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罪 第4部

翌日――

あの感覚は、消えていなかった。

学校へ向かう道で、

胃の奥に重たい塊のようなものを感じていた。

――今日は、もっと悪くなる。

そんな予感があった。

そして――

その予感は、外れなかった。

教室へ向かう途中、

視線に気づく。

クラスメイトたちが、こちらを見ている。

でも――

昨日までとは違う。

普通じゃない。

疑うような目。

軽蔑するような目。

中には、小声で話している者もいる。

イツキは視線を落とした。

一歩一歩が、

昨日よりも重く感じる。

教室に入ると、

空気が変わった。

一瞬――

会話が止まる。

ただ、彼を見るために。

そしてすぐに、また話し声が戻る。

でも――

視線だけは消えなかった。

授業は、いつも通り進む。

それでも、

イツキにとっては何一つ普通じゃない。

ささやき声は、すべて自分への非難に聞こえる。

視線は、すべて裁きのように感じる。

そして――

ドアが開いた。

校長先生だった。

「イツキくん」

その声は、はっきりしていた。

「少し来なさい」

心臓が大きく跳ねる。

一瞬、世界が止まった気がした。

(……終わった)

そう思った。

ゆっくり立ち上がる。

一歩一歩が、

罰へ向かうように重い。

校長室に入ると、

空気はさらに張り詰めた。

校長は、しばらく彼を見つめてから口を開いた。

「イツキくん……あなたとミカリさんのことで、いくつか話を聞いています」

イツキは視線を落とす。

言葉が出てこない。

だが、校長は続けた。

「ただし、あなたの話も聞かずに判断はしません」

沈黙。

そして――

イツキは、ようやく口を開いた。

「ミカリが来てから……」

声は弱かった。

「自分は……助けようとしていました」

「学校を案内して……」

「宿題を手伝って……」

「話をして……」

「信頼してもらおうと……」

手が、わずかに震える。

「彼女が、自分といるのを嫌がっているなんて……」

「一度も、直接言われたことはありません」

「それは……友達から聞きました」

息が詰まる。

「でも、自分は……そんなつもりじゃなかったんです」

校長は黙って聞いていた。

そして、ゆっくりと息を吐く。

「話では、あなたが彼女につきまとっていたと聞いています」

イツキは、すぐに顔を上げた。

その目には、必死さが浮かんでいた。

「違います!」

声が震える。

「そんなこと、絶対にしません!」

「自分は……確かに問題を起こすこともありますけど……」

「でも、こんなことは絶対にしません……!」

校長は、しばらく彼を見つめた。

やがて、その表情がわずかに柔らぐ。

「イツキくん……あなたはこの学校でも優秀な生徒の一人です」

「これまで何度も代表として活躍してきましたね」

小さく息をつく。

「私は最初から、すべての噂を信じていたわけではありません」

「話を聞いて……誤解の可能性が高いと判断しました」

イツキの胸が、わずかに緩む。

――ほんの少しだけ。

校長が信じてくれたとしても、

分かっていた。

――他の人たちは、違う。

校長室を出る。

足取りは重い。

廊下は静かだった。

自分の足音だけが、やけに大きく響く。

まるで、

誰かに聞かれているような気がした。

すべて知られているような気がした。

教室に戻る。

ドアを開けた瞬間――

また、会話が止まる。

数人がこちらを見る。

すぐに目を逸らす者。

そして――

そのまま見続ける者。

そこにあったのは、

疑い。

軽蔑。

嫌悪。

イツキは視線を落とし、

自分の席へ向かった。

何も言わない。

誰とも目を合わせない。

――誰も、話しかけてこない。

授業は続く。

先生が話し、

生徒が答え、

笑い声が混じる。

でも――

イツキには、すべてが遠く感じられた。

まるで水の中から、外の世界を見ているように。

時折、視線を感じる。

そのたびに、

体が少し縮こまる。

机に、さらに身を寄せる。

先生に当てられても、

手を挙げない。

――初めてだった。

誰にも、見られたくないと思ったのは。

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