討伐、そして連行
「うおお、逃すなぁ!」
「ギジャア」
俺は相変わらず大量のプレイヤーやら衛兵に追われながらオープンフィールドに向かっている。
幸いなのは、AGIが全員等しいため俺よりも速いやつがいないこと。
が、逆を言うと俺より遅い奴もいないと言うこと。
えー、どうしたものか。
おそらく今の均衡はオープンフィールドに行った途端崩れる。
そうなると、討伐待ったなしだ。
ど、どうしよう。困った。
解決策を模索している間も、セーフティゾーンを抜ける時は刻一刻と迫る。
まずいまずいまずい。
さっきチラリと後ろを見た時は、もはや数十人程度ではなく数百人レベルで俺を追いかけていた。
普通ゲジゲジが出ただけでそんなに大事になるか?
確かに普通のゲジゲジに比べるとちょっと、ほんのちょっと大きいのは認めるが、その程度でこんなにハプニングになるのか。
・・・流石に無理があるか。
ほんのちょっとではなく、普通に10mくらいあるんだよな。
そりゃあ大惨事になるわな。俺でも追いかけれそうなら野次馬精神で追いかけるだろうし。
そんな呑気なことを思っていると、ついに街を出る城門が見えてきた。
あ、終わった。
俺は城門が閉まっているのを確認すると、助走をつけて壁を走り抜けて向こう側に移動する。
「門を開けろぉ!」
「逃すなぁ!」
「ひっ、わかりました。し、少々お待ちを」
そして、その裏では血気迫る表情のプレイヤーたちに門番が囲まれて開門の要求をしていた。
いや、命令をしていた。
「開門!」
そして迅速に対応した門番がおよそ30秒足らずで門を開けさせる。
「うおお!」
「どこに行った!」
「逃してたまるか!」
瞬間、プレイヤーの雪崩が門から発生。
もはや城門周辺は混沌と化していた。
そして、数秒もしないまま、探索に特化したプレイヤーがジンの居場所を特定。
「AGIが多いやつは奴を追え!」
「それ以外のものは、一旦ここで待機しろ!もしもやつが戻って来た場合の迎撃を頼んだぞ!」
「サポート職はできる限りの援護を!」
さすが第二の街に来ているだけのことはある。
プレイヤーたちは迅速に即席のチームを作り、それぞれで動き始めた。
一方その頃・・・
「ギジャア」
街を出た途端、相当足が速くなった。AGIが0のいつもの俺はセーフティゾーンは足が速くなる場所という認識だったのだが、逆にAGIが多いやつは足が遅くなる場所なのだろう。
まあ、めちゃくちゃ足が速いやつが街を闊歩していたら普通に鬱陶しいもんな。みんな平等、これ大事。
一応知っている道である、西の山方向に向かって移動しているのだが、俺を追尾するプレイヤーたちが全くと言っていいほどいなくなった。
やはり城門をカットしたのが非常に大きかったのだろう。
城門が開くまでは流石にプレイヤーたちも外には出られないだろうからな。
これはまくのも時間の問題だろう。勝ったなガハハ。
《———称号【4級フラグ建築士】の効果が発動しました》
《これより、プレイヤー名ジンを追うプレイヤーのAGIに補正が入ります》
◇◇◇◇◇
5分ほどだろうか。万が一があってはいけないと思って移動し続けていたのだが、なんか後ろから叫び声が聞こえてきた。
「なんか足が軽いぞ!これはチャンスだ!」
「逃すなぁ!」
「やっと見つけたぞ!化け物!」
え。
「ギ、ギジャアア!?(な、なんでここが!?)」
俺の口から思わず驚愕の声が出る。
なぜなら、あれだけ距離を離していたプレイヤーが俺の後ろに迫りきているからだ。
おかしい。
確かにAGIの数値が変わるとはいえ、ここまで早く俺についてきているはずがない。
ま、まずいまずいまずい。
全力で走り始めたのに、時間が経つにつれてぐんぐんと距離が詰められていく。
「【ファイアーアロー】!」
そしてついに俺に対して攻撃が飛んでくる。
プレイヤーと気づいていないのか?それ普通にPK行為になるんだが。
気づいてなさそうだな。攻撃が効かないということくらいしか分かってなさそうだ。
そして、俺の甲殻に燃える弓矢が突き刺さる。
熱っ!なんでこんな弓矢が普通に飛んでくるんだよ。
AGIが高いはずなのに、こんなに火力が高いのはやばいだろ。
・・・いや、これもしかして速いやつの背中に火力高いやつがおぶさってるのか?
俺とアルベリオンみたいな構図になってるのか。
実際俺がやっている身なので大声ではいえないが、足が速い人におんぶしてもらうことで足が遅い人で早く移動できるのはおかしいと思う。
これは運営に要抗議だ。
2人以上なら、足の遅さという欠点をなくせるのだ。普通にやばいだろ。
とはいえ、これは非常にまずい。全力で走ってもなお、むしろ距離が縮んでいく。
そして、どんどんと弾幕が厚くなっていく。
それを被弾していくにつれて、HPがぐんぐんと減っていく。
あ、まずい死ぬ。
俺に火の魔法が直撃した途端、俺のHPが溶ける。終わった。
そしてハウスセンチビートルの体が消えてなくなり、人がたの俺に変わる。
「な、なに!?」
「誰だ!?」
そしてそれを見たプレイヤーたちが困惑の声を上げる。
「えーっと、これには深い事情があってだな」
「「「・・・」」」
俺が両手をあげて敵意がないことをしてもなお、数多のプレイヤーが俺を担いで冒険者ギルドにつれて行こうとする。
「ちょ、ちょっと待て。話くらい聞いてくれ!」
「「「はあ・・・」」」
なんでそんな顔をするんだよ?
後書き。
みんな平等・・・?
ジン、お前がそれを言うのか?




