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第三章 16 らめぇ、変な声出ちゃうのぉ!!

 彼女から聞いたのだが、魔術師であるキウイとメロンは様々な魔術を使えるらしい。お馴染みの炎・水・雷・土などの属性魔術の他に、今ちょうど二回目の発動をした空間転移の魔術や認識偽装の魔術など、実に多様な魔術を使えるようである。

 そんな魔術師であるキウイは、一旦どこかへ行ってしまった。仕方ないので、あたしは辺りを見回してみる。

 今いるこの地下駐車場は、どこにでもありそうなごく一般的の駐車場である。ところどころ錆びついたり、老朽化したりしているが、天井を支えるため間に立ついくつもの鋼鉄の柱は、依然として頑丈そうなままだ。

 しかし、未だ現役でも通用するであろうその駐車場に、残念ながら車は一台も止まっておらず、現在はただ広いだけのどこか寂しい空間となっていた。

 少しして、再び柔らかな光とともにキウイがテレポートで戻ってきた。

「お待たせしました」

「どうしてたの?」

「お二人が明日のお手伝いで使う武器を持ってきました」

 キウイがそう言うと、突然彼女の前に青白い光が二つ発生した。それなりに大きいその光をよく見ると、その光の内部に武器のようなものがあるのが分かった。

 キウイが杖を振るうと、その大きな光が乃子と紘のもとへそれぞれ飛んでいく。二人の目の前でそれらは止まると、まるで手に取ってほしいと言っているかのように、ふよふよとその場で漂い始めた。

「あたしたちに、明日一緒に戦えってこと?」

「そうです」

 へ、変形武器を見られただけじゃなくて、ま、ままま、まさかの自分でも武器を振るえだってえええぇぇぇ!? あたし得な展開キタコレ!!

「二人の武器は、私が相性を見て決めました。今は使っていない、昔試作した武器ですが、機能的には問題ありません。……残念ながら性能は、今より少し落ちますけれどね」

 乃子たちはキウイの説明を聞きながら、眼前にある自分の武器を手に取る。二人の手に武器が収まると、青白い光は役目を終えたかのように徐々に小さくなっていき、やがて完全に消えてしまった。

「乃子さんは、魔力の性質が私と似ている、高貯蔵低回復型だったので、魔術主体の武器を選びました」

 乃子が手にしたのは、まず左手にキウイとは作りは異なるが同じような長めの杖、そして右手には幅の広い曲刀のようなものという組み合わせの武器であった。カラーリングは赤がメインとなっている。

「その武器にも変形ギミックが付いていて、杖の上部と曲刀の柄が連結するようになっています。魔力と変形の意思さえあれば、変形は今すぐにでもできますよ」

「ほんと!?」

 乃子が嬉々として杖の上部に曲刀の柄を持ってくると、メロンの言葉通り双方の機構がすぐに動き出した。すると、杖の上にある装飾が曲刀の柄を挟むように変形し、それと同時に杖の棒部分が勢いよく伸びた。

 変形によって杖と曲刀は、一体化して両手持ちの薙刀という姿になった。

「うひいいいいぃぃぃぃん!!」

 変な声だが、これは動物の鳴き声ではなく、飛行機の音の物まねでもなく、広院乃子というメインヒロインの感嘆の声である。

 らめぇ、変な声出ちゃうのぉ!! で、出りゅう!! 出ひゃうううぅぅぅ!!

 乃子の様子など気にすることなく、キウイは紘の手にした武器の説明に入った。

「紘さんは、どちらかというとメロンのような、低貯蔵高回復型なので、近接戦闘主体の武器にしました」

 紘が手にしたのは、指先までしっかりと作られた、肘くらいまであるメカニカルなグローブだった。両手とも、そのメカグローブに覆われている。カラーリングは黄色がメインとなっていた。

「その武器は変形こそしませんが、近接攻撃と魔力射撃を同時に行なえる優れものです。もちろん片方ずつの攻撃も可能ですが」

 紘はキウイの説明を一応は理解したが、その中でよく分からないものもあった。

「その……、魔力射撃って何ですか?」

「まあ知らないですよね。そもそもお二人は、魔術の使い方は分かりますか?」

「いえ、分かりません。……僕は、分かりません」

 そう言って紘はちらりと乃子を見る。

「あ、あたしだって分からないわよ!」

 今のは、『神の力を持つお前だったら知っているかも?』という思考によってなされた行動に違いない。だが生憎、そういった知識を得るための権限は発動していないので、あたしもただの一般ピーポーでしかないのである。

「だったら、まず魔術の使い方から始めましょうか」

 魔術初心者である乃子と紘のために、キウイが先生となってくれるらしい。

「魔術の使い方と言っても、まったく複雑ではないです。むしろ直感というか、感覚の方が大事かもしれません。というのも……」

 意味深に言葉を切ったキウイが、左手の杖の先を少し離れた地面に向ける。

 すると次の瞬間、その地面に赤々とした炎が発生した。

「――魔術は全て術者のイメージで発生するものだからです。今私は、地面の上で燃える炎をイメージしました。だからこそ今まさに、それが魔術として現れたわけです」

「ふむほむ。オッケー分かったわ。シンプルでとても良いわね」

 乃子は理解したかのようにそう言うと、キウイを真似て左手の杖を構えた。

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