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第5話 レイの傷
数日後。
ナツは、旧居住区データで、レイの過去記録を見つけてしまう。
記録名:《感情暴走事故 2521》
そこには、幼い少女が映っていた。
レイの妹、ユラ。
感情抑制が不安定だった時代、地域対立暴動に巻き込まれ死亡していた。
最後の映像。
泣き叫ぶ少年時代のレイ。
『感情なんて、
なくなればいいのに』
ナツは言葉を失う。
その夜、
ナツはレイに記録を見たことを伝えた。
レイは長く沈黙した。
「……感情は人を壊す」
「でも、
感情があるから、
人は誰かを守ろうとするんじゃない?」
「守れなかった」
レイは震える声で言う。
「僕は、
妹を守れなかった」
あれから60年近くが経っても、レイの心にはその傷が鮮明に残っていたのだ。
沈黙。
茶室には、
湯の音だけが響いていた。
その時、
ミオが口を開く。
「だったら、
もう二度と壊さない方法を探せばいいじゃん」
レイが顔を上げる。
「感情を消すんじゃなくて、
感情と一緒に生きる方法を」
その言葉に、
レイは初めて揺れた。




