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29・サピセスの街 その一

本日二話目です。


ではどうぞ。

 脳内で突然の世界について講座を、自分による自分の為だけに開いていました。

 只の歴史と地図上の確認です。



 シェシカルの街を出て早五日経ちました。


 

 早すぎます?特に何もなかったので割愛しました。



 只今お昼近く。

 ただテトの背中に揺られているのも退屈だったので脳内講座を開いたのです。

 ですがそのお陰で遠くにちっちゃく街の城壁が見えてきました。それとサピセスを目指す馬車や徒歩の人達。

 彼等は瑠華、正確にはテトを見て逃げ出します。


 まぁ、2メートル超える白い獣が迫ってきたらあの反応が当然なんだろうけれど…………


 こんなに可愛くて格好いいのに……………でもそろそろテトから降りた方がいいかな?



 テトに止まってもらい、瑠華は感謝を込めて頭から尻尾までを撫でる。テトは気持ち良さそうに目を細め、影に入っていった。


 フードから顔を出したマリアとムツキを撫でつつ、街門を目指して歩いていく。ほうほうに散っていった人達は、テトがいなくなったので街道に戻りつつあった。チラチラと瑠華を見ていたけれど。


 「あんなに可愛いのに…………」


 そういえば以前の旅でもよく見た光景だったと、瑠華は思い出す。テトから人を襲うことは決してないから、慣れればもふもふに癒される。

 以前の旅の間でも、聖女を含む女性陣は時おり抱き枕にしていたくらいだ。癒しになるのはお墨付きというもの。




 景色を眺めながら三十分ほどゆっくり歩くと、門に着いた。人はそれほど並んでおらず、すぐに街に入ることが出来そうだ。


 「通行証の提示をお願いします」


 ギルドカードを出して渡す。兵士はしっかり確認し渡しながら笑顔で挨拶をする。


 「ようこそ、サピセスの街へ。ああ、従魔には首飾りを忘れないで下さいね」


 瑠華は軽く頷きながら門を潜りながら、アイテムボックスから〔従魔の首飾り〕を出してマリアとムツキの首にかける。

 〔従魔の首飾り〕は大きめだから二頭には少し大きいので、街から出る時外してしまう。付け外しが面倒だけど邪魔なんだから仕方ない。




 さて先ずは冒険者ギルドに行こう。

 ここはヴァルザ火山から一番近い街だ。ヴァルザ火山にダンジョンが出来たのなら、何かしらの影響が出ててもおかしくない。

 ならば情報は冒険者ギルドが一番集まりやすい。調べるには打ってつけだ。


 門から続く大通りを進んでいくと、左右に屋台が広がりはじめる。こういうところは何処の街でも変わらない。

 お昼の鐘が鳴って少し経った頃だからか、そこかしこで立ったまま、地面に座ったりしながら食べている住人や武器を持った冒険者などの姿がある。


 フードの中で匂いに釣られたのか、タシタシ叩きながら鳴いて主張している存在がいる。




 本来はランクSSの竜種や幻獣は空気中の“魔素”や“魔力溜まり”の魔力を吸収しているから、食事は必要ないはずだけど。

 しかも従魔契約を結べば、主人から魔力を貰える。


 【カイン】と一緒に旅をして、人の食事を覚えてから食欲旺盛になってしまったようである。



 可愛いから良いのだけれど。



 首や肩をタシタシ叩かれてくすぐったさに口元が緩む。

 仕方ないと適当な屋台で串焼きやホットドッグのようなもの、サンドイッチと飲み物など手当たり次第に買っていく。

 その場で食べたり座って味わって食べたりしながら、マリアとムツキが満足するまで屋台を巡る。


 「兄ちゃん、よく食べるなぁ。そんだけ食べるとこっちも作りがいがあるぜ!」

 「ありがとうございます、そちらの串焼きを十本下さい」 

 「あいよ!銅貨五枚だ」


 お金を渡し焼き上がるのを待つ。



 食べてるのはほとんどマリアとムツキなんだけどなぁ。僕は平均的な同い年の男より少食な方だから。



 串焼きが焼き上がったので礼を言って受け取る。僕が一本を食べ終わる頃には残りは従魔達がたいらげている。



 よく噛んで食べなさい。



 マリア達も満足してフードの中でまったりし始めたので、最後に果汁の飲み物を買って、飲みながら歩く。

 少し行儀は悪いと思うが今更だろう。



 この世界の飲み物は基本的に果物を搾ったジュースが主流だ。しかし同じ飲み物でも店によって当たり外れがあり、買うときにちょっと迷う。

 博打的な感じを楽しめると思えばいい。当たり外れも個人の好みによって変わってくるから。


 ちなみに瑠華は日本の果物ジュースに慣れているので、口当たりのいい飲みやすいものが好みだ。

 最後に買った飲み物は外れ気味だ。




 大通りから左に反れ歩いて行くと冒険者ギルドの看板が見えてきた。中に入る前に一つため息を吐く。

 情報の為に入らなければいけないのは分かっているが、シェシカルの街を思い出すと憂鬱な気分になる。


 こうしていても仕方ないので戸を開けて足を踏み入れる。

 中はガランとしていて人はほとんどいなかった。まだ依頼を受けた冒険者が帰ってくるには早い時間なので当然といえば当然ではある。

 そのことに安堵しつつ受付を見る。



 受付は三つあるが、ギルド職員が座っているのは一つだけだ。人族の女性が座っている受付に近づく。女性は瑠華に気づくと笑顔で頭を下げた。


 「ようこそ、サピセスの冒険者ギルドへ。本日はどういったご用件でしょうか?」

 「少し聞きたいことがあるんだがいいでしょうか?」

 「はい、どうぞ」

 「ヴァルザ火山は確かランクBにならないと入れないんでしたよね?」


 瑠華が聞くと女性は困ったような顔をした。瑠華はその様子に何かあったようだと確信する。


 「申し訳ありませんが只今ヴァルザ火山への立ち入りは禁じられております。これは領主様の命令です」







 成る程。かなりの大事になっているのは間違いなそうだ。




読んでいただいてありがとうございました。


ようやく神様の頼みについての話にきました。そろそろ旅の供を出したいです。

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