王城へ
「私の精霊魔法で、アードルフ達側近のみんなを王城まで連れて行かことができるんですか?」
私の精霊魔法が?
アードルフ達側近にどうやって使ったら王城まで行けるんだろう?
「うむ、行けるとも。 先程のレティーツィアの精霊魔法を見て、レティーツィアなら可能だと思うぞ? 」
おぉ、それは良かった。
これで王城までどうやって行くかっていう問題は解決だよね。
「やり方を、教えてもらえませんか?」
「む? なんだ? レティーツィアなら簡単だぞ? レティーツィアが側近達にも飛行魔法をかけてやるイメージさえすれば良いだけだぞ?」
「え、それだけ、なんですか?」
「あぁ。 他の者ならば無理だろうが、レティーツィアならば可能だろうな! ハハハハハッ!」
「やってみます!」
ハルトムートの言う通り、アードルフ達側近に精霊魔法をかけてみると、すんなりとかけることができた。
なんと!
こんなに簡単に、私は自分以外の人にも精霊魔法がかけれるようになっていたなんて。驚いた。
我ながら、私ってすごいよね!
―――――
ということです、宝石のようなカラフルな石が光るトンネルのような地下通路を私は飛行魔法で進むことにした。
アードルフやギーゼラ、オーブリー達側近達も、私がかけた精霊魔法で同じく飛行魔法で進んでいる。
ハルトムートはプライベート空間ではないからなのかわからないけど、黄金竜の姿に戻るのは嫌らしくて、人間の姿のままで私のすぐ隣で一緒に飛んで移動中だ。
「わぁああっ! レティーツィア様、すごいです! 私、飛んでます!! ……って、ちょっと、アードルフ!! 怖いからって私の服を掴んで、くっついてこないでよね!」
ギーゼラは、無言で服にくっついてくるアードルフをグイッとオーブリーの方に押し付けた。
「あぁ、我が女神は素晴らしい!このような神業をなされるとは、まさに女神! ………って、おいギーゼラ! アードルフをこちらに押し付けないでくれるかい? 僕は今レティーツィア様の偉業に感動しているところなんだけど?!」
「だ、だって、しょうがないでしょ?! アードルフったら、飛ぶのが怖いみたいで、そばにいるからって私にくっついてくるのよ?
こうなった筆頭護衛騎士のアードルフを慰めるのは、副護衛騎士のオーブリーの方が得意でしょ?」
「うっ………それは、まぁそうだけど。」
「あら? いいの? このままじゃ、混乱したアードルフは見境なくレティーツィア様に抱きつきに行くと思うけど。 ほんとにいいのかしら? アードルフの隠れレティーツィア様好きはあなただって知ってるはずよ?」
「ギーゼラ、君ってやつは。 自分がアードルフに抱きつかれるのが嫌だからって、レティーツィア様の偉業に感動していて忙しい僕を生贄に差し出すなんて……」
「うふふ、そうよ? 悪いかしら?
けど、アードルフがレティーツィア様に抱きつきに行くのを、あなたが我慢できるわけないでしょ? ……それなら、早く私からアードルフを引き取ってちょうだいよ。」
「まぁ、混乱したアードルフを放置したら、確かにレティーツィア様のもとに行ってしまうんだろうしねぇ。はぁ。ほんと、ギーゼラ、君は恐ろしいよねぇ。」
「ふふ。今更何を言ってるのよ。」
ギーゼラは暗い笑みを浮かべた。
「いや、本当にギーゼラ、君はすごいよ。そんなに恐ろしいのに、レティーツィア様には可愛らしい一面ばかりを見せてさぁ。」
「あったり前じゃない! 好きな人の前では、自然とそういう風になってしまう者なのよ。 レティーツィア様大好き変人のあなたとは違うのよ!」
「はぁ。君も大概だと思うけどさ。 ほんと、君はすごいよ。…………おい、アードルフ。気に食わないが、僕の方に来い!」
オーブリーはギーゼラが押し付けてくるアードルフを引き取った。
ギーゼラとオーブリーの間で、そんな押し付けられ方をしても、未だに初めての飛行魔法に混乱しているアードルフは身体を震わせながらオーブリーの服を素直に掴んでいた。
筆頭護衛騎士のアードルフの扱いに慣れた、副護衛騎士のオーブリーは、
「僕だってレティーツィア様のことで忙しいのに、副護衛騎士ってのも大変だよねぇ。 まぁこれも、『混乱したアードルフが無意識にレティーツィア様に接触しようとするのを阻止できた』、と思えばまんざらでもないんだけどだねぇ。」と、
ため息をつきながらアードルフのお世話をすることになった。
そんなギーゼラとオーブリーの混乱したアードルフをお世話係の押し付け合いも、あくまでレティーツィアに面倒をかけないように、押し付け合いの部分は小声でやりとりされていた。
なので、レティーツィアから見れば、ギーゼラやオーブリーがアードルフを挟んで仲良くやっているようにしか見えないのだった。
「うふふ、みんな仲良しだなぁ。ねぇハルトムート、やっぱり仲良しっていいですよね!」
「む? あぁ、私はレティーツィアと仲良しが良いぞ!」
「え、あの、そういうことじゃないんですけど、……まぁいっか。
はい、私もハルトムートと仲良しで嬉しいです。」
これから、明日のハイデマリーの結婚式を阻止しに行くというのに、なんだかのほほんとした雰囲気の中、レティーツィア達ご一向はハイデマリーがいる王城に向かったのだった。




