の田舎の女子と比べると、キラキラ輝いていて、同学年の男子にとってはマドンナのような存在だったそうだ。私は、そんな「昭和学園ドラマの転校生」みたいな女子が1年後輩にいたんだ、と名前を聞いてもピンとこなかった。
そんな女子を野郎らが黙って指をくわえていたわけもなく、いろんな男子が果敢に告白したが、皆、けんもほろろだったそうだ。私の幼馴染のジャイアンみたいな奴も「オレと付きあってやってもいいぞ」と上から目線で告白して見事に撃沈した話を聞き、
「奴らしいな」
と思った。
他の哀れな男たちの武勇伝を聞くうちに、
「あれ~?」
となにやら思い出が蘇ってきた。放課後の玄関前。一年後輩の生意気そうな女子が私に手紙を渡してきた……。
「その子、スラっとしてた?」
「してましたねぇ…。」
「オレ…、その子に告られた…?」
と私は彼にボソリと言った。彼は驚き、
「え?告られた?で、どうしました?」
と聞いてきたので、
「まったく知らない女子だったし、人づてに手紙を渡してきたので、返事もせず、完全に無視してた。」
と言った。彼は目を丸くさせながら、
「我らのマドンナを振るなんて、とんでもない……。」
と驚き、嘆いた。
「だって、当時は、粋がって女子に興味ないふりをしてたんだよ。しかも下級生の女子なんか知らないし、そんないい子だったなんて……。馬鹿だよね~。」
当時の私は、『俺は男だ』というテレビドラマなどの影響もあり、「男が女などとチャラチャラするなど言語道断!」などと捻じ曲がった愚かな考えを持っていた。そのため、女子から告白され、内心はうれしかったのだが、つれない態度をとったのだ。他にもそんなこと
がいくつかあった。今となれば、本当にもったいない、馬鹿なことをしたもんだ、と今度は私が嘆いた。
ここで一句
股関節 刺したつもりが 胸刺され
その手紙には、〇〇先輩と付き合っているといううわさは本当か、そうでなければ…、という内容だったような…?
でも、実は、彼の言うマドンナではなく、まったくの別人だったかもしれない…。それほど記憶が定かではないが、この甘酸っぱい話は、しばらく尾を引いた(笑)




