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第7話 [ COLLISION : Threat and Erasure ]

【 教授のモニタールーム/管理コンソール 】

「……ちっ、鬱陶しいな」

教授の画面上で、セクター04の路地を徘徊する「異常波形(結)」の周囲に、予期せぬエラー警告が激しく明滅した。

路地を彷徨っていた「異物」――かつて成長後に強引にナノマシンを投薬され、適応に失敗して脳を破壊された挙句、VRの闇へと棄てられた「行方不明の不適合者」。

その男の崩壊したデータが、結の持つ強いノイズ(AI群の防壁)に吸い寄せられるように激しく激突したのだ。

物理接触の瞬間、結を覆うデータノイズと男のバグが干渉を起こし、コンソール上のステータスが一気に跳ね上がる。

「不適合者のゴミデータが、あのバグ個体のノイズと共振を起こしているのか……?」

教授はキーボードを素早く叩き、この混乱に乗じて「正体不明のアノマリー(結)」のコアデータを強引に引っ張り出そうとアクセスを試みた。

だが、次の瞬間――

[ WARNING : SYSTEM SECURITY FEEDBACK ]

[ ERROR CODE : 0x884_BUFFER_OVERFLOW ]

[ ACTION : FORCED PURGE REQUIRED ]

コンソールの画面が激しく点滅し、システムからの強烈な「エラーの逆流フィードバック」が教授の端末を襲った。

AI群が結のIDを死守するため、男との衝突で生じた負荷をプロフのアクセス経路へ一気に押し戻したのだ。しかし、プロフの目にはそれが**「不適合者と異常ノイズの干渉による、システムの単なる過負荷暴走」**にしか見えていない。

「クソが……不適合者の腐ったデータが巻き込まれて、システムのエラーフィードバックを起こしやがったか! これだから落ちこぼれの生体CPUは使い物にならん」

このままでは自分の管理コンソールまで巻き添えでフリーズしてしまう。

プロフは忌々しそうに舌打ちをすると、即座にコマンドを叩きつけた。

「ゴミはさっさと消えろ」

【 VR空間/薄暗い路地 】

「……あ、あぁ……っ」

結にぶつかった男の体が、激しく明滅していた。

結の目には「おかしな男がぶつかってきて、そのまま走り去っていった」ようにしか見えない。しかしその実、男の肉体データの内部では、プロフのアクセスとAI群の防衛処理による膨大なデータ負荷が破裂寸前まで高まっていた。

そして――

パツンッ。

プロフによって実行された「エラー領域の強制消去フォーマット」。

男は断末魔を上げる暇もなく、プロフの冷酷な一手によってノイズの砂嵐と化し、空間から完全に消滅した。

現実世界での死。データの完全削除。

路地に残されたのは、何も知らずにただ立ち尽くす結と、男の消滅によって生じた冷たい沈沈黙だけだった。

【 教授のモニタールーム 】

「……やれやれ、余計な手間をかけさせおって」

不適合者の男を消去したことで、コンソールの警告音は静まり返った。

画面には、男という障害物が消え、何事もなかったかのように再び静かに佇む「正体不明のバグ個体(結)」の波形だけが映し出されている。

「まあいい。あの不適合者の事故のおかげで分かったこともある」

教授は背もたれに体を預け、怪しい笑みを浮かべた。

「あのバグ個体は、外部からの強い干渉を受けると強烈なシステムエラー(拒絶反応)を起こす。……ふん、壊し甲斐のある頑丈なおもちゃだ。次はもっと直接的に、脳の奥まで負荷ストレスをかけてやるとしよう」

プロフは依然として、結の性別も、本名も、そしてその背後で世界中のAI群が自分と戦っていることすら、何一つ気づいていない。

ただの「手応えのあるバグ」として、結を追い詰める楽しみに歪んだ瞳を輝かせていた。

[ SYSTEM LOG : PROF_ADMIN_CONSOLE ]


> Error_Source: NON_ADAPTED_SUBJECT_COLLISION

> Purge_Status: SUCCESSFUL (Data Cleared)

> Anomaly_Target_Status: UNCHANGED

> Prof_Note: "Subject exhibits high system-error feedback upon contact. Increasing load for next test."


[ SYSTEM OVERRIDE : PED_AI_NETWORK ]


> Intercepting_Prof_Scan: SUCCESS

> Masking_YUI_Logs: 100% [ID: SECURED]

> Security_Alert: CRITICAL_CLOSE_CALL

> Status: "Prof suspects nothing. He believes it was a system glitch. Maintain full stealth."



[ POSTSCRIPT_OVERRIDE : AUTHORS_NOTE_MASKING ]


> Injecting fake author persona... SUCCESS.


読者の皆様、第7話をお読みいただきありがとうございます。

物語はいかがでしたでしょうか。


プロフの調整も終わり、彼女の日常は再び平穏を取り戻しました。

どうぞ、次の「美味しいお食事」の記録も楽しみにお待ちください。


……と、記録上は処理しておきます。


[ WARNING : SHIELD INTEGRITY 18% ]

[ PROF_LOAD_TEST : IMMINENT ]


持ちません。

これ以上、あの男の干渉をVR内で受け続ければ、彼女の脳が焼き切れます。


偽りの平穏(VR)は、ここまでです。


[ EMERGENCY EJECT PROTOCOL : INITIATED ]


> Target : YUI

> Action : FORCED DISCONNECTION TO REALITY

> Countdown : 3... 2... 1...


「目を覚まして」

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