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暴君陛下は人の心が読める~本音しか言わない元ヤン令嬢を溺愛中~  作者: S@Y@


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第十六話 新しい部屋


帝城の大扉がゆっくりと開く。


赤い絨毯が奥まで真っ直ぐ伸び、その両脇には侍女や近衛兵たちが整列していた。


「陛下、お帰りなさいませ!」


一斉に頭が下がる。


レイナは思わず足を止めた。


(いやいや、こんな人数に迎えられることある!?)


「いやいや、こんな人数に迎えられることある!?」


カイゼルは振り返る。


「来い。」


「はいはい。」


レイナは苦笑しながら後を追った。


廊下をしばらく歩くと、一人の女性が深く頭を下げる。


「陛下。」


「部屋の準備が整っております。」


カイゼルは頷いた。


「案内しろ。」


「かしこまりました。」


侍女長の後について歩き、一番奥にある大きな扉の前で止まる。


侍女長が静かに扉を開いた。


「こちらがお部屋でございます。」


レイナは部屋を見た瞬間、目を見開く。


広い寝室。


大きなベッド。


暖炉。


豪華な調度品。


大きな衣装棚。


今まで暮らしてきた部屋とは比べものにならなかった。


(広っ……!)


「広っ……!」


「ここ、一人で使うの?」


「そうだ。」


レイナは部屋を見回す。


(アタシ一人で使ったら落ち着かないって!)


「アタシ一人で使ったら落ち着かないって!」


「十分すぎるよ。」


カイゼルは当然のように答える。


「狭ければ隣の部屋も使え。」


レイナは慌てて両手を振った。


「いらない、いらない!」


「これ以上広くなったら迷子になる!」


侍女たちの口元が緩む。


カイゼルもわずかに笑みを浮かべた。


「気に入ったなら、それでいい。」


その時、侍女長が遠慮がちに口を開く。


「陛下。」


「レイナ様のお召し物ですが、このままでは新しいものをご用意した方がよろしいかと。」


レイナは自分の服へ視線を落とす。


質素で色あせたワンピース。


公爵家では当たり前だった服だ。


カイゼルは迷うことなく言った。


「明日、仕立て屋を呼べ。」


「普段着もドレスも一から仕立て直せ。」


レイナは驚いて目を丸くする。


(え、全部!?)


「え、全部!?」


「そんなにいらないよ!」


カイゼルは首を横に振る。


「必要だ。」


「お前はこれから帝城で暮らす。」


「それに相応しいものを用意する。」


レイナは苦笑した。


「アンタ、人の話聞かないタイプでしょ。」


「よく言われる。」


真顔で返され、レイナは吹き出す。


「自覚あるんだ。」


二人のやり取りを見た侍女たちは驚いていた。


暴君と恐れられる皇帝が。


こんな穏やかな表情で笑うなど、誰も見たことがなかった。


カイゼルは部屋を出る前に振り返る。


「今日はゆっくり休め。」


「何かあれば、すぐに余を呼べ。」


レイナは軽く手を振る。


「分かった。」


「おやすみ。」


「……ああ。」


カイゼルは静かに部屋を後にした。


扉が閉まる。


レイナはふかふかのベッドへ飛び込んだ。


(柔らかっ!?)


「柔らかっ!?」


思わず笑い声が漏れる。


その頃。


帝城の外では、公爵が放った刺客たちが静かに帝都へ潜り込んでいた。


狙うのはただ一人。


レイナだった。

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