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#09照らし出された影

カイトがTGを倒してからレギオンは現れなくなり、街に平穏が訪れていた。

街の住人も、便利になった生活を謳歌している。

だが、カイトだけは違った。

カイトは、ドックに運び込まれたTGの残骸を前に腕組みをしていた。

残骸の周囲を、解析用ドローンが飛び回っている。

「ソフィア、何かわかったか?」

『損壊がひどいので、詳しくはわかりませんが…これは、セレネで製造されたようです。』

「やっぱりか…」

TGを送り込んだ者の正体・そして謎の通信。それらが同一犯の仕業だとするのならば…

「真の敵はセレネにいる…?」

だが、何故?庭園の管理者…雑草…残された意味深な言葉がカイトの脳内を巡る。

「ちょっと!また引きこもって考え事?」

振り返って見ると、声の主はリアナだった。

手に持ったお盆には、パンとスープがのっていた。

時刻はちょうどお昼を回ったころだった。

「リアナさん…」

リアナは机にお盆を置いた。

「恩返しがしたかったの。命を張ってくれた対価としては釣り合わないけど。私にはこれくらいしか…」

「ありがとう…いただきます。」

カイトはパンを頬張る。ほんのりと甘い素朴な味わいだ。

「貴方が守ってくれた人々が貴方が守った土地で育てた麦と野菜・貴方が作ってくれた水や電気があったからできたのよ」

その時カイトは改めて実感した。自分はこの街を守ったのだと。そしてこれからも自分が守っていかなければならないと。

スープを飲み干し口を拭った時、リアナが何かに気付く。

「また!?でもカイトが倒したはず…」

「レギオンか!?」

「危機が"聞こえた"…脅威が迫ってるわ!」

二人が地上に出ると、そこに居たのは翼の生えた漆黒の機体。流線形のシルエットは他のHVとは一線を画している。

「カイトさん!」

サニーに乗ってパトロールを行っていたシエラも駆けつける。デクストロスはTGとの戦いのあと、修理が終わっていなかった。

解析を優先させていたツケが回って来た結果だった。

「判断を誤った…」

漆黒のHVはバックパックから外した柄を下段に構えた。すると、瞬時に光の刃が形成される。

「ソフィア、あれは!?」

『光刃…光線や光弾の技術を応用し、刃を形成する武器です!1000年前には実用化されていなかった技術です!』

すかさずシエラもレイピアを構える。

静寂を破り、鋼の剣が実体のない刃と切り結ぶ。

「ある種の斥力が発生しているのか!?」

剣使い同士の技の応酬。

力が拮抗し、一進一退の攻防を見せる。

「シエラ!頑張って!」

リアナが応援する。

カイトは拳を握る。自分が何もできない状況に置かれていることがもどかしくてしかたがなかった。

そんな時、カイトのデバイスから再び"あの声"が響いた。

「カイトよ…草花たちに与する者よ…詮索は身を滅ぼすと言った筈だ…」

「!?」

『通信は、あの黒いHVからです!』

カイトには赤く光るセンサーが彼を捉えているように見える。

距離をとった黒の機体は刃から斬撃を飛ばす。

「!?」

サニーは身を翻す。

だが、斬撃はレイピアに直撃。

「レイピアが!」

折れてしまったレイピアを見てシエラは呆然とする。

カイトのデバイスから声が響く。

「悪草は剪定される。我々の監理を否定すれば、齎されるのは…"死"」

カイトは戦慄した。

「やはりお前たちが!」

その問いに答えることなく、黒の機体は飛び去って行く。

「カイト、何か知ってるの?」

リアナが問う。

「奴らなんだ…今までリアナさん達を苦しめてきたのは…」

答えたカイトの声には静かな怒りがこもっていた。

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