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合流



「まずい、囲まれたね……」


オーブリーは呟いた。




今、アードルフやギーゼラ達はカシノニア王国の城に向かう途中で敵に囲まれていた。




「なんでこんなに早く見つかったのよ!私たち誰にも計画のこと伝えてないわよね?!」


「伝えるわけないだろ。計画のことは、レティーツィア様の側近にしか伝えてないんだ。この中に裏切り者がいるなんて、そんなわけないだろ。」


「けど。けど、じゃあどうして?こんなにすぐに囲まれるなんて、情報が漏れてたとしか考えられないわ……」



ギーゼラとオーブリーが、なぜこんなに早く敵に見つかったのか話し合ってる。



「2人とも、落ち着け。あいつらの服は王城の騎士の物だ。つまり、俺たちは近くでずっと見張られてたってわけだ。」


「……そんな。私、王城の騎士の姿なんて、どこでも見かけなかったわ。」


「あぁ、俺もだ。ここで、追手を見かけたことはない。だが、それがおかしいんだ。」


「へ?どう言うこと?」



アードルフが言ってることがわからなくて、ギーゼラは尋ねた。



「あぁ、そう言うことか。アードルフ、俺にもわかった。ったく、なんでこんなことにも気づかなかったんだろう。」


「仕方がない。我々はレティーツィア様という太陽を失って、冷静さに欠けていただろうからな。」



オーブリーとアードルフが2人だけで納得しあってる。



「ちょ、2人だけで納得してないで、私にも説明してよ。」


「つまり、追手がいなかったんじゃなくて、常に追手に見張られてたってことだ。」


「?」


「アードルフ、それじゃ側仕えのギーゼラには伝わんねぇよ。ギーゼラ、つまりはこういうことだよ。俺たちが国境のここで出会う奴はだれだ?」



アードルフの説明でギーゼラが理解できてないと思ったのか、オーブリーが説明してくれる。



「レティーツィア様の側近の私たちと、………え、もしかして、あの商人達?!!」


「いえっさー!そういうこと〜!ギーゼラ、これでおわかりかい?」


「えぇぇぇぇぇ!けどけど、アードルフが会っても違和感なかったんでしょ?」


「あぁ。そうだ。あれは、商人だった。」


「でしょ、でしょ?」



見破れなかったアードルフはぶすったれながらも商人だったと頷いた。



「そ! 商人だよ。でも、それだけじゃない。ハイデマリー側のスパイでもあったってことだよ。きっと、多額のお金でも積まれたんだろうね〜」


いや、これは参ったよね〜、と危機一髪な状況なのにオーブリーが呑気に話す。


アードルフは黙り込んで対策を考えてるみたいだ。


「えぇっ、そんなぁ。こんな寂れた辺鄙(へんぴ)な場所でも親切でいい人達なんだなって思ってたのに〜」


「まぁ、しょうがないよ。今、カシノニア王国的にみたら僕たちの方が悪者に違いないし。

それに、商人の彼らを責めることはできないよ。

レティーツィア様がいなくなってから、なぜかカシノニア王国は不作が続き、国民は生活が苦しくなってきてる。

レティーツィア様をハイデマリーから救えなかった僕たちに、彼らを責めることはできないよ。

彼らに僕たちの事情はわからないだろうし、ただ生きるためにお金が必要なことも理解できるしね〜」


「オーブリー、そんなこと言ってどうするのよ。

私たち今、王城の騎士に囲まれてる危機的な状況なのよ?!裏切った商人達の味方をするの?!!」


「いや〜、ほんと僕たちピンチだよね!まだ、城にも辿り着けてないし、言ったらまだ国境付近だしね。おーまいがー、って感じだよね〜」


「おーまいがー、って……。あぁぁ、レティーツィア様。どうか、我々をお救いくださいぃぃ!!」



おちゃらけて楽観的なオーブリーを見てギーゼラは、「なに、こんな時に冗談なんて言ってられるんだ」と思った。


そして、ギーゼラの女神、レティーツィア様に助けてほしい、と必死で願った。






ドォオオオオオオオオオオン!!!!!!



突然、ギーゼラと王城の騎士の間にとてつもない砂埃が立ち上がった。


「な、なに?!!」


ギーゼラは叫んだ。





――――




たくさんの砂埃と共に現れたのは、レティーツィアとハルトムートだ。


「……いったたたた。 ハルトムート?!

これは一体どういうことですか?」


「む?すまんすまん、レティーツィア。

私のプライベート空間から出るのが久々なので、少々失敗してしまったみたいだな。」


「少々、ですか?これが?……いえ、まぁいいですけど、私たちすごく注目されてませんか?」


「む?」



まだはれない砂埃の中、周りにいるであろう人達が私達に警戒しているのが伝わってくる。



うーん。なんだか、まずいタイミングで出てきちゃった感が否めないよね〜



砂埃がはれてきて、やっと人の顔が認識できるようになってきたとき、「お前たち!何者だ!」と叫ぶ声が聞こえた。


声につられてそっちの方へ顔を向けると、王城の騎士達がズラリと並んでいた。



「……王城騎士?」


「そうだ!我々は王城騎士だ!お前たちのような怪しい奴は拘束する!」


「えぇ。そんな、横暴な……」


「黙れ!大人しく投降しろ!……いいか?抵抗なんてするなよ?動くなよ?じっとしてろよな!」



へっぴり腰になりながらこっちに近づいてくる王城騎士達。


でもねー。

いきなり、そんな横暴なこと言われても納得できないよね〜。


よし、決めた!



「ハルトムート、あいつら、拘束しちゃいましょ?」


「む?いいのか?」


「えぇ、いいの。やっちゃいましょ!」



私とハルトムートは、腰はビビりながらも顔や態度は偉そうな王城騎士達を木属性の魔法で、木のつるを作り出して拘束していく。



精霊魔法、バンザイ!



騎士の中のエリート、王城騎士のみなさんも精霊魔法があればなんてことない。


精霊魔法に敵なし、だね。



「レティーツィア。あっちの固まってる奴らも捕まえるのか?」


「ん、あっち?あっちって…………あなたたち!」


「む?」



レティーツィアを見つめる者たちを見て、レティーツィアもまた固まった。



「……レティーツィア?どうしたのだ?」



なんで?

なんで、こんな場所に、『私の側近達』がいるの?



「………レティーツィア様、ですか?」



固まる集団の中の1人の側仕えの女が呟いた。



「ギーゼラ、アードルフ、オーブリー、みんな………どうして………?」


「あぁ、やっぱりレティーツィア様なのですね!

生きていてくださったのですね……!」


「………」



ハルトムートが木のつるで王城騎士達を全員拘束する中、レティーツィアは驚きで地面に座り込んだ。


レティーツィアが想像していたより、側近達は薄汚れた格好で、最後に会った時よりも痩せていた。

その姿は彼らが苦労してきたことを如実に示していた。


側近達のその姿は、主であるレティーツィアの力不足のせいだ。


なのに、側近達の目はレティーツィアに対して優しげで。レティーツィアは、心の底からなんとも言えない気持ちが沸き起こった。



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