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強襲 タイラントワーム

「俺を盾にしろ。 攻撃は頼んだ」


 メリッサはレオナルドの前に立つ。 地中にいるワームは無視。 目の前のワームの攻撃を誘導し、レオナルドを庇う形で囮を担った。


「攻撃ねえ。 周りが砂ばかりだとこうもなるか」


 レオナルドは、ボヤキながら黒い球を2つ生み出す。 それを等間隔でワームの左右に置くと、ワームの動きが止まった。


「ナイス。 やるじゃねえの」


 メリッサが、すかさず鋭利な骨をストレージから取り出す。 両手でそれを構えると、大きく跳躍してワームの首であろう部分を狙う。

 骨の先が届くしゅんかん、もう1匹のワームがついに顔を出した。 地中にいたワームが黒い球に触れると、崩れて消えていく。


「メリッサ、よけろ」


「空中じゃ無理!!」


 動きを縛られたワームがもうひとつの黒い球に吸い寄せられ、それを壊した。

 その時ワームたちは地面へ向けて顔を突っ込む。 メリッサは、空中で身動きが取れず、そのまま地面へと着地する。


「なんだ……逃げたのか?」


 メリッサがレオナルドに聞こえるように言う。


「そんなわけはない。 下からくるぞ」


「ですよね……レオナルド、バランス崩すなよ」


 メリッサが、ストレージから大きな亀の甲羅を取り出す。 およそ5メートルほどの大きさで、それはレオナルドの足元へと現れる。 少しだけレオナルドが体制を崩すがなんとか立て直した。 これで、下からの攻撃は無事だと思いたい。


「ワームの力を舐めるな。 こんな甲羅程度、私ごと持っていかれるだろう」


 地面の音と振動が2人へそれぞれ近づいていく。 タイミングを見極めて、メリッサは宙へと回転しながら避ける。 レオナルドの方へと視線を向けると、そこには首だけを出したワームがその頭を振っているのがみえる。


「あぁそれ、重さ1トン超えだから」


「ははっ、なんだってこんなものを……まだ生きているぞ」


 レオナルドは氷の盾をはるが、首だけのワームの攻撃はそんなものに意味を見出さない。 だが、少しだけ攻撃が届くのが遅れたおかげか、メリッサの救助が間に合う。


「まったく、私が足手まといとはねえ」


「言うな。 俺のせいだ」


 2人が合流し、2匹のワームを1方向へと捉えることができる。 だが、こちらからの有効打はない。 彼らは、だんだんと縄張りから離れようとはしているが、レオナルドの足ではそれほど大きく離れることができていない。


「ジリ貧だな。 何か手はないか」


 メリッサが模索するように呟きながら、甲羅を回収する。 何かひとつだけ。 ワームの攻撃は凌ぐことができている。 何かひとつだけでもいいから、相手へ突き立てる牙があればと、それを探す。


「……分かっているんだろう。 私たちではやはり無理だ。 だが、思っていたのよりも君は動けるな」


「突然なんだ。 来るぞ」


「聞け。 それならば、今からでも遅くない。 君なら逃げられるだろう」


 メリッサは、これまで戦いというものをしてこなかった。 ただの倉庫番が戦う力などなく、必要もなかったから。 敵の攻撃を避けることだけしていればよかった。

 そんなことだから、メリッサは知らなかった。 戦いの途中に、感情というものが消えてしまうことに。


「……すまん」


 メリッサは、レオナルドを殴った。 それは以前に彼を殴った時よりも強くだ。 レオナルドは、大きくよろけるも、倒れない。


 ワームが顔から突っ込んできて、バックステップで2人は避ける。 砂埃はすぐに晴れ、何度か攻撃を避けるとまた場は膠着する。


「メリッサ、なぜ逃げない。 やはりどうしてもわからないんだ。 君はなぜ戦う」


 ワームに挟み撃ちの状況にされる。 2人は背中合わせで、言葉を交わす。


「目の前にゴミが落ちていたら、それはゴミ箱に捨てるだろ。 理由があってやるんじゃない。 俺にとって、やらずにはいられないからやるんだ」


「そうか……そうだな。 メリッサ、君は私と似ている」


 レオナルドは振り返り、メリッサを突き飛ばそうと手を伸ばした。


「……分かるぜ。 お前が言いたいこと、お前がやろうとすること。 だけど、ごめんな。 本当に」


 だが、レオナルドの手が届くことはなかった。 メリッサが既に、レオナルドを突き飛ばしている。


「バカな……メリッサ」


「すまんな。 なんとか逃げてくれ」


 メリッサはそう言い残すと、ワームの一撃を無残にも喰らう。 逆の方向からひとつずつ、牙とツノををもつワームの頭がメリッサに触れると、その身体は大きく飛んでいった。

ワーム

  ミミズ。 他の虫類に違わず魔力を喰らう。 稀に魔石を取り込み巨大化した個体がいる。 その場合は並の魔法では傷をつけることができない。 セオリー通り戦士に任せるしかない。 運が悪く魔法使いしかいない場合は……幸運を祈る。

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