メリッサ覚醒
メリッサの身体は、地面につく。 幸い、柔らかな砂の上で着地による痛みはない。
「大丈夫かね。 メリッサ」
「……これが大丈夫にみえるか?」
メリッサは、身体を起こさずポンポンと胸や腹に触れていく。 その時、異変に気がつく。 一切血液に触れない。 それどころか、傷口が見つからず痛みもないことに驚き立ち上がる。
「思っていたよりも無事そうだね。 まったく」
コツン。 レオナルド拳がメリッサのでこへとぶつかる。 それなりに何か感触があるはずだが、メリッサには何も感じられない。
汗が湧き出る。 焦りが現れる。 メリッサは、あるひとつの可能性にたどり着いた。
「レオナルド、もしかしたら……やりようはあるかもしれない。 だけど」
「ふーむ。 だけど、なにかね」
「死ぬかもしれない。 どうしよう。 このままでも逃げられる可能性はあるけど、でもよ」
メリッサは迷っていた。 この状況を打破するための2つの選択肢で。 先ほど新たに現れた可能性は、失敗すれば……メリッサの勘違いなら、一瞬で命を落とす自殺行為。 あるいは、死ぬのが怖いのかもしれない。
「そうだね。 こんな言葉があるのを知っているかい……諦めなければ道はついえない」
どこかで聞いたような言葉で、レオナルドがメリッサを励ました。
「いい言葉だな。 誰の言葉だよ」
メリッサは、皮肉のつもりでいった。 それを、レオナルドがこう返す。
「ほかの誰でもない。 君の言葉だ」
メリッサは思わずにやけた。 もう迷わない。
「行ってくる」
「行ってこい」
そう一言だけ交わして、ワームに向けて歩き出す。 ワームはメリッサに気がついたのか、かなりの速さで向かってくる。 もう1匹の姿は見当たらない。 振動がする。 おそらく地中か。
「さあこい。 千切ってやるよ」
ワームは大きく身体を伸ばすと、上からメリッサを襲う。 その時メリッサの足元が揺れて、体制を崩しかける。 したからワームの顔が現れ、持ち上げられる。
上から、下から挟まれる形でツノがメリッサを襲う。 メリッサは腕を前に出そうとするが、勢いに持っていかれて腕が上がらない。
ワームが、メリッサに触れる。 大きく鋭いツノに挟まれて、メリッサの肺から息が少しだけ漏れる。
だが、それが身体を貫くことはない。 傷つくことがなければ、吐血も出血も見当たらない。 感じられない。
「これは、どうなったんだ」
レオナルドがそうこぼす。 メリッサがワームに優しく触れると、上下両方のワームの首がちぎれ、落ちていく。
「……勝ったぜ。 ツノ、とっていくんだろ」
メリッサが着地して言う。 その目は、千切れたワームを見て離さない。 ワームは身体を少しだけ蠢かせてから、止まった。
レオナルドがメリッサの元へ足を引きずってくる。 メリッサは、彼の足に触れると草のようなものを刷り込んでいく。
「これは薬草か」
レオナルドが痛そうにしながらたずねてきた。 メリッサは顔を縦に振ってから、ワームを指差す。
「あぁ、そうだったね。 これで……これが欲しかった」
そう言ってワームのツノを剥ぎ取る。 周囲の危険を確認してから、たわいもない会話をしながら2人は街へと戻っていった。
「メリッサ、あれはどう言うことかね」
「さあな。 いつか教えてやるよ」
メリッサは、ストレージ内に形のないそれがあることを確認する。 本来メリッサがくらうはずだったワームの攻撃によるダメージ。 それが、収められている。
まさか、エネルギーやダメージそのものでさえ保存ができることを、メリッサは知った。
メリッサ 【覚醒し続けるレベル10】
レベル10になり2回目の覚醒を受けたメリッサ。 スキルの新たな使い方を思いつくたびに覚醒するので、まだ覚醒はたくさん残しています。 ですがご心配なく、こんな序盤のストーリではあまり覚醒をしませんので。 彼自身、力の裏づけがなくともリリィを救おうとしたりと強い男なので、ロンドンも大好きです。




