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46・炎獄?

今日からまた毎日投稿をします。


宜しくお願いします!

 「あのルカさん、聞いていいですか?」

 「ん~?」


 正面から飛びかかってきたハイエナによく似た魔物を、下からの斬り上げで真っ二つにする。


 「ルカさんの探し物はダンジョンだって言ってましたが、どういうことですか?ダンジョンがここにあること知っていたみたいですけど」

 「ここにダンジョンがあることは知ってたよ。どうしてかは秘密」


 上の小さな穴から降ってきた五匹のネズミの魔物に、氷の下級魔法『アイスボール』の魔法石を投げつけて凍らせ、絶命させる。


 「じゃあ、ダンジョンの“コア”を破壊するって言ってましたが、それってまずくないですか?ダンジョンを勝手に壊したら極刑ですよ?」

 「君が言わなきゃバレないよ。ここにダンジョンがあることを知ってるのは僕達だけなんだから」


 真横から疾走してきた駝鳥だちょう?のようなデカ魔物を、テトが爪と牙を使って地に沈めた。


 「……………ここのダンジョンがSランクになってるのを知ってたのも秘密ですか?」

 「秘密だね」


 後ろから迫って来ていたファイアーファングを、リトが氷魔法で返り討ちにしていた。


 「ルカさんって秘密が多いですね。何者ですか?」

 「知らないのか、シン?男は謎めいている方が魅力的なんだぞ?」

 「………………」


 シンが何かを諦めたような目で、下からぽんっと出てきた土竜もぐらの魔物をロッドで殴り穴に戻した。






 只今ダンジョン五階層、絶賛魔物に包囲されております。



 シンと話ながらも、襲いかかってくる魔物達を倒している。


 シンも初めは魔物に集中して戦っていたが、もう数えるのも馬鹿らしくなるほどに魔物に包囲され襲われれば、慣れてきたのだろう。


 自棄になったとも言う。


 魔物と戦いながら話をするようになった。というか話していないとやっていられないのかもしれない……………



 「それにしてもダンジョンって初めて入りましたが、これが普通じゃないですよね?」

 「人が入らないダンジョンはこんな感じだよ。人が入って魔物を間引いていれば一定の量の魔物しか出てこなくなるよ。“コア”も成長しなくなるし」

 「ルカさんはいろんなダンジョンを知ってそうですね」

 「主よ、階段だ。呑気に話などしてないでさっさと行くぞ。シンも油断するなよ」


 おっと、話をしていたら周囲の魔物がいなくなっていた。死体を回収して先を急ごう。






 休憩を挟みつつ、結構なハイスピードで進んでいく。


 「そういえば“炎獄”ってどうだろう?」


 正面から駆けてきた犬の魔物を、「細雪」で頭を一突きにする。


 「何が、だ!」


 テトが上から降ってきた芋虫を、一回転して尻尾で壁に叩きつける。


 「いつまでも“このダンジョン”って言い方だと、つまらないから名前でもつけようかなって」

 「激しく、どうでもいいわ!」


 下の穴から這い出てきた芋虫を、リトが前足で叩き潰した。


 「じゃあ、“炎獄”で」

 「破壊するなら!名前なんてどうでも!いいですよね!」


 真横から跳びかかってきた芋虫を、シンがロッドを振り回し飛ばしていく。





 「「「「ていうか芋虫がウザイ‼‼」」」」




 下の階層に進むにつれ、芋虫が増えていく。上から下から左右からどっからでもわいてくる。


 正直かなりキモくてキツい!



 十階層に来て一気に増えた。


 ボスは芋虫かな?





 「ボスがいる部屋って一階層毎だって聞いたことあったんですけど、違ったんですね」

 「いや、一階層毎のダンジョンもあるよ。“炎獄”みたいに十階層毎だと、ボスが厄介で強力になるね」


 やっとボス部屋の扉の前に来て、アイテムボックスから布を取り出して敷き、その上に全員で座って休憩をとる。ここまで本当に突っ走って来た。

 旅用の軽食と飲み物をとり、体力回復薬で疲れを癒す。


 ずっと瑠華のローブのフードの中にいたマリアとムツキも、まったりしている。フードから出ると暑いので、決して出てこないが。


 シンには氷魔法で作った氷の塊を布で包んで渡し、身体を冷やす。気休めでしかないが、少しは身体が落ち着くだろう。


 「シン、君は案外体力あるんだね。正直途中でをあげると思ってたよ。“身体強化”の魔法を使い慣れてるのも意外だった」

 「気づいてましたか。子供の頃から家の手伝いで“身体強化”の魔法は使っていたんです。だからこれだけは詠唱無しで使えます。でも流石にここまで強行軍だと、疲れました」


 シンの言う通り、かなりの強行軍でここまで来た。シンの様子を見つつ進んできたけど、意外としっかりついてきたので以前の感覚で進んできた。


 恐らくまだ村を出て一日も経っていないだろう。


 「シン、ダンジョン攻略がこれが普通だと思うなよ?」


 テトが地面にぺたんと体を休めながら、シンを諭すように話しかける。


 「そうね、これが普通だと思われたら他の探索者が可哀想だわ。これは主限定よね」


 リトが地面に座るシンの横でお座りしながらテトに同意した。


 「流石にこれが普通とは思いませんよ。ルカさんだから、ですよね」


 シンの言葉に、テトとリトがうんうん頷いている。


 瑠華はそんな会話を苦笑しつつ聞いている。瑠華自身、自分が普通ではないことは十分自覚している。




 ちなみに探索者とは、冒険者の中でもダンジョンの探索を主に行っている者達のことである。

 ダンジョンにしか存在しない魔物、ダンジョンで採れる薬草などダンジョン探索だけでも十分に需要がある。

 ダンジョンの依頼もあるので冒険者としてもやっていける。


 探索者がダンジョンを攻略する際、個人差があるだろうが大体一日に二、三層ずつになる。

 情報がある場合でも、何があるか分からない場所なら慎重に事を運ぶのは当然のこと。

 情報がない場所なら、一日に一階層なんて普通である。


 これが未発見のしかもSランクダンジョンなら、慎重に慎重をきしてもいいくらいだ。


 その為、瑠華達のように一日で十階層以上進むことは異常と言われてしまうようなことだ。

 頭おかしいんじゃないのか?と言われても言い返せないだろう。

 僕は言い返すけどね?



 「さて、そろそろ行く?ボスを倒したら、ボス部屋を出ない限り安全地帯になるからそっちの方が気を休めるだろうし」


 全員が頷いて立ち上がる。



 「じゃあ、ドア開けるよ~」


 これからボスと戦うというのに、瑠華が全く気負いなく軽い調子で言うのを、他の者は呆れたような苦笑いを浮かべつつ気を引き締める。

 








 

読んでいただいてありがとうございました。

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