第十三章 年寄りの冷や水 〜中学生のサッカー練習に飛び入り参加したOBの爺さん、大丈夫?〜
地元中学校のサッカー部の練習に飛び入り参加。読者の皆さんの期待通り、お約束の結果となった。
ある日の日曜日、地元の中学校でサッカー部の1年生が富士川河川敷グラウンドで練習をしていた。ここのOBであることを指導者に告げ、練習に参加させてもらった。
中学1年生とのサッカー。年齢差は50数歳。だが、サッカー経験者は数名。大人げないプレイはせず、遠慮しながら要所要所で玄人っぽいところを見せながらプレイすればいいか、と思いながら、生徒が集合するのを待ちながらアップをした。
「おじさん、そんな年でサッカーできるんですか?」
とニヤニヤしながら興味深かそうに何人かの子どもに質問された。長々説明するのも憚れたので、「ここのOBだから一緒にやらせて。」などと適当に答えた。
全体での準備運動後、4つにチーム分けをし、人数が少ないチームに混ぜてもらった。ピッチの広さは、4分の1。1試合10分間GKなしのミニゲーム。3日後のシニアサッカーのいい練習になりそうである。
1試合目。味方も相手も私がどれくらいできるのか、動けるのか全く知らない。試合開始後、フリーでもなかなかパスが回って来ない。60過ぎの年寄りにパスしても無意味と思うのも当たり前である。怪我をされても迷惑だろう。
そうこうしているうちに、ボールが中盤右サイドにいた私のところにこぼれてきた。やっと実力を見せられると思い、ワントラップし、ルックアップすると、ゴールまで誰もいなかった。ドリブルも選択できたが、距離が近いため、その場からミドルシュート。ボールは、無人のゴールに吸い込まれていった。
子どもたちは皆、ビックリ。私としては当たり前のプレイなのだが。チームには唯一クラブチームでもサッカーをやっている子どもがいた。私のゴール後、その子は、積極的に私とのパス交換をするようになった。やっと「サッカー」をしている気分になった。
試合の中盤では、その子との連続壁パスを成功させるなど、いい展開で試合を進めた。が、相手チームの上手な子に2点も決められてしまった。
では、そろそろ本領発揮といかせてもらおう、とパスを中盤で受けてドリブル開始。軽々と一人抜き、もう一人抜いて加速してゴールに向かおうと、ボールを長めに前に出した。思いの外ボールが速く転がり、ゴールラインを割りそうになる。慌ててボールに追いつき、脚を伸ばし、ボールを足元に収めようとした。その瞬間、バランスを崩して派手に転がってしまった。笑い声があちこちから聞こえる。
「おじさん、大丈夫ですか?」
とにやけた顔で駆け寄る子に
「大丈夫、大丈夫」と返事をしたが、まさに「年寄りの冷や水」。恥ずかしさ無限大である。青空がやけに眩しかった。
ここで一句
追いついた つもりがコケて 青天井
この転倒で、痛めていた股関節をさらに痛めてしまい、3日後の試合は辛かった。




