プラチナブロンドの王位継承者
次の日、レティーツィアは快適な目覚めを満喫していた。
頭や身体がスッキリとして久々に生まれ変わったような気分になる。
んー!っと身体を伸ばしてストレッチをした。
こういう気持ちのいい目覚めというのは毎日感じたいと思うけど、なぜか時々しかこれくらい満足のいく目覚めを体感するのはできないのだ。
(毎日これくらい気持ちよく目覚められたら最高なのになぁ…)
スッキリと目が覚めたので、軽く身だしなみを整えようと思い、また朝からお風呂に入ることにした。
あいかわらず気持ちのいいお風呂を満喫してレティーツィアは大満足だ。
お風呂を出たときにレティーツィアはふと「あれ?」と疑問に思った。
昨日お風呂に入ったときはあまり何も思わなかった。
だがレティーツィアがお風呂に入る前に脱衣所の籠の中に服を脱いで置いたのだが、今お風呂を出て服を着ようとしたときには服が洗濯後のように綺麗になって畳んである。
(ん? よく考えたらおかしくない?)
昨日は悪役令嬢ハイデマリーのせいで色々あって死にかけたし、その後でハルトムートに癒してもらった後も桃のことを調べたりして、とても疲れていた。
だからお風呂を出た後も疲れていたし、そもそもレティーツィアはいつものお城の人に準備してもらっている習慣があって綺麗に準備されることに慣れていたから気づかなかった。
だけど、おかしいと思う。
(これって誰かが明らかに私の服を洗って、しかもその後できちんと畳んでくれているってことじゃない? …なにそれ!)
レティーツィアは、お風呂上がりのバスタオルだけ巻いた裸の身体で服を着るかどうか真剣に迷った。
誰かが触った服なんて着たくない。
だが残念なことにレティーツィアには、その明らかに誰かが綺麗にして畳んでくれた服以外に持っていないのだ。
このままバスタオルだけを巻いているのもほとんど裸であり、服を着ていないということに変わりはない。
それに考えてみれば、昨日は何も思わずにこの状態になった服を着ていたのだ。
それで何も起こらなかったんだから、まぁ大丈夫だろう……。
(本当なら着たくないに決まってるけど、私には露出趣味はないのよ!)
レティーツィアは気合を入れて綺麗に畳まれた服を着た。
…何も起こらなかった。
(ほら! やっぱりね!! この服を着た所で何もおかしなことにはなっていないわ!)
服を着るのにかなり迷っていたレティーツィアは、無事に服に異常がないのを確認するとふぅーと安心のため息をついた。
そのとき、ふとお風呂に設置されている大きな鏡が目に入った。
お風呂にある大きな鏡の前には、いつもと何も変わらないカシノニア王国の王位継承者のレティーツィアがふんわりとした薄桃色のドレスを着て写っていた。
12歳になってもレティーツィアはあまり鏡が好きではない。
たとえレティーツィアの髪がカシノニア王国の国民から「女神の生まれ変わりだ!」と褒め称えられようと、レティーツィアは自分のプラチナブロンドの白銀のようなほとんど白に近い金髪を持った自分の姿が好きになれなかった。
レティーツィアの顔は極めて整っておりスタイルも良い。
レティーツィアのカシノニア王国の国民からの人気はとても高い。
だがカシノニア王国でレティーツィアの人気が高いのは、王位継承者として優れた魔力を持っていることと、何より「建国神話」に出てくる女神と同じプラチナブロンドの美しい髪をレティーツィアが持っているからである。
カシノニア王国のみならず、5つの国の王族は金髪のブロンドの髪色である。
その中で、レティーツィアだけが白銀のようなほとんど白に近い金髪のプラチナブロンドなのである。
平民や貴族には赤や青、緑、紫、黄、オレンジなど数え切れないほどの髪色がある。
貴族の中でも傍系王族の末端の末端の臣下になった貴族は王族と結婚しているので、純粋な金髪のブロンドにはならないが黄緑色や黄色、ピンクなどの他の色が混じったブロンドになるのである。
そして王族は高い魔力を保つために基本的に王族同士でしか結婚しないので、基本的にみんな純粋な金髪のブロンドの髪色になるのである。
ましてや直系王族ならば魔力を保つために必ず王族と結婚しているので金髪のブロンドとなるので、直系王族で王位継承権のレティーツィアは自分の髪色がどんなに褒め称えられようと純粋な金髪のブロンドではない自分の髪が好きになれなくて鏡を見るのが好きではなかった。
じっと鏡に写る自分の姿を見る。
そこには周りから絶世の美少女で可愛いと言われるレティーツィアがやはりプラチナブロンドの髪を持って写っていた。
レティーツィアは自分のプラチナブロンドの髪を睨みつけるように見つめた。
そして、すぐに諦めたように身だしなみに問題がないのを確認すると固い表情で鏡を見るのをやめた。
ーーー
朝からお風呂に入って身だしなみを整えたレティーツィアは朝ご飯の準備をしようと思った。
昨日取った桃は全て食べ切ってしまってもうないし、このままではお腹が空いてしまうからだ。
ハルトムートが準備してくれた部屋の机の前に座り今後の予定を考えていたレティーツィアは庭に桃を取りに行こうと思った。
桃以外にここの庭に実っているものはない。
レティーツィアが立とうとしたときに障子の外から声がかけられた。
「……黄金竜ハルトムートだ。
起きているか?
……その、昨日は、すまなかった!
一緒に朝ご飯を食べようと思って料理を使ったのだが、入れてもらえるだろうか?」
昨日ハルトムートとは気まずくなったままだ。
会いづらいなと少しレティーツィアは思ったが、「どうぞ、お入りください」とハルトムートに伝えた。
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読んでくださる方に感謝です!!
カシノニア王国の国民から羨望の眼差しを受けるレティーツィアの容姿ですが、本人のレティーツィアにとっては複雑な心境なんです。




