表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暴君陛下は人の心が読める~本音しか言わない元ヤン令嬢を溺愛中~  作者: S@Y@


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
32/62

第32話 皇帝が知らない場所で


翌朝。


帝城の執務室。


「陛下。」


アルベルトが新たな報告書を差し出す。


「アルフォード公爵家の監視を強化した結果、新たな動きがありました。」


カイゼルは報告書を受け取る。


「申せ。」


「公爵家は表向きには静かですが、水面下で各地の傭兵や暗殺者と接触を続けています。」


「それだけではありません。」


「帝城で働く者にも接触を試みた形跡があります。」


カイゼルの目が細くなる。


「内通者を作る気か。」


「その可能性が高いかと。」


アルベルトは続ける。


「ですが、接触した者は全員こちらで監視しております。」


「今のところ帝城に裏切り者は確認されておりません。」


「そうか。」


カイゼルは静かに頷いた。


「監視は続けろ。」


「一匹たりとも逃がすな。」


「はっ。」


◇ ◇ ◇


その頃。


レイナは侍女たちと一緒に帝城の図書室へ来ていた。


「すご……。」


思わず声が漏れる。


天井まで届くほど高い本棚。


数え切れないほどの本。


「全部読めるの?」


侍女が笑う。


「一生かかっても難しいかもしれません。」


「だよね。」


レイナは楽しそうに本棚を見て回る。


「料理の本もある。」


「魔法の本まで。」


「これ面白そう。」


一冊の本を手に取る。


夢中になってページをめくる姿を、侍女たちは微笑ましく見守っていた。


◇ ◇ ◇


その日の夕方。


帝城から少し離れた酒場。


黒い外套の男が静かに席へ着く。


向かいには、別の男。


「広場での襲撃は失敗。」


「毒も失敗。」


「皇帝は想像以上に厄介だ。」


もう一人の男が笑う。


「なら、皇帝を相手にするな。」


「狙うべきは女だけだ。」


「護衛がいない瞬間を作ればいい。」


黒い外套の男は眉をひそめる。


「そんな隙があるか?」


「ある。」


男は机に一枚の地図を広げた。


そこには帝都近郊の森が描かれていた。


「数日後。」


「帝城の狩猟祭がある。」


「皇族も貴族も参加する恒例行事だ。」


「森は広い。」


「人も散らばる。」


「皇帝でも、四六時中あの女の隣にはいられない。」


黒い外套の男の口元が歪む。


「なるほど。」


「そこで始末するわけか。」


「そういうことだ。」


二人は静かに笑った。


◇ ◇ ◇


その夜。


レイナは部屋の窓から月を眺めていた。


「狩猟祭かぁ。」


侍女から聞いた帝国の伝統行事。


少し楽しみだった。


「森なんて久しぶりかも。」


その頃。


執務室では、カイゼルも狩猟祭の予定表を見つめていた。


「……。」


胸騒ぎがする。


理由は分からない。


しかし、今まで何度も危険を察してきた勘が告げていた。


何かが起こる。


アルベルトが尋ねる。


「陛下?」


カイゼルは予定表を閉じた。


「狩猟祭の警備を倍にしろ。」


「特にレイナの周囲は、一瞬たりとも目を離すな。」


「承知しました。」


誰も知らない。


刺客たちが狙っているのは、まさにその狩猟祭であることを。


そして――。


レイナが初めて、自力ではどうにもできない絶体絶命の危機に陥ることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ