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ケモ耳メイドはモデルになる?


 学園祭の準備が本格的になってまいりました。


 前世での学園祭を思い浮かべ、ちょっと浮かれる私です。

 学生の三大イベントといっても過言じゃない上に異世界でお貴族様のいらっしゃる学園ですよ!

 きっと私が思いつかない様な事をするんだろうな〜と期待してました。


 でもね、よく考えたらこの世界ってゲーム(日本)が主軸だったのですよね。

 耳に入ってきた単語は私に馴染みのあるものばかりでした。懐かしい……!


 それでもルカス様、そしてキンディラン公爵令嬢の在籍する1ーAクラスは高位貴族や成績優秀者が多くいらっしゃいます。

 しかも王太子殿下の婚約者である、お嬢様もです。


 その1ーAクラスは『現在の国が掲げている平民や獣人の生活向上の政策を若者視線から捉えた改良案』という、一見国に喧嘩売ってんの?という展示物です。

 でも、いいんですって。

 

 これから国を担っていく若者が『国の事をこれだけ考えている』という、一種の卒業後の進路希望含めた自分アピールでもあり、その展示物を見た国の要職の方々は、今の若者の思考や能力を図る事が出来、優秀な者は青田刈り出来るという、お互い『うぃんうぃん』なこの展示。

 

 私の記憶の中の学園祭と随分違うわぁ〜。



 


 ランチで毎日の様に会う王太子殿下とルカス様は生徒会役員。

 そしてお嬢様も殿下からの熱い要望により学園祭実行委員会に入った為、気づけば自然とお食事しながらの打合せが始まります。

 私は黙々とランチを堪能させて頂きつつ耳だけはお嬢様方に向けています。


「3ーCと2ーBと2ーCと1ーDは喫茶店という事ですが、再度企画書を確認したいと思います。出来ればクラスの要望は叶えたいと思いますので、話し合いの場を持ち、其々の特色を引き出した喫茶店にして頂きたいと思っています」

「そうですね。飲食店は複数あった方が人が分散されて良いと思います」

「ただ、この………1-Dのメイド喫茶……というものなのですが、」


 お嬢様がとても言いづらそうにしながら私をちらりと見ました。

 

 あ、やば! 大きく切ったお肉を齧り付くとこでした。お行儀悪いですね! ちっさく切りますっ

 

「………動物の耳と尻尾を付けたメイドが接待する喫茶店という事で……ノワールにモデルをしてもらいたいとの依頼が……」

「ほぇ?」


 お肉を口に入れる前にお嬢様から聞かされた言葉に間抜けな声が出てしまいました。

 ちなみにお隣でそれまで真剣な顔をして話を聞いていたルカス様の持ってる羽根ペンがボキッと折れました。


「すみません、ボルク嬢。その企画書の内容と発案者の確認をしたいので見せていただいてもよろしいでしょうか?!」


 ひぃ〜っっ あの顔、滅多に見れない怒りのメーター振り切った時の一樹の表情ではないかぁ!


 そして企画書を一枚一枚ゆっくりと目を通しながらぶつぶつ言っていますが大丈夫?


「企画者が……セッツ・ライナー? 聞いた事がない名だな……何故ノワたんに声を掛ける……貴族派……が提携? ミレージュ洋裁店? ……」


 お肉を食べてる雰囲気では無くなってしまいました。

 目の前にはおろおろしているお嬢様と、そんな様子すら愛おしいと言わんばかりにデレている王太子殿下が……誰か早くルカス様を止めてくれないでしょうか?


 あれ? そういえば、先程ルカス様が企画者のお名前を口にされましたね。()()()でしたよね?

 そのお名前には覚えがあります。


「殿下、その企画書ですが私が見てもよろしい物でしょうか?」

「構わないよ。―――ルカ」


 それまで黒い靄を漂わせていたルカス様は、はっとなり、手にしていた企画書の束を机で整えた後、私に「どうぞ」と笑顔なのに目が一切笑っていない表情で書類を渡してくれました。


 ………早く目を通してしまいましょう。


 企画書にざっと目を通す。……うん。この癖のある左上がりの文字と、端々から感じ取れる自己中ぽい文章……。


 これは()()()()()だろうなぁ……。


 多分、お断りの返事をしてもありとあらゆる搦め手を使ってきますね。諦めて協力いたしましょう。




読んでいただきありがとうございます。

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