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ダメージ?そんなのくらってなんぼでしょう~HP極振りの行くVRMMO~  作者: まあ
第二の街イルン

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遭遇

 あの後、俺はおかしいほどに静まり返った洞窟の中をゆっくりと歩いていた。


 雰囲気がホラー系そっくりだが、物音がするわけでもなく時折生温かな風が吹くでもない。


 ただ、静か。


 俺が魔物を大量虐殺したことがおおよその理由だろうか。


 ・・・ま、まあ嵐の前の静けさとも言うしな。うん、多分それだ。


 決して元々魔物がいたのに既に死んでいるとか、正常に稼働していた罠が軒並み壊れてるとか、そう言うことではない。


 きっとそうだ。そうに違いない。


 もしそうなら魔王は最近現れたばかりの新参者というわけになる、という意見には耳を傾けないでおこう。


 そう、元からここには何もなかったのだ。


 それにしても、ここにはやけに広いな。もうかれこれ30分近く進んでるのに奥まで到達できない。


 AGIがほんの少ししかないとはいえ、体感2kmは歩いている気がする。


 どれくらいの難易度のダンジョンだったんだ。


 ここにぎっしりと強化ゴーレムが詰まってたら普通のプレイヤーは誰もクリアできないぞ。


 かという俺も【反爆連鎖】がない状態で挑んでいたら確実に負けていた。


 数体までなら倒せたかもしれないが、数千体は絶対に体力が持たない。もしも回復を挟む暇があったとしても途方もない時間がかかっていただろう。


 いやー、トレントの魔王もこのタイミングでお勧めするのはなかなか見る目があるな。


 他人の力を見抜くスキルでも持ってるんだろうか。俺も欲しい。


 元からついてるのはHPと魔物の説明しか読めないからな。相手の強さが雰囲気でもわかるならぜひ持っておきたいものだ。


 と、曲がり角か。そろそろゴールが近いといいんだが。


「———トイウワケデ、———デス」


 ん?


「ワレワレ———タイ———ドウ———!?」


 曲がり角の先から微かに話し声が聞こえる。


 だが、どれも人間のような声ではなく機械的な印象を受ける。


 俺は音を立てないようにこっそりと曲がり角から顔を出す。


 25mほど先、ボス部屋と思わしき大きな部屋でゴーレム数体が話し合いをしていた。


 その中でも特に威圧が強いのは中央にいる黒光りした巨大なゴーレム。


 それに加えて部下だろうか、さまざまな色のゴーレムが円を描くように座っていた。


 やけに知性的だな。


 聞こえてくる声はカタコトだが、話している内容はかなり高度な話に聞こえる。


 さすがはあの爆発を生き延びただけはある。


 ・・・それにしても先にこの現場に遭遇してしまったが故に姿を現し辛いな。


 明らかにどのゴーレムも怒りを露わにしているし。


 絶対俺が部下を殺したことで怒ってるだろ。こえーよ。


 かといって俺には奇襲と言えるようなスキルも持ってないし、話しかけるのも論外だし。


 俺は自分が殺されるのに嬉々として向かっていくような狂人ではない。


 いや、そういうプレイスタイルなのは認めるが、別に内面までそんなドMではない。


 ここから自爆を仕掛けるのもあまりにもコスパが悪すぎる。


 なんて言ったって25mくらい離れているのだ。


 そこに届かせるためだけに750もHPを使うのは流石に何ともいえない。


 しかも、彼らは爆発を生き抜いた個体。その自爆が有効打になる確率は低い。


 となると、堂々と向かって言って思いっきり殴られるのだ最善策になるわけだが・・・。


 えぇ?


 怒られるのが確定している状態で学校に行くのが一番鬱なんだけど。


 しかも絶妙に距離が離れているから、『えぇい、ままよ!』って行くにしても全力疾走が数秒続くっていうシュールな描写になってしまう。


 なんだこの25mは。運営は一体何を思ってこの距離を設定したんだ。


 しかも曲がり角絶対に要らなかっただろ。それのせいで身を隠す羽目になってるわけだし。


 ・・・面倒臭い。もう何でもいいや。


 俺は埒が開かないと思って、曲がり角から姿を現し悠々とボス部屋に向かって歩いていく。


「ナ、ナニモノダ!?」

「マサカ、オマエガ?」


 当然、ボスおよび側近のゴーレムたちはすぐに気づきこちらに話しかけて、いや怒鳴りかけてくる。


 結構な距離があるのに話しかけてくるなよ。返事するのが難しいだろうが。


 というわけで、俺は無視して堂々と進み始める。


「オイ、ダカラオマエハ」

「ヤメロ、クウキヲヨメ」


 引き続き語りかけようとしてくる側近たちを黒光りのゴーレムが手で止める。


 お、なかなかやるじゃないか。


 一般常識ができるってだけで評価は高いぞ。


「マオウサマ、ナゼデス!?」

「イヤ、フツウニ、キョリヲカンガエロ」

「キョリ?ア・・・」


 うーん、ドジどころの騒ぎではないな。


 ゴーレムは元々感情の表現が豊かだと思っていたが、話せるようになると結構アホになるんだよな。


 え?アルベリオン?


 あれはゴーレムじゃない、ゴーレムのフリした化け物だ。


『ジン様・・・後で覚えておいてくださいね』


 ・・・今一瞬寒気がしたが気のせいだろう。


 まあ、それは置いておいて今回のゴーレムの魔王は喋り方こそカタコトだが、かなり知性があるタイプの気がする。


 と、そんなことをしていると距離が徐々に詰まってきた。


「さて、そろそろ大丈夫か」

「ナ、ナニモノダ?」

「お前らの部下を全滅させた張本人、だけど?」

「「「・・・ハ?」」」


 ゴーレムの側近は皆きょとんとした雰囲気で間抜けな声を出す。


 え?


 その可能性を想定していなかったのか?


「ソウカ、ヤハリオマエガ・・・コロス!」


 ちょっ、そっちはそっちで話を進めるなよ。


 部下たちがあまりの驚愕事実にフリーズしてるだろ。そっちの介抱をしてあげろよ。


 あぁ、もうめちゃくちゃだ。


 混沌の雰囲気の中俺とゴーレム達との戦いは幕を開けた。

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