↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴君陛下は人の心が読める~本音しか言わない元ヤン令嬢を溺愛中~  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/64

第四十三話 皇后候補との対面


 謁見の間。


 クラリスとエレノアは、緊張した面持ちでカイゼルを待っていた。


 やがて。


 大扉が開く。


「陛下がお見えです。」


 二人はすぐに頭を下げた。


「陛下、お目にかかれて光栄でございます。」


 カイゼルが入ってくる。


 その隣には、レイナがいた。


「……レイナ。」


 クラリスの表情がわずかに強張る。


 エレノアも驚きを隠せない。


 まさか。


 皇帝の隣にいるとは思っていなかった。


「顔を上げろ。」


「はい。」


 二人が顔を上げる。


 カイゼルは二人を静かに見た。


「今日は何の用だ。」


 クラリスが一歩前へ出る。


「父から、陛下へご挨拶を申し上げるよう申しつかっております。」


「それだけか。」


「……。」


 クラリスは一瞬言葉に詰まった。


 だが、すぐに微笑む。


「それと。」


「私たち姉妹のことを、少しでも知っていただければと思いまして。」


 エレノアも続く。


「私たちは皇帝陛下のお役に立てるよう、幼い頃から教育を受けてまいりました。」


「礼儀作法も、政治についても学んでおります。」


「そうか。」


 カイゼルの返事は短い。


 クラリスは少し焦ったように続ける。


「もし陛下が皇后をお選びになるのであれば。」


「私は、帝国のために尽くす覚悟がございます。」


 エレノアも負けじと口を開く。


「私も同じです。」


「皇后として、陛下をお支えしたいと思っております。」


 レイナは隣で黙って聞いていた。


(うわぁ……。)


(めちゃくちゃ皇后になりたいんだな。)


 カイゼルには、その心の声も届いている。


 クラリスの心には。


『絶対にレイナには負けない。』


 エレノアの心には。


『どうしてレイナが陛下の隣にいるの?』


 そして。


『あの子さえいなければ。』


 カイゼルの目が冷たくなる。


 しかし、表情には出さない。


「二人とも。」


「はい。」


「皇后になるということが、どういうことか理解しているか。」


 クラリスが答える。


「帝国を支え、陛下をお支えすることだと考えております。」


「それだけか。」


「……。」


 カイゼルは静かに続けた。


「皇后は、自分の家の利益を優先する立場ではない。」


「帝国と民を第一に考える立場だ。」


「もちろんでございます。」


 クラリスは笑顔で答える。


 だが。


 カイゼルには、その言葉の裏側が聞こえていた。


『皇后になれば、アルフォード公爵家はさらに大きな力を持てる。』


 エレノアも同じだった。


『レイナを屋敷へ戻せば、私たちが皇后になれる。』


 カイゼルは二人を見つめる。


「……分かった。」


「本日はもう下がれ。」


「え?」


 クラリスが驚く。


「ですが――。」


「話は聞いた。」


「これ以上、話す必要はない。」


「……承知いたしました。」


 二人は頭を下げる。


 そのまま退室していく。


 扉が閉まった。


 謁見の間が静かになる。


 レイナが小さく息を吐く。


「……疲れた。」


「お前がか。」


「だって、あの二人ずっと笑ってるんだもん。」


「そうだな。」


 カイゼルはレイナを見る。


「お前はどう思った。」


「ん?」


「二人が皇后になりたいと言ったことだ。」


 レイナは少し考える。


「別に。」


「なりたいなら、なればいいんじゃない?」


 カイゼルの眉が動く。


「……本当にそう思うのか。」


「うん。」


「アタシには関係ないし。」


 その言葉を聞いた瞬間。


 カイゼルの胸の奥に、妙な苛立ちが生まれた。


「関係ない、か。」


「うん。」


「……そうか。」


 カイゼルは視線を逸らした。


 レイナは不思議そうに首を傾げる。


「どうしたの?」


「何でもない。」


 しかし。


 カイゼルの心の中には、はっきりとした一つの思いが浮かんでいた。


 ――あの二人を皇后にするつもりはない。


 そして。


 レイナが「関係ない」と言うことが。


 なぜか、気に入らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。