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カリナ、語り終える ―受け入れる、ルーカスとジェイ―

 カリナが、語り終えるまでジェイもルーカスも、最後まで目をそらさなかった。

 とてつもなく、重くて長い物語だった。カリナの長い語りの後に、2人とも言葉を持て余している。


 沈黙の後、最初の口を開いたのはジェイだった。


「なるほど、それだけの戦いをくぐり抜けてきたんだ。その手のひらの傷になるわな」


 ジェイのその言葉にカリナはほっとした表情を浮かべる。


「ありがとうございます。この世界に来てから、自分は本当は別世界から来た人間じゃない。ただの妄想なんじゃないかって思う時もあったんです」


 そう語る声が震えている。それほどまでに〝自分自身〟を支える〝心の糸〟は細いものだったのだ。

 ルーカスがいい話つ。


「妄想なものか。君がここで受けた治療を覚えているか? 眼底出血、微細骨折、その他数えきれない小さな傷――、小指が歪んでいたよな? あれもそうだが、君の体に刻まれたあれらの傷は間違いなく君の戦いの証明なんだ」


 そしてルーカスはカリナの肩をそっと叩きながら言う。


「迷うこともあるだろう、自分自身を信じきれない時もあるかもしれない。しかし、君が君自身を否定する理由にはならない」

「はい――」


 カリナはうるんだ目で彼らの言葉を聞いていた。

 そしてルーカスは言った。


「君が君であるために、そのための道を探すため、俺たちはここにいるんだ」


 でも、弱さも彼らは受け入れてくれた。ジェイは言う。


「今の話でも出てきたが、長い戦いで一緒だった仲間が目の前から忽然と姿を消したんだ。寂しさは募るってもんさ」


 だがジェイはカリナの目を見つめてこう言ったのだ。


「寂しかったら、我慢せずに俺たちにいつでも甘えていいんだぞ? 勇者の剣士としてじゃなく、1人の女の子のカリナとして。――な?」


 そうニコリと笑った笑顔がカリナにはとても嬉しかった。


「はい――」


 不安にまみれた表情はどこかへ行った。ようやくに心のよすがを見つけたような安心した表情でカリナは笑っていたのだ。

 ルーカスが言う。


「今日はもう遅い――、そろそろお開きにしようか」

「はい、そうします」


 その言葉を聞いて2人は立ち上がった。まずはジェイが言う。


「明日からまた、戦闘に関するレクチャー始まる。今の君なら向き合うことができるだろう。しっかりついてこいよ」


 ルーカスもカリナに告げた。


「さあ、もう今日はゆっくり休めたまえ」


 そう言いながら彼らは歩き出す。


「おやすみなさい」


 そう発した、カリナの言葉に、2人は視線でうなずきながら彼らは帰っていたのだった。

 カリナは寝巻きに着替えて聖剣であるレギオンブレイドを枕元において、布団の中へと入り込む。エリュシオが語りかけてくる。


『お疲れ様でした、カリナ様』

「うん、おやすみ。エリュシオ――」


 こうしてカリナは眠りについた。安らかな寝息を立てながら。

 しかしこの日は、彼なら心の傷を動かされるような悪い夢は見なかったのである


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