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暴君陛下は人の心が読める~本音しか言わない元ヤン令嬢を溺愛中~  作者: S@Y@


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第二十三話 四人目


カイゼルは人混みへ鋭い視線を向ける。


「出てこい。」


静まり返った広場に、その声だけが響いた。


人々は何が起きているのか分からず、不安そうに辺りを見回している。


レイナは小さく首を傾げた。


「まだいるの?」


「ああ。」


「一人残っている。」


レイナは周囲を見渡す。


しかし、それらしい人物は見当たらない。


(心が読めるから分かるのか。)


「心が読めるから分かるのか。」


カイゼルは小さく頷いた。


「あいつは殺意しか考えていない。」


「隠れていても無駄だ。」


その言葉が終わると同時に、一人の男が人混みから飛び出した。


「死ねぇぇぇ!」


男の手には短剣。


一直線にレイナへ突っ込んでくる。


レイナは避けようと足を動かす。


しかし。


目の前へ小さな子どもが飛び出した。


転んだ拍子に、その場へ座り込んでしまう。


(しまっ……!)


「しまっ……!」


子どもを避ければ刺される。


自分が避けなければ子どもは助かる。


迷う時間はなかった。


レイナは子どもの前へ飛び込む。


その瞬間。


「させるか。」


カイゼルが男の前へ立った。


男が短剣を振り下ろす。


カイゼルは左手で男の手首を掴んだ。


右手を静かに前へ向ける。


「凍れ。」


男の腕が一瞬で氷に包まれる。


「ぐあああっ!」


短剣が地面へ落ちた。


その隙を近衛兵が逃さない。


「確保!」


数人が一斉に飛びかかり、男を取り押さえた。


広場に静寂が戻る。


レイナはしゃがみ込み、子どもへ笑いかけた。


「もう大丈夫。」


子どもは泣きながら頷く。


「ありがとう……。」


母親が駆け寄り、何度も頭を下げた。


「ありがとうございました!」


「娘を助けていただいて……!」


レイナは照れくさそうに笑う。


「気にしないで。」


「間に合ってよかった。」


その様子を見ていた人々がざわめき始める。


「皇帝陛下が助けてくださったぞ。」


「いや、あのお嬢様も子どもを守った。」


「命懸けだったじゃないか。」


カイゼルはレイナを見る。


レイナの腕には、小さく切り傷ができていた。


ほんのかすり傷。


それでも。


カイゼルの表情から笑みが消える。


「……誰だ。」


低く押し殺した声だった。


男は取り押さえられたまま黙っている。


カイゼルは男を見下ろす。


「誰の命令だ。」


男は口を閉ざしたままだった。


次の瞬間。


カイゼルの周囲から冷気が溢れ出す。


石畳が音を立てて凍り始めた。


近衛兵たちが息を呑む。


誰もが知っていた。


――皇帝が、本気で怒っている。

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