カリナ直臣軍団 ―アルカナヴァンガード動く―
そして、戦場へと臨む平地の片隅にて、カリナは毅然として背筋を伸ばし背後を振り返る。その視線の先には彼女を慕い、忠誠を誓い、ともに血を流しながら戦い続けてきた親愛なる〝戦友〟にして〝仲間〟が居た。
戦場の空から雷光が地上を照らし勇者カリナ・ウィングスの姿を壮麗に浮かび上がらせる。そしてカリナは麗しきその長い金髪を風に舞わせながら聖剣レギオンブレイドを高く掲げ、戦友たる者たちに呼びかけた。
「親愛なる仲間たちよ、この大地を我々の手に取り戻す時が来た! 力を合わせ、魔王を討つのだ!」
「おおおっ!」
カリナの言葉に気合を持って答えるのは一千数百余人に及ぶ精鋭軍団――、魔法剣士騎士団アルカナヴァンガードである。
その彼らの前にたたずむカリナは、魔法剣士装束に身を包んでいた。
サーコート衣装に胸甲鎧を重ね、白磁のマントを背中からたなびかせる。
戦場の風に、ブロンドの髪をたなびかせ、頭の頂きには銀色に輝くサークレットを輝かせている。
脚には、装甲付きのグリーブ仕様のロングブーツを履き戦場の大地を踏みしめる。
泥にまみれて、傷を重ねた、その装束をまとい、カリナは今こそ直下の魔法剣士騎士団アルカナヴァンガードの精鋭たちと、その隷下の全ての軍勢に突撃の掛け声を告げた。
「炎を放て! アルカナヴァンガード! 前進せよ!」
「おお!!」
勇壮な戦士たちの雄叫びが轟く。魔法剣士騎士団アルカナヴァンガードと、それに従うソルスター自由連合軍の誇りをかけて、彼らは団長である勇者カリナと共に魔王城に向かって進撃を開始した。
§
アルカナヴァンガードの軍列は、総指揮官カリナのもと、戦士系軍団長エルリック、魔道士系軍団長ソフィア、技能系軍団長ミリア――、
彼らが率いる諸部隊が緻密に連帯して魔王城ダークフォージ城へと着実に進軍を続けていた。
カリナは軍馬に乗馬しつつ進軍を続ける。
「皆に命じます。戦況報告を!」
その凛とした声が、アルカナヴァンガード全体に響き渡る。
まず、側近の一人として付きそうエルリックが答える。
「8大国諸軍団の動静だが、ルミナリア以下、諸国軍団は作戦通り、順調に決戦地に到達予定だ」
「エルフやドワーフ、ドラゴン種族などの諸種族は?」
「問題ない、各攻略地点を陥落させつつ進軍中だ」
「重畳ね、作戦通りだわ――」
次いで答えるのは、当世最高の革新派魔道士と呼ばれるソフィアだった。
「敵陣地の魔導結界への対策について説明するわ」
「お願いします」
「飛行魔道士部隊エーテルウィングスの偵察と事前工作により、敵の魔導結界網はすでに破壊完了とのこと、ドラゴン種族の活躍もあり、諸軍団・諸種族との連携も破綻無く進行中よ」
「相変わらず見事ね! 敵の伏兵も考えられるわ」
「まかせて! 対策は抜かりないわ!」
自信家のソフィアだったがカリナは彼女を信頼していた。
さらに、自らが優れた斥候兵で、弓部隊、銃砲隊、工兵部隊と言った技能派を率いるミリアも報告する。
「先行偵察部隊からの報告だけど、総じて順調よ。敵防御網の穴は掴んだ、諸軍団、諸種族が想定通りに結集すれば、一点突破で敵本城へと突撃できるわ」
「ありがとう、それでこそ私が信じたミリアだわ」
「ふふ、おだてても何も出ないわよ」
長年に渡り共に戦場を歩いた〝始まりの4人〟――彼らの信頼の絆は強固で絶対に揺るがなかった。
「これで必要な手順は揃ったわ。あとは――」
「諸軍団の集結だな?」
「えぇ」
エルリックの言葉にカリナは頷いた。




