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いい子でいるのはやめました ~虐げられた天才令嬢は、家族全員に容赦のない報復を始める~  作者: みやこ


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第八章 悪人たちの、その後



事件から三週間後。


グランフェルト侯爵家の裁判が結審した。


王国史上でも珍しい大規模な魔導犯罪事件として、王都中がその話題でもちきりになった。


そして、判決は極めて厳しいものだった。


まず、父ロルフ。


大量の魔導器を無許可で製造販売した詐欺。


公的登録証の偽造。


危険な魔導器の販売による被害。


領地の税金の不正流用。


さらに、娘の財産を不当に処分したことまで認定された。


判決は、侯爵位剥奪、全財産没収、十八年間の刑務労働。


王家から授与された勲章も、すべて取り上げられた。


判決の翌日。


かつてグランフェルト侯爵家の紋章が掲げられていた王都の大門から、紋章が撤去された。


王国の紋章官が、公開の場で侯爵家の紋章板を叩き割る。


ばきん!


「グランフェルト侯爵家は、本日をもって廃絶する!」


見物人から歓声が上がった。


ロルフは護送車の中で、その光景を見せられた。


「わ、わしの家が……!」


必死に手を伸ばす。


「わしの侯爵家がああああっ!」


しかし、彼の声など誰も聞かなかった。


義母ベアトリス。


慈善基金の横領と詐欺、使用人に対する不当な監禁と傷害について有罪。


懲役十二年。私財の没収と、横領金の全額返還命令。


宝石も、ドレスも、屋敷も、すべて失った。


最後まで隠し持っていた大粒のダイヤの指輪まで、財産調査で見つかった。


「これは、わたくしのものよ!」


「購入代金が横領金から支払われています」


「いやああああっ!」


彼女が何より大切にしていた豪華な宝飾品は、すべて競売にかけられた。


売上金は、孤児院へ返還された。


かつて彼女が鼻で笑っていた子供たちは、そのお金で暖かい毛布と新しい寝台を手に入れた。


一方、ベアトリスに与えられたのは、灰色の囚人服と固い寝台だけだった。


弟ダリオ。


武装盗賊団への違法魔導武器販売。


盗賊団の襲撃を助長した罪。


さらに、博覧会で抜剣して人を襲おうとしたことも加わった。


懲役十五年。騎士資格は永久剥奪。


自慢の魔剣はすべて押収。


王立騎士団に入るという夢も、完全に断たれた。


もっとも、彼は入団試験を受ける前から「将来の騎士団長」を名乗っていたのだが。


刑務所へ移送される際にも、散々暴れたという。


「俺は侯爵家の跡取りだぞ!」


看守は無表情で答えた。


「その侯爵家は、もうありません」


「…………」


ダリオは、その場で泣き崩れた。


最後にミレイユ。


発明者の詐称、登録詐欺への加担、危険魔導器の製造と不正運用。


そして、安全上の危険を承知しながら発表会を強行したことが認定された。


懲役八年。魔導師資格の永久剥奪。


さらに、服役後も被害者への賠償義務が残された。


一生かかっても払いきれないほどの金額だった。


牢の中で、ミレイユは毎日泣いていた。


「お姉様……」


昔のように泣けば、誰かが助けてくれると思っていた。


しかし、誰も来なかった。


「お姉様ぁ……!」


何度呼んでも、返事はない。


かつて『百年に一人の天才少女』と呼ばれた娘の名は、今や『王国史上最大の偽天才』として広まっていた。


彼女の名前が刻まれた記念碑は撤去され、発明品の登録記録もすべて訂正された。


残されたのは、他人の功績を盗んだ犯罪者という記録だけ。


美しいドレスも、宝石も、取り巻きも、婚約の申し込みも。


何一つ残らなかった。


なお、ボルツ伯爵も無事では済まなかった。


侯爵家への融資を利用し、娘本人の同意なく結婚を強制しようとした契約書の偽造が発覚。


伯爵は詐欺容疑で取り調べを受け、少なくともリゼロッテとの婚姻は完全に無効となった。


彼が侯爵家へ貸した大金も、担保にしていた財産が犯罪収益として没収されたため、回収は困難になった。


「わ、わしの金があああ!」


(あの人、最後までお金の話しかしていなかったなあ)


後日、その話を聞いたリゼロッテは、そんな感想を抱いた。


こうして、彼女を虐げてきた人々は、例外なく自分の行いの報いを受けた。


そして、彼らがリゼロッテの人生に関わることは、二度となかった。

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