第二十話 帝都の街
皇帝専用の馬車が帝都へ入る。
窓の外には活気あふれる街並みが広がっていた。
商人たちの威勢のいい声。
子どもたちの笑い声。
行き交う人々の姿。
レイナは窓へ顔を近づける。
(すご……!)
「すご……!」
「こんなに賑やかなんだ。」
カイゼルはレイナを見る。
「帝都は帝国で最も栄えている街だ。」
「見たい場所があれば言え。」
レイナは少し考える。
「特に決めてない。」
「歩くだけでも楽しそう。」
カイゼルは頷く。
「分かった。」
馬車が止まる。
近衛兵が扉を開けた。
「陛下。」
「到着いたしました。」
カイゼルが先に馬車を降りる。
続いてレイナも降り立った。
その瞬間、周囲がざわつき始める。
「あれ、陛下だ。」
「隣の女性は誰だ?」
「見たことがないぞ。」
レイナは居心地悪そうに辺りを見回した。
(めちゃくちゃ見られてる……。)
「めちゃくちゃ見られてる……。」
カイゼルはレイナへ視線を向ける。
「気にするな。」
レイナは苦笑した。
「そう言われても気になるって。」
二人はゆっくりと街を歩き始める。
露店には焼き菓子や果物が並び、多くの人で賑わっていた。
レイナは甘い香りに足を止める。
(美味しそう……。)
「美味しそう……。」
カイゼルは店主を見る。
「焼き菓子を一つもらおう。」
店主は驚いて目を見開く。
「へ、陛下!?」
カイゼルは金貨を差し出す。
「代金だ。」
店主は慌てて両手を振る。
「いただけません!」
「陛下からお金なんて!」
カイゼルは静かに首を横へ振る。
「商売には対価が必要だ。」
「受け取れ。」
店主は恐縮しながら金貨を受け取った。
レイナは焼き菓子を一口食べる。
(おいしい!)
「おいしい!」
「これ好き!」
店主は嬉しそうに笑う。
「そう言ってもらえて光栄です。」
レイナも笑顔を返した。
「また買いに来るね。」
少し離れた路地裏。
黒い外套を羽織った男たちが二人を見つめていた。
「あれが標的か。」
「ああ。」
「護衛が多いな。」
「今は手を出すな。」
「隙ができるまで待つ。」
男たちは人混みに紛れ、静かに後をつけ始めた。




