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07 【冷たい結晶華】  作者: 非常口どん八
第五章 冷たい結晶華

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22 機関銃の弾が当たらないほどに優秀な諜報員

 そのように、考えに浸っていると、

「ん? どうか、したの?」

 と、フロリストこと、花園静華が聞いてきた。

「ぽ、よ?」

 パク・ソユンが、首を傾げて反応する。

 まあ、何故お前が不思議そうな顔をするのか、というところだが、

「ああ? もしかして……? ここから逃げることを、もしくはアナタの御友人、お仲間が来ることを、考えてたりしてました?」

「ぽよ」 

「まあ……、今、ここから出るのはちょっと、無理かもしれないわ」

「ぽよ」

「コラ。いいかげん、ちゃんと『ぽよ』以外で答えなさい」

「うん。無理ぽよー」

「……」

 と、花園静華は推察して聞くも、ぽよぽよ答えるだけで会話を進展させてくれないパク・ソユンに沈黙する。

「まあ、とは言え、いちおう答えてあげないと、話が進まないから、仕方ないから答えるけどさ? ダムって言ったからには、山奥なんでしょ?」

 パク・ソユンが、答えながら聞く。

「ええ。さすがのアナタでも、簡単に下山するのは、無理かもしれないわ。まあ、スキーで、降りれるのかもしれないけど」

「まあ、別に、逃げようとは思ってないんだけど」

「え? じゃあ、このままデートしたいってことね♪ うれしいわ、ソユン」

「はぁ、私は、絶対嬉しくないんだけど」


     ***     


 ――ザッ、ザッ……

 雪に、降り立った。

 ――ヒュ、オォォー……!!

 と、吹雪くダムの堤防の上、

「う、うわぁぁん! ふ、吹雪が!」

 ドン・ヨンファが、吹雪に心折れるように叫び、

「ああ”!? うわぁぁん、じゃねえってんだよ! うるせぇんだよ、タコ!」

 と、キム・テヤンが怒鳴る。

 まあ、お前の声も、充分にうるさいというところだが。

「まったく、よぅ! こんなとこにドライブってか、デートってか、センスなさすぎだろがッ! このフロリストってヤツは、よぅ!」

「まあ、もしかすると、ダムの中はけっこういい感じかもしれないじゃないか」

「おいおい、真面目に答えてくれるなよ」

 と、答えながら丸サングラスが雪塗れになるカン・ロウンに、キム・テヤンが勘弁してくれよと言う。

「ったく、あのタヌキも、よぅ……、俺たちを落とすだけ落としていきやがってよ」

「確かに、潜入まで、手伝ってほしかったけど、仕方ないな」

 と、カン・ロウンはキム・テヤンに同意しながらも、妖狐がついて来てまではくれないことを諦める。

 そのまま、続けて、

「まあ、“葛葉”や魔界植物の偵察によって、内部の様子はある程度分かる、か――」

 と、カン・ロウンは、タブレットで確認する。

 確かに、“葛葉”の蔓葉が巻き付いており、ダムの内部の3次元マップが表示されていた。

「いちおう、遠隔で、サポートもしてくれるようだけどよ」

 キム・テヤンが、そう言うと、

「罠とかは、無いんだよね?」

 と、ドン・ヨンファが、心配するように聞いてきた。

「知るかよ! まあ……、“ある”もんだって考えて、潜入すべきだろう」

 キム・テヤンが答える。

 その流れで、

「とりあえず、分かれて潜入するか」

 と、キム・テヤンが切り出した。

「分かれて――、だって?」

 ドン・ヨンファが、聞き返す。

「固まって行っても、仕方ねぇだろ」

「そうだな。万一、罠にかかった時を考えたり、フロリストを追撃するの際にも、二手に分かれておいたほうがいいだろう」

「あっ、そっかぁ」

 と、三人は話しながら、二手に、2・1で分かれる流れになる。

「で? どう別れるか?」

 カン・ロウンが、聞くと、

「ああ”? んなもん、俺が単独で、ロウンとヨンファのふたりで別れるしかないんじゃねぇか」

「え? ひとりで大丈夫かい? テヤン」

「あぁ”ん? 子供のおつかいみたいに聞きやがって、てめぇに言われたくねぇってんだよ!」

 と、キム・テヤンが、鬱陶しそうにドン・ヨンファに言う。

 その横から、

「まあ、テヤンに関しては大丈夫だろう。いちおう、007と同じく、元情報部だからな。潜入は、御手のものだろう。バンジージャンプからの、ダムの、秘密基地に潜入したり――、バイクから、崖からセスナに飛び乗って脱出したり――」

「けっ……、んなこと、できっかよ」

 キム・テヤンは舌打ちしつつ、昔見た映画が頭に過ぎる。

 その傍らで、

「あれって、何で、機関銃の弾が当たんないんだろうね?」

「さあ、優秀過ぎて機関銃の弾も当たらないんじゃないか。あるいは、機関銃の弾が当たらないほどに優秀な諜報員なのか」

「え? どっちもいっしょじゃないか、ロウン」

「ああ”! うるせぇってんだよ、タコ! 何余計なことごちゃごちゃ言ってんだよ!」

 と、カン・ロウンと話すドン・ヨンファに、キム・テヤンが鬱陶しがって怒鳴る。

 まあ、これは無理もない。

 本題に戻って、

「まあ、とは言え……、気をつけてな、テヤン」

「ああ。いちおう、タヌキの妖具も使わせてもらう」

 と、用心するよう心配するカン・ロウンに、キム・テヤンが答える。

 そうして、準備を整えて、

「さて。――では、潜入しようか。我らが、ピーチ姫を助けに行かないとな」

「え? “アレ”が、ピーチ姫?」

「けっ、あんなもん、ピーチ姫じゃねぇだろが。どうせ、ケロッとしてやがんだろうが」

 と、決めるように言ったカン・ロウンに、ドン・ヨンファとキム・テヤンのふたりが返す。

 そんなに心配していない様子だが、裏を返せば、パク・ソユンのことを信頼しているということなのだろう。

 まあ、もう少し、まともに心配しろという話だが。

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