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#05光と水

資源を確保したことで、大気水生成システムの製造が開始された。

シェルター内のファクトリーと呼ばれる区画、そこ自体が部品の製造から組立までを可能とする多機能装置だった。このファクトリーでシェルターを構成する部品が作られた。つまり、最初に地下に埋められたのがこの区画ということになる。

この装置に設計図のデータを入力すれば、あとは自動で製造が開始される。資材さえあれば基本的に何でも作れる夢のマシンだ。

金属で製造可能な部分は入手したナノマシン結晶金属で・フィルターは透水性の高い岩石を加工して作られた。

数時間すると装置が完成した。

「時間には間に合いそうだな…」

街の広場でデモンストレーションを行うことになっている時刻には、まだ余裕があった。

デクストロスの荷台には、ファクトリーのベルトコンベアを用いて装置が載せられている。

カイトは、アクセルを踏んで発進した。

広場には多くの住民が集まっている。

「来たわね!」

リアナがカイトを出迎える。

「これが大気水生成装置ね?」

カイトは、取り外されたデクストロスの荷台から装置を下ろしながら言った。

「これがあれば清潔で冷たい水が飲めますよ」

彼が蛇口をひねると、グラスに水が注がれた。

水滴が付くほどの冷たい水だ。

リアナはグラスを手に取ると、喉を鳴らして飲み干した。

「美味しい…まるで雪解けの清水のようだわ!」

岩石フィルターから溶けだすミネラルが味にまろやかさを加えたのだ。

その後装置の前には長蛇の列ができ、住民たちは我先にと水を味わっていた。

「ところでカイト…この装置を作る前はどうやって水を?」

「ああ、それはですね…あのシェルター内では水が循環するようになっていて、地熱発電の排水や蒸留された尿などを…」

リアナが眉をひそめる。

「あ、俺…この辺で失礼します!」

カイトはそそくさと、その場を立ち去った。

次の日リアナは、カイトが作った大気水生成の紅茶を、これまたカイトに作らせた温度調節機能付きカップで飲んでいた。

「領主様、次は何を作りましょう…」

「そうね…水ができるなら、新鮮な肉や野菜をいつでも食べられるようにできるのではなくて?」

「ご名答…それもできるようにしましょう」

カイトはこれを機に、この街に電気設備を実装することにした。リアナも冷蔵庫が使えれば満足だろう。

地熱発電で溜まった電気を持て余しているし、電源があった方が今後の発展に寄与するだろうという目論見もあった。

ワイヤレス送電システムの実装。それが第三の目標になった。

1個作れば事足りる大気水生成とは違い、送電システムから電気を受けとるアンテナを作らなければならない。効率的な送電を中継するハブも必要だ。

それに、その電気を使って動かす家電も作るとなると一昼夜でできる作業ではない。

「手伝って貰うか…」

 技術や成果の定着のため、リアナ以外の住民の意見を取り入れてより良いインフラ整備をするため、そして何より人海戦術で攻めるため。

カイトは広場に人を集め、事業の説明をした。

ホログラム映像を用いた懇切丁寧な解説もあって、住民の半分以上の人たちが参加することになった。

まず、中継装置の製造だ。

ファクトリー区画で専用パーツを作成、基板やケーブルなどの汎用部品は使用されていない機材から取り出して流用する。

それを街の広場にある時計台に設置する。

「これが人間で言うところの心臓です!ここから街の隅々に、電気が届くんです!」

演説するカイトの声に、住民たちはうんうんと頷いた。

街灯の柱を荷車にのせ、住民たちは街中を歩き回った。カイトが埋め込んでおいた基礎に、アンカーボルトで柱を固定するのが彼らに任された仕事だ。

中世文化の人間とはいえ襲撃で破壊された街を何度も直してきた人々は、てこの原理などの基礎的アプローチを用い次々と街灯を建てていった。

辺りがすっかり暗くなった頃、カイトは丘の上のリアナ邸の前に住民達を集めた。

そこは、街が一望できる場所だった。

「今日は1日お疲れ様でした!今から、その成果をお見せします!」

カイトがデバイスを操作すると中継装置が起動、広場を中心に街頭に明かりが灯っていく。

人々はその光景に驚き、子どもたちははしゃぎ、各々に達成感を味わっていた。

「ところで…」

声にカイトが振り向くと、リアナが不機嫌そうな顔で立っていた。

「私の冷蔵庫はいつ貰えるのかしら?」

「あっ…」

しまった…という表情のカイト。

「只今お持ちしますから!」

彼は、またしてもその場をあとにするのだった。

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