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カリナ、魔王謁見の間へ ―魔王ヴァルガリアス居城、ダークフォージ城―

――そして、戦いは終局へと向かう。


 そこは戦いの最後の場所だった。

 魔王ヴァルガリアスの居城であるダークフォージ城の最奥部、魔王の謁見の間であった。

 

 ソルスター自由連合軍の諸派は、それぞれの攻撃任地で魔王軍と最後の戦いを繰り広げている。

 そして、彼らによって生み出された魔王城防衛網の〝隙間〟――そこを突破して、魔王城軍門へと接近を果たし、それを見事突破して魔王城突入を果たす。

 エントランスホール――、中間領域――、魔王城最奥部の大階段――、謁見の間正面扉前――、そして、謁見の間へと続いた。

 

 今、重苦しい扉が左右に開き、魔王の持つ魔力が醜悪な黒気が溢れ出してくる。その鼻の曲がるような異臭、吐き気を催すような瘴気――

 思わず咳き込むカリナにソフィアが発破をかけた。


「気持ちをしっかり!気を抜くと意識を持っていかれるわ!」

「はい!」


 気合いを入れるかのように聖剣を一閃する。

 

――ブォッ!――


 瞬間、理性と正気が戻り、カリナは状況を冷静に把握し始めた。 


 そこはまさに魔の支配者の空間、その一番奥に玉座が据えられ座していたのはまさに魔王ヴァルガリアスその人だ。

 漆黒で肌、どす暗いオーラ、黄金色のフルプレートアーマーを身につけ、ネジ曲がった右の角、褐色の髪が乱雑に伸びている。眼光鋭く赤い光を放っていた。

 剣は下げておらず、その持てる魔力そのものが彼の武器だ。その鋭く伸びた両手の爪からは有り余る魔力が火花を散らすようにほとばしっていた。 


 対するカリナの魔法剣士装束は戦いを重ねて返り血にまみれていた。

 カリナはまさに、激戦の末に魔王と対峙し最後の戦いの最中にある。

 魔王城の謁見の間、そこにそびえる魔王の巨躯を前にして、カリナは心のうちに畏れを抱かずにはいれられない。

 

――これが、魔王――


 魔王もまた勇者を名のる少女を前にして溢れる怒気を隠さない。その絶大な魔力が両拳から溢れて火花を散らす。

 その火花にカリナは思わず歩みを止める。腹の底に恐怖が湧いてくるが、すぐ近くに仲間の気配に気持ちを支えられた。


――そうだ、私は一人じゃない――


 そう思い至った時、震えが止まった。


「永劫に渡るこの戦い! 今こそ決着をつける!」


 仲間たちにも号令を下す。

 

「各員配置! エルリックは敵の攻撃を防いで! ソフィアは魔導対応! ミリアは援護射撃!」


 エルリックは重装歩兵の鎧に装備された魔導回路を起動し、

 ソフィアは、高速自動詠唱用の小型水晶カードを取り出して、魔王の魔導抑制の結界魔法を発動させる。

 ミリアも、小型水晶カードを取り出し、空間転移召喚で銃火器の収められている武器コンテナを呼び出すと謁見の間の各所に分散配置した。


「準備よし!」とミリア

「詠唱完了」とソフィア

「行くぞ! カリナ!」とエルリック


 そして――

 

「全員、かかれ!」


 カリナの号令がかかり、4人同時に一斉に動く。

 

「人間どもが! 縊り殺してくれる!」


 魔王ヴァルガリアスも、一歩も引く気配はない。こうして両者はぶつかりあったのだった。


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