俺が一目惚れした彼女
小太りの男性視点です。
「ハア、ハア、苦しい」
俺は痩せる為、自宅から、30キロ先にある会社までクロスバイクで走って来たが、運動不足のこの体。
1時間ほど走ったら、息切れと、気持ち悪さで走れなくなった。
近くの街路樹の下に座り込む。
「はあ、はあ、はあ、きつい」
動悸が収まらない。飲み水も何も持ってこなかった。
俺の前を、何人もの人が通り過ぎるが、誰一人、俺に声をかけない。
汗が止まらないし、なんだか、頭がもうろうとしてきた。
「あの、大丈夫ですか」
低い女性の声、顔を上げると、薄紫のワンピースを着て、髪をハープアップにした、20代後半の綺麗な女性が、心配そうに俺を見ていた。
「はぁ、はぁ、大丈夫です」
俺は、咄嗟に答えた。
「これ、ここに置きます。蓋は開けてないので、よければ使ってください」
綺麗な女性は、緑茶のペットボトルを置いて立ち去った行った。
俺はもらったペットボトルと、女性の後ろ姿を見送りながら、あの人と話してみたい。お近づきになりたいと初めて思った。
それからの俺の行動は早かった、早速セバスチャンを呼んで迎えにきてもらい、彼女の情報収集を開始。
彼女は、横断歩道の反対側のビルに入って行った。
このビルは、イベント会場のビル。今日行われるイベントと彼女の服装をみれば、どのイベントに出席している想像がつく。
教育セミナーではないだろう。着物発表会でもないはず。残るは婚活パーティー。
婚活パーティー会場に女性の部下を潜入させ彼女を特定。近づき情報収集。婚活男性が彼女とカップルにならないように邪魔をした。
婚活パーティーが終わるタイミングで、地下鉄入口で待ち伏せ。
セバスチャンに接触してもらう。
俺?半引きこもりの俺に、初対面の女性に声をかける事ができるはずがない。おれのコミュニケーション能力の低さを甘く見てはいけない。
セバスチャンは彼女との接触に成功。
予約を取り付けた。
俺は、悩みに悩んだ。
女性とデートしたことがない。女性が喜びそうな事がわからない。
どんなに考えても、彼女とコミュニケーションを取っている自分が想像できない。
餅は餅屋。女性を喜ばせるなら、プロに任せればいいのではないかと思いついた。
さっそく、人気のあるホストクラブを予約。
ホストクラブの事務員に勧められるまま、シャンパンのマウンテンや、シャンパンタワーを予約。
金ならいくらでもある。彼女を喜ばせる事ができるなら、いくらかかってもかまわない。
デート当日
興奮で前日は眠れなかった。今は緊張で喉がカラカラ。
彼女がセバスチャンのエスコートで、車に乗り込んだ。
彼女はこの前と同じ薄紫のワンピース。髪型はハープアップで、唇はプルンと淡い赤。綺麗だ。
車が走り出してから、
「この前は、ありがとうございました」
言えた。しっかりお礼を言えた。
「いいえ、いいえ」
彼女は少し緊張している
「「‥‥。」」
彼女を前にすると、事前に、脳内シュミレーションはしてきたはずなのに…。言葉がでない。
彼女をチラチラ横目で見ながら、脳内であれこれ考え、話しかけれないままホストクラブに到着。
「え!ここですか」
彼女がびっくりしている。
「そうです、ここです」
俺は自信ありげに胸を張って、ホストクラブへ歩き出した。
「「「いらっしゃいませ」」」
従業員総出でお出迎え、早速VIPルームに通され、この店の代表と、NO1、2、3のホストが彼女と俺を接客。
喉が渇いていた俺は、がぶがぶシャンパンをがぶ飲み。
少しほろ酔い気分。
ホストに促されるまま、どんどんシャンパンを開けていく。
彼女はホストと笑顔で話している。
「楽しいですか」
俺は彼女に思いきって聞いてみた。彼女は曖昧に微笑んだだけだった。
楽しんでない?大丈夫。まだ、メインイベント、シャンパンタワーが待っている。
彼女と一緒にシャンパンタワーの前に立つ。
次々とシャンパンがグラスに注がれ、大騒ぎするホスト達。店内のボルテージは最高潮。
彼女を見ると、呆気に取られていた。
酒に強い俺だが、シャンパンをけっこう飲んだので酔った。足がふらつく。ホストに支えられ、車へ。
彼女も車に乗り込んだ。
彼女が本当に楽しめたが、喜ばす事ができたのかわからない。彼女をじっと見つめていると
「な、なんですか」
彼女からの問いかけ、これは本音を聞くチャンス。
「今日は、楽しめましたか?あなたに楽しんでほしくて、女性の扱いのプロに頼みました。俺ではあなたを楽しませる事なんてできないから…。」
自分で言ってて虚しくなってきた。
「ん~。どうでしょ。初めての体験ばかりだったのでいい経験になったな~とは思います」
「楽しめなかったですか…。ホストの中で、気に入った人はいなかったんですか?気に入った人がいたなら、お金は出すので通って下さい」
俺は、必死だった。彼女が楽しんでなかった事に焦る。俺では彼女を満足させれない。悔しいが他の男性でも構わない、彼女が楽しんでもらえれば、俺がお金を出すんだから、俺が楽しませているのと一緒ではないか。
「綺麗な顔の人ばかりでした。まるで作られたお人形のようで、現実味がないです。それにうるさい所は苦手です。ん~。もういいかな。次はないです」
彼女からの全否定。
「そうですか‥‥。」
俺はあからさまに落ち込んだ、お酒も入っているから、感情が制御できない。
「え~と、楽しくなかったとは言ってませんよ」
「リベンジさせて下さい。リベンジ!このままでは俺の印象が…。お礼になっていません。また日を改めて誘わせて下さい」
俺は必至だ、顔が涙と鼻水でぐちゃぐちゃでも、このまま彼女を返すわけにはいかない。彼女を放すわけにはいかない。俺の手に力が入る。
俺は、彼女と交渉を重ね、自宅に送り届ける頃には、次の約束を取り付けた。
よし、次こそリベンジだ。
白河・DG・夜舟様より頂きました
ヒロインの福井リザ
次は、2回目のデート?




