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ケモ耳メイドは辟易する


「お嬢様。1ーDの協力要請の件ですが、二日後の午後から妃教育が予定されておりますので、お嬢様がお城に上がられている間に要件の確認に行かせて頂きます。私の代わりにはリンが控えますのでご安心下さい」


 企画書に目を通した私は、旦那様に直通の通信器でお嬢様の側を離れる許可を頂きました。

 王城までの送迎はいつも通り、王太子殿下と一緒なので、お城からも精鋭の護衛がつくしボルク家からも獣人のリンがしっかりガードしてくれるだろうから安心。


 殿下に至っては、私がいない方がお嬢様を独占出来るから嬉々として承諾してくれました。


 まぁ、若干一名何やらぶつぶつと呟いていますが無視いたしましょう。




♢♢♢♢♢♢♢♢




「ノワールと申します。本日はお忙しい中、時間をいただきありがとうございます」


 ランチをいただいた後、お嬢様をお見送りし1ーDクラスに向かいました。

 

 Aクラスは以前も伝えた通り、高位や国での重責ある貴族かつ成績上位者の方が在籍されています。

 Bクラスは貴族籍で成績も中の上あたりの方が多く、Cクラスは貴族籍で成績が平均的な方や裕福な商家の方などがいらっしゃいます。

 ちなみにDクラスは、商家や平民の成績が優秀な方々で構成されています。

 そのDクラスが学園祭で企画したものは現在の流行りを取り入れたものが多く、毎年学園祭での人気投票では上位を独占しているそうです。


 そのDクラスの企画者であるセッツ・ライナー様は150センチ位の小柄ながら、縁なし眼鏡をかけた女性。真っ直ぐな黒髪に、緑の瞳ですが日本人形の様な可愛いらしい方です。


「そんなに畏まらないで。私とあなたは()()平民なんだし。ねぇ、るーちゃん?」

「そうね。せっちゃんと私は()()だもんね」


 二人でくすくす笑っていると、周囲で様子を見ていたクラスメイトの方々が恐る恐る口を開かれました。


「……あの、お二人は……そのぉ、お知り合い?だったのですか?」

「そうですよ。セッツさんのお父様であるライナーさんは公爵家専属のバイヤーなので、子どもの頃から一緒に邸に来られてたんです。かれこれ4年近くの付き合いですね」

「そんなになるのか〜! るーちゃんとは一緒に()()()()()してきたけど、時間が過ぎるのはあっという間だね〜」


 せっちゃんの口調が私との普段通りになってきたのだけれど、余りにも普段と違う様で周囲の皆さんの方が戸惑っていますよ? せっちゃん大丈夫なの?


「それでは、今回の学園祭の出し物について話を詰めていきましょう!」


 せっちゃんの言葉にクラスの皆様がはっとし、それぞれが手にした物をちらっと見る。

 ……そういえば私、『モデル』って話でしたね。


 女生徒数人に教室の片隅に作られた個室で360度デッサンを取られました。

 合間合間で色々な質問が飛んできます。


 獣人のメイドさんや侍従は昔に比べて増えてきていますがそれでも少数。

 しかも、その殆どは貴族家に仕えていて市井で目にかかる事はありません。


 メイド服のデザインはデザイナー希望の方々によってあっという間に終わったのですが、質問が止まらないのです……こんな事ならリンにこちらを任せても良かったのでは? 失敗しました。


「あの! ノワールさんは5年前の襲撃事件で活躍されたメイドさんなんですよね?」

「王宮の騎士団で訓練されているとか?!」

「ボルク令嬢のスキンケアはノワールさんがされているのでしょう!? 愛用の品が知りたいのですが」


 はい、襲撃事件で自ら突っ込んでいったメイドは私です。

 今でも騎士団第四師団であらゆる技を仕込んでおります。第四師団というのは秘密ですが。

 愛用の品はせっちゃんに聞いて〜っっ


 あまりにぐいぐいと迫ってくるので、早めに切り上げてしまいたい私は次々と答えていきます。

 間に『ノワールさんの好きな下着のメーカーは?』とかいう訳のわからない質問もありましたが、流れで答えてしまいましたけど……。



「ノワールさん! バーンズ卿との婚約式はいつ頃の予定ですか!?」




 ………はぁ?!?! 何ですか、その質問!?



読んでいただきありがとうございます。

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