第十八話 初めての朝食
翌朝。
レイナは侍女に案内され、食堂へ向かっていた。
(昨日も広いと思ったけど、本当に迷路だな。)
「昨日も広いと思ったけど、本当に迷路だな。」
侍女が小さく笑う。
「慣れるまでは皆様そう仰います。」
「そのうち覚えられるかな。」
「きっと大丈夫でございます。」
やがて大きな扉が開く。
長い食卓。
並べられた豪華な料理。
その奥には、すでにカイゼルが座っていた。
「おはよう。」
「……おはよう。」
レイナは少し照れながら席に着く。
料理を見た瞬間、目を丸くした。
(朝からこんなに食べるの!?)
「朝からこんなに食べるの!?」
「食べきれなかったらどうしよう。」
カイゼルは静かに答える。
「残せばいい。無理に食べる必要はない。」
レイナは少し安心したように笑った。
「よかった。」
侍女たちが料理を取り分けようとする。
レイナは慌てて手を振った。
「自分でできるよ。」
侍女たちは困ったようにカイゼルを見る。
カイゼルは頷いた。
「本人の好きにさせろ。」
「かしこまりました。」
レイナは嬉しそうにパンを手に取る。
一口食べると、思わず笑みがこぼれた。
(うまっ!)
「うまっ!」
「これ毎日食べられるの?」
「もちろんだ。」
「最高じゃん。」
その言葉だけで、カイゼルの表情はわずかに和らぐ。
アルベルトはその様子を見て、心の中で驚いていた。
(陛下が笑っておられる……。)
(奇跡だ。)
朝食が終わる頃。
近衛兵が慌ただしく食堂へ駆け込んできた。
「陛下!」
「報告がございます!」
カイゼルは兵へ視線を向ける。
「申せ。」
「昨夜、帝都で不審な男たちを確認しました。」
「身元を調べたところ、腕利きの傭兵でした。」
「現在も行方を追っております。」
カイゼルは静かに考え込む。
偶然とは思えない。
レイナが帝城へ来た直後。
まるで何かを狙っているような動きだった。
(レイナを狙ってる……?)
その考えが頭をよぎる。
カイゼルの瞳から温度が消えた。
誰であろうと構わない。
レイナへ手を出す者は——。
余が必ず潰す。




