表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴君陛下は人の心が読める~本音しか言わない元ヤン令嬢を溺愛中~  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/61

第五十一話 帝城の中の罠

 その日の午後。


 レイナとカイゼルは、予定通り帝都へ出ることになった。


 今回は前回よりも護衛の数が多い。


 レイナは馬車へ乗り込みながら、周囲を見回した。


「……護衛、多くない?」


「ああ。」


「前より倍くらいいる気がする。」


「必要だからな。」


 カイゼルも馬車へ乗り込む。


「今度こそ、何も起こさせない。」


「そんなに心配しなくても大丈夫だって。」


「お前は少し危機感を持て。」


「持ってるよ。」


「本当に?」


「……たぶん。」


 カイゼルは呆れたように息を吐いた。


 馬車がゆっくりと動き出す。


 レイナは窓の外を眺める。


「今日は何食べようかな。」


「また食べ物か。」


「帝都に来たら食べたくなるじゃん。」


「好きなものを選べ。」


「やった。」


 レイナは嬉しそうに笑った。


 その様子を見て、カイゼルもわずかに表情を和らげる。


◇ ◇ ◇


 一方。


 帝城。


 誰もいない廊下を、一人の男が歩いていた。


 男は近衛兵の制服を着ている。


 しかし。


 その胸元に付けられた徽章は、ほんの少しだけ形が違っていた。


 男は周囲を確認する。


「……ここだ。」


 目の前にあるのは、皇帝の執務室へ続く扉。


 男は懐から小さな鍵を取り出した。


 鍵を差し込む。


 カチャリ。


 扉が開く。


 男は素早く中へ入った。


 机。


 本棚。


 大量の書類。


 男は迷うことなく、机の引き出しへ向かう。


「これだ。」


 引き出しの奥から、一枚の書類を取り出す。


 そこには、帝国の重要な情報が記されていた。


 男はそれを懐へしまう。


 そして。


 部屋を出ようとした。


 その時。


「どこへ行く。」


「……っ!」


 背後から声がした。


 男が振り返る。


 そこには。


 一人の近衛兵が立っていた。


「ここは陛下の執務室だ。」


「許可なく入ることはできない。」


 男は剣へ手を伸ばす。


「……邪魔だ。」


 しかし。


「動くな。」


 近衛兵たちが次々と廊下へ現れる。


 完全に囲まれていた。


「なぜ……。」


 男の顔が青ざめる。


 その時。


 近衛兵の一人が冷静に告げる。


「陛下はすでに、この城の中に協力者がいることを把握している。」


「お前が何を探しているのかもな。」


 男の表情が変わる。


「……まさか。」


 近衛兵が男の手元を見る。


「その書類を渡せ。」


 男は黙り込む。


 そして。


 懐の書類を強く握りしめた。


「……渡せるか。」


 次の瞬間。


 男が窓へ向かって走り出す。


「捕らえろ!」


 近衛兵たちが一斉に動く。


 しかし。


 男は窓を開け、そのまま外へ飛び出した。


「なっ!」


 近衛兵が窓から外を見る。


 だが。


 男の姿は、すでに城壁の向こうへ消えていた。


◇ ◇ ◇


 その頃。


 帝都を歩くレイナは、露店の前で足を止めていた。


「カイゼル。」


「ん?」


「あれ食べたい。」


 指差した先には、焼きたての菓子が並んでいる。


「またか。」


「だって美味しそう。」


「分かった。」


 カイゼルが店主へ声をかける。


 レイナは嬉しそうに笑った。


 しかし。


 カイゼルの表情が、ふと変わる。


「……。」


「どうしたの?」


 レイナが尋ねる。


 カイゼルは周囲を見回した。


「今。」


「誰かが余の執務室へ侵入した。」


「え?」


「心を読んだの?」


「ああ。」


 カイゼルの目が細くなる。


「何かを探していた。」


「そして、重要な書類を持ち出した。」


 レイナは驚く。


「帝城の中で?」


「ああ。」


 カイゼルの表情が険しくなる。


 公爵家がレイナを連れ戻そうとしている。


 そして今度は、帝城内部へまで手を伸ばしてきた。


「……思った以上に大胆だな。」


 カイゼルが呟く。


 レイナは少し不安そうに見る。


「大丈夫?」


 カイゼルはレイナへ視線を向ける。


「ああ。」


「お前が心配することではない。」


「でも……。」


 レイナが何か言いかけた、その時。


 カイゼルは突然、レイナの手を取った。


「今日はもう戻る。」


「え?」


「帝城の中で何が起きているのか確認する。」


「それに。」


 カイゼルはレイナの手を離さない。


「お前を一人にしたくない。」


 レイナは少し驚いた顔をする。


「……分かった。」


 二人は来た道を戻り始めた。


 しかし。


 帝城へ戻れば、そこには。


 まだ二人が知らない新たな異変が待っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ