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母子ともに侯爵様に溺愛されてます!  作者: 海野豹香


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8/19

変わったことと変わらないこと


ヴェルダーも3歳になり、最近は屋敷中でイタズラをして執事長や侍女を困らせている。


「おとうさまー!」


領主の仕事を終えて帰宅したエドワードに飛びつくのはいつもの光景だ。


「ただいま。ヴェル、いい子にしてたか?」


エドワードがヴェルダーの頭に手を置く。


「うん!ぼくいい子だったよ!」


満面の笑みで答えるヴェルダーの後ろで、執事長がげっそりした顔で立っていた。


「本当に坊ちゃんはお元気でございますな」


屋敷中の侍女たちもヴェルダーの追いかけっこやかくれんぼでヘトヘトの様子だった。


エドワードがヴェルダーをひょい、と抱っこして、私にただいまのキスをする。


「いいなー!ぼくも!」


ヴェルダーの頬にキスをして笑い合った。




---------



ヴェルダーの出産から3年経ち、私も体調を崩すことはほとんどなくなった。最近は侯爵家の仕事を少し手伝わせてもらったりしているのだ。


魔物との戦闘があって荒れた山林などを、私の植物を育てる魔法で復興させる仕事だ。帝国軍本部の復興部隊とともに任地へ向かうし、魔物は討伐された後なのでそれほど危険な仕事ではないが、広範囲にダメージがある場所では多くの魔力を使うし、長丁場になることも多い。


エドワードはいまだに私の身体を気遣って、侯爵家の仕事に私を巻き込むことを避けていた。


でも、私が彼のために頑張りたかった。

「エドワードが救ったものを、私が守りたい」この気持ちはずっと変わっていなかった。


何度もエドワードを説得し、彼がそばにいることを条件に、帝国軍本部の復興部隊に所属している。


エドワードの炎の魔法によって焼けた野原が、少しずつもとの自然を取り戻していく様を見て、そこに住んでいる村民たちが口を揃えて「ありがとうございます、ソフィー様、エドワード様」と涙を流しながら言ってくれる。


私はとてもやりがいを感じていたし、グレンブルク家の人間としてエドワードの力になれることが嬉しかった。



---------



みんなで夕食を食べて、ヴェルダーをベッドに寝かせる。ヴェルダーを挟んで、3人で川の字になって絵本を読み聞かせた。いつも通りたくさん遊んで疲れていたのか、ヴェルダーはすぐに眠りについた。


私とエドワードは、ヴェルダーを起こさないようにそっと部屋をあとにする。


「今日もぐっすりだったわね」


「ああ、たくさん走って疲れたんだろうな。ソフィーもお疲れさま」


エドワードと私の部屋でソファに腰掛け、寝る前に二人でおしゃべりするのが最近の日課なのだ。


「そういえば、ソフィーにお願いしたいことがあるんだ」


「なにかしら?」


「今年は雨が少なく、グレンブルク領内の穀物の収穫が少なくなりそうなんだ。今度視察に行くんだが、一緒に行って君の力を借りることができるか相談したいんだ」


「わかったわ」


エドワードから頼られたことが嬉しくて、思わず顔が綻ぶ。


「...本当は君のことをみんなに知られたくない」


エドワードが子どもっぽく拗ねた顔をする。


「俺の奥さんがこんなに可愛くて、こんなにすごい魔法を使えるなんて、世界で俺だけの秘密にしたかったのにな」


私の肩に彼の頭がトン、ともたれてきた。

思わぬ言葉に私はくすくす笑いながら、エドワードの頭を撫でた。まるで大型犬のよう。


「私はあなたの妻だってことをみんなに言いたいけど。いつも私のこと、ヴェルのことを大事にしてくれる。領民のみんなも、あなたのことを敬愛しているもの。こんなに優しくて強い旦那様なんだから」


エドワードは「本当に俺にはもったいないくらいの奥さんだよ」と笑って私にキスをした。




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