表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/54

桃源郷の桃のキング


 ハルトムートがいなくなったあと、私はもやもやした気分のままではいけないと気分転換をすることにした。


(部屋にいてもよかったんだけど、なんとなく庭を散歩したい気分になったんだもん。 別に私は「ハルトムートのことを思い出すから居づらいし、もやもやして…」とかまるでハルトムートを意識してしまったとかそんなのじゃないし…。)



 てくてくと歩いてハルトムートのお宅の庭を見渡してみるけど、本当に桃源郷みたいに見渡す限りあたり一面に桃だらけの場所だ。


 けど、なんで桃なんだろう?

 ハルトムートが桃を好きだから?

 そもそも、ハルトムートが桃の木を植えたのかな?


(…うん、桃ばっかり食べてるハルトムートだもん、ハルトムートがこの大量の桃を植えたに違いない。)



 黄金竜ハルトムートの身体は大きい。

 その大きい身体を小さくしてせっせっ、せっせっ、と一生懸命に桃を植えるのを頑張っているのを想像してみると、なんだかちょっと可愛いかもしれないとレティーツィアは思った。

 いつの間にかもやもやしていた気持ちが落ち着き、自然とレティーツィアの気持ちは穏やかな気持ちになった。


 さっきまでのもやもやした気分が急に治るなんて変なこともあるものだとレティーツィアはフフッと微笑みながら歩いた。



 機嫌が良くなったレティーツィアの足取りは軽くなりどんどん庭の桃源郷を歩いて行った。

 ハルトムートのお宅を出て桃源郷を見渡してみてわかったことがある。


 それはこの桃源郷の大量の桃の中で一際大きい桃の木が存在していることだ!



(こんなに桃があるのにあの桃の木だけ大きいなんてどうしてなんだろう?)



 ちょっとした冒険心も出てきたレティーツィアは、一際大きい桃の木を目指して歩き続けた。



ーーー



(やっと着いたわね!)


 もしハルトムートから精霊魔法を教わっていればあっという間にここに到着できただろう。

 だがあいにくまだレティーツィアは習っていなかったので、てくてくと歩いて目的の一際大きい桃の木に辿り着いたのだ。



 直系王族の王位継承者としてレティーツィアは、今まで散歩はしたことがあるけどこういった冒険なんてしたことがないのでワクワクしていた。


 一際大きい桃の木に辿り着けた達成感とこれからどんなものか調べるぞという興味が湧いてきて、歩いた疲れなんてものは感じない。


 ワクワクしながら一際大きい桃の木をペタリと触ってみた。



 バチっ!!

(痛っ…!! 何これ静電気!? 木を触って静電気を感じるなんてあるものなの?)


 痛みを感じた右手を見つめながら不思議そうにレティーツィアは一際大きい桃の木をじっとみた。


(…やっぱり大きい桃の木ね。 一際大きいだけあってやっぱり他の桃の木とは別格ということなのかしら?)


 レティーツィアは1番大きい桃だし触れるとすぐに静電気を放ったという理由で、この一際大きい桃のことを勝手に「桃源郷の桃のキング」と命名した。



 そしてレティーツィアはやはり先程の静電気を不思議に思って、もう一度「桃源郷の桃のキング」にペタペタと触ってみる。

 だが今度は静電気も何も起きないし痛くもかゆくもない。


 「なんだったんだろう?」とレティーツィアは不思議に思いながらも、「桃源郷の桃のキング」の桃の実も1つ取って食べて味見をしてみた。


(うーん、特にさっきハルトムートと食べた桃と味が変わらないわね。)


 レティーツィアは「桃源郷の桃のキング」にそれ以降特に何も変わったことがないかどうかを確認すると、ハルトムートのお宅に戻ろうとクルリと背を向けて歩き出した。



ーーー



 結論から言うとハルトムートのお宅は最高だった!


 お泊まりのときにかなり大事なトイレは、レティーツィアが直系王族としてカシノニア王国内の高級旅館に泊まったときに使うものに劣っていないものだったのだ。

 しかも、「桃源郷の桃のキング」まで歩いたレティーツィアは汗を流そうとお風呂に入ろうとして入ったのだが、これまた高級旅館より豪華でなんと露天風呂付きの最高のお風呂タイムを味わえたのだったのだ!


(ハルトムート、あなたのお宅は素晴らしいわ!)


 レティーツィアは大満足で布団を敷いて眠りについた。




ーーー「桃源郷の桃のキング」に行くまでに気になっていた「フロレンツィアの愛を実らせたってなんなんだ」という、もやもやした気持ちをすっかり忘れてレティーツィアはスヤスヤと眠り続けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ