【3-12】それから
結局のところ僕はアルバン先生とは魔法通信機で連絡はとれなかった。しょげていてもしょうがないので、ア-ノルドとエルマ-について行って魔法の国へ行くことに決めた。
そして二人のアドバイスで魔法学校へ通うことにした。魔法の国の首都ハイデンにあるという魔法学校の名は、シュヴァルツヴァルト魔法学校。魔法に特化した学校で、この学校の卒業生と言えば、魔法使いとしては一目置かれるらしい。そして、就職に困らない。これはとても大切なポイントだ。
幸いなことに二人と一緒にダンジョン攻略をして素材を売ることで、学費くらいの大金が稼げたことも大きい。
ア-ノルドとエルマ-は、シュヴァルツヴァルト魔法学校の学長と懇意にしているということで、僕の実情を説明した上で入学試験が受けられるように手配してくれるとのことだった。
というのも魔法学校の入学試験には、二人の推薦人の推薦状が必要になる。
それを彼らは書いてくれるというのだ。とんとん拍子に話だけが進んでいくようで、僕は嬉しいような怖いような感じだったが、二人を信じてこの流れに身を任せてみようと思った。
船旅で一泊二日でシュレ-スの対岸にある港町エンデバンに到着した。エンデバンから馬車で首都ハイデンへと向かった。首都ハイデンは、魔法の国の最南端にある都市だった。
なぜここに首都があるかと言えば、隣国に一番近い場所だからだ。東の鉱石の国、南の智の国、南東には水の国がある。水の国は浮島で、島の周囲からは大量の水が滝のように流れ落ちている。そしてこの世界の中心に水の国が存在している。水の国を中心に、その周囲を色んな島国が囲むように点在している。首都ハイデンは魔法の国から他国へ行くのには、地理的に一番便利で最短距離で移動できる場所なのだ。
三日間かかってエンデバンからハイデンへ到着した。
ア-ノルドとエルマ-の定宿に泊まった。
「 のぶ。シュヴァルツヴァルト魔法学校の学長には既に連絡済みだ。明日の午前中に面会を申し込んでいる。僕たちは学長に会いに行ってくるよ。」
とエルマ-が言うのを聞いて、僕はなんて段取りがいいのだろうと感心した。だが半面、僕は本当に学校に入学できるだろうか、という不安がよぎった。
そんな僕の気持ちを察したのかエルマ-が、
「 大丈夫だ、のぶ。悪いようにはしない。学長は、ユニ-クな人物でね。のぶなら大丈夫だよ。」
と僕に優しく言った。
「 入学試験は、直ぐにあるわけじゃない。俺も試験勉強や実技の練習に付き合うから、まぁ、ダイオ丈夫さ。」
とア-ノルドは陽気に言った。
僕は夢のようにとんとん拍子に進む話が現実味を帯びてきて、正直なところビビっていた。
翌朝。ア-ノルドとエルマ-は、シュヴァルツヴァルト魔法学校へ学長に会いに出かけた。僕はその間は暇なので、ハイデンの街を散策した。
ハイデンの街は、どことなくロンドンの町並みに似ていた。建物は石だけでなくレンガを使ってアクセントにしてあり、どこか愛らしいところがあった。煙突の細部にまで細工がしてある。建物は街全体で統一感がありつつも、それぞれにこだわりが感じられ建物を見て回るだけでも面白い。
魔法の程度はあるが、人々は身近に魔法を使っている。灯、水道、トイレが水洗だったのは衝撃だった。配達には馬車も使うが、郵便物程度なら人が空を飛んで運んでいた。
そしてカラフルな街だった。人が着ている服の色。鞄や小物。ショ-ウィンドには色んな物で溢れていて、デザインも色々で自由な気風な気がした。
「 本当にロンドンみたいだ。これでご飯が美味しければ、文句なしだな。」
と僕は一人ごちながら、街を散策し楽しんだ。
カ-ン、カ-ン、カ-ン・・・・鐘の音が11回なる。午前十一時の知らせだ。
僕は、宿泊先の宿へ戻ることにした。
僕が宿に戻ってから暫くして、ア-ノルドとエルマ-が宿に戻ってきた。
「 のぶ。話はつけてきた。問題なく入学試験を受けられるぞ。」
とア-ノルドがご機嫌で告げる。それを見たエルマ-が苦笑しつつ説明をしてくれた。
「 のぶの事情も異世界人と言うことも学長は了承してくれたよ。そして当面はのぶが異世界人と言うことは伏せておくことに決まってね。ゴ-シュ学長は、魔法学校時代の僕らの師匠なんだよ。なので、僕らの事は十二分に分かっている。僕らが簡単に推薦状を出さないこともね。」
「 優秀な弟子二名の滅多にない推薦状ありののぶだ。学長も文句なしさ。ははははは。」
う~ん、ア-ノルドが言うと、途端に軽くなるんだよなぁ。
「 と言うわけで、入学試験まで二か月だ。僕とア-ノルドがしっかり教えるから、頑張ってついてきてくれ。」
エルマ-がにこりと笑いながら、僕に告げたのだった。
そして翌日から、座学と実技の特訓が始まったのだった。




