5つの属性
レティーツィアの微笑みを見つめたハルトムートは、レティーツィアがそれ以上話す気はないとわかったのか、それ以上聞いてきたり追求はしてこなかった。
「まぁ、良い。
それでだ、レティーツィア。
次の精霊魔法を学ぶならば木・火・土・金・水 、どの属性の精霊魔法を集中して学びたいのだ?」
「属性ですか?」
「そうだ。
其方が学びたいと希望する属性はあるか?
精霊魔法の魔法使いとして其方ほど元々の素養として魔力属性も魔力量が優れている者は珍しい。
さらに木・火・土・金・水の全ての属性の精霊から大量の加護まで与えられているなど普通では考えられないほど恵まれているのだ。
だから、其方であればどの属性の精霊魔法であっても選び放題で精霊魔法が学べるぞ!
どうだ?
どれか希望の属性があるならば言うと良いぞ。」
「えっと……。
じゃあ、もし私が全部の属性の精霊魔法が使いこなせる魔法使いになりたいって言ったら可能なんですか?」
「む……?
木・火・土・金・水の5つの属性を全部習得するつもりなのか?
うーむ……、出来ないことはないし可能だろうが、なぜなのだ?
さすがにレティーツィアが優れていようとも、そんなに沢山の精霊魔法を習得しようとすれば大変なのではないか?
私が知っている限り、大抵の魔法使いは1つか2つの属性しか習得しない。
よほど多くても3つの属性くらいまでで、全ての属性を習得した魔法使いの話は聞いたことがないがな……。」
「あ……、いえ。
私もそれぞれの属性ごとの精霊魔法がとんなものなのかもわかっていませんし、必ず5つの属性全てを習得したいというわけではないんです。
ただ、せっかく私に木・火・土・金・水、5つの全ての属性の加護を私が与えてもらっているのなら、もしかしたら全部の属性の精霊魔法を使えるようになれるのかな、なんてただ疑問に思っただけなんです。
だって、それでもし私が5つの属性を使いこなせる魔法使いになれたら、今よりもっとカシノニア王国のために役に立てるようになるかもしれないのになって思って……。
あ……! だからっ、ぜんぜん構わないんです!
ただ、できるなら5つの属性全部を習得できたらなって思って言ってしまっただけなので。」
ハルトムートは器用に片方の眉毛だけをくいっと上げて、挑戦的にレティーツィアを見てにやりと笑った。
「いや、諦める必要はないぞ。
先程も言ったが木・火・土・金・水、全ての属性を理論上レティーツィアが習得することは可能であろう。
其方が全ての属性の加護を得ていることもあるが、その全ての属性の精霊魔法を知り尽くしている土の精霊王のこの私が直々にレティーツィアに精霊魔法を教えるのだからな。
ハハハハハッ! 任せておけ!」
「え……! いいのですか?」
「ああ、良いとも!
だが……、全ての属性の精霊魔法を使えるように学び始めると言っても、どの属性の精霊魔法から学ぶのか優先順位は決めた方がいいだろうな。
レティーツィア、木・火・土・金・水のどの属性から学びたいのだ?」
「えっと、そうですね。
……木・火・土・金・水の属性ごとにどういういった違いがあるんでしょうか。」
「ああ、すまなかった!
私としたことが木・火・土・金・水の説明が不十分であったか。
木は植物系、
火は火炎系、
土は土系、
金は金属系
水は水系、の精霊魔法が使えるようになるぞ!
……あー、ちなみに参考にだがな。 私は土の精霊王だからな土の属性はいいのではないかと思うのだかな……。 ……其方に土の属性を選べなどと言う気はないが、私と其方がともに土の精霊魔法を互いに極めていくのが良いのではないかと思うのだ。 ……いや、其方に私とお揃いの土の属性の精霊魔法を極めてほしいなどと思っているわけではないのだぞ……? ……ほら!、その、私たちは婚約者なのだしーーーー。」
ハルトムートがレティーツィアに何やら土の精霊魔法を最初に学ぶのを希望してほしい!、という熱いアピールのようなことを語り出した。
だが、残念ながらレティーツィアはハルトムートの話の途中から真剣にどの属性から学び始めるのが良いのかを考えていたので、その後も延々と続いている土の属性を勧めるアピールは聞き流しており、ほとんど耳に入っていなかった。
(うーん……。 ハルトムートの話っていつも思うけど、大雑把というか簡潔すぎるのよねぇ。 木・火・土・金・水の5つの大まかな違いはわかったような気がするけど、肝心な違いが理解しきれていない感じがするのよね。 とにかくハルトムートは土の属性を勧めてるみたいだけど、今の私にとって一番適している属性って木・火・土・金・水の内どれなんだろう……。)
レティーツィアはどの属性にするか考えていると、今までレティーツィアが知った精霊魔法がどの属性なのか疑問に思ったことをまだハルトムートに確認してなかったことに気がついた。
(……これって、今気づいて本当に良かったかもしれないわね。 飛行魔法の時はたまたま精霊魔法の基本を選べたけどそんなのたまたまだし、それにそんなに何回もたまたま運が良かったなんて運が続くわけもないしね。 ……ちゃんとハルトムートに確認して、どの属性の精霊魔法なのか確認しよう……!)
「ハルトムート、前にあなたが使っていた精霊魔法の属性がわからないんだけど聞いても良いですか?
もしかしたら厳密には精霊魔法じゃなくて私が精霊魔法なんだって思い込んでるだけかもなのかもしれませんけど、いくつか気になっているものががあるんです。」
「……む? なんだ?
気になっていることがあるのなら、なんでも質問するがいいぞ!」
先ほどハルトムートはレティーツィアに土の属性を選んでほしそうに語った後から、レティーツィアへ向けて土の属性を選んでほしいなという熱いアピールの視線をジリジリと送り続けていた。
だが、レティーツィアの質問には真剣に答えてくれるようで、一旦熱いアピールの視線をやめて話を聞いてくれるようだ。




