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#03神殿の力


戦闘から一夜明け、依然として崩壊した街の前で、カイトは立ち尽くしていた。

人々は負傷者の救護や瓦礫の撤去などでせわしなく働いている。

「倒せたけど、倒すだけじゃ駄目だったんだ…」

こちらに気づいたリアナが歩いてくる。

「どうしたの?」

「街を守れなかった。」

「でも、貴方は私を守ってくれた。」

リアナは彼の肩に手を置く。

「過去のことばかりにとらわれていては、今できることも見えなくなるわ」

「俺に今、できること…」

生活環境構築シェルターの存在がカイトの脳裏によぎる。

「シェルターだ!」

「しぇるたぁ?」

「リアナさんが地下神殿と呼んでいた場所…あそこには、地熱発電設備を始め様々な生活環境構築設備がある…それを復旧させれば、より効率的に復興ができる!」

「なんだかよくわからないけど、神殿の力が開放されるのね?」

カイトは苦笑いした。

「まぁ……そういうことです…」

「そうと決まれば善は急げ!カイト…行くわよ!」

リアナはカイトの手を引いてシェルターへと歩き出した。

2人はソフィアのナビゲートをもとにシェルターの最下層へ向かった。

扉を開け、ガラス張りの管理室に入る。

「ソフィア、発電設備の状況は?」

ソフィアは設備をスキャンし結果を表示する。

『奇跡的に設備は無事です。発電を再開すれば、シェルターの復旧ができます。』

カイトはメカニックとして働いていた時の記憶を辿る。

「確か、このレバーを上げれば…」

デバイスをかざし、ガラスカバーのロックを解除。

レバーを引き上げるとシャッターが開き、タービンが回転し始める。

そして、シェルターに明かりが灯った。

リアナが目を細める。

「急に明るくなったわ!?」

「シェルターが復旧した証です!これで復興も加速度的に進むはず!よし、ソフィア!デクストロスを充電して瓦礫撤去をやるぞ!」

『承知しました。ドックの充電ポートに接続します。』

カイトは充電が完了したデクストロスに搭乗した。充電中に装備を換装し、右腕はバケット・バックパックは荷台になっている。

地上につながるハッチが開き、陽光が機体を照らす。キャタピラが唸り、坂を駆け上がって行く。

街の住民たちが現れた巨体に好奇の目を向ける。

「何だあれ?」

「昨日の鉄戦車じゃないの?」

「また襲撃か!?」

口々に話す住民たちに、カイトが呼び掛ける。

「皆さんー!俺も手伝います!」

バックパックの荷台を下ろすと、アウトリガーが展開された。不整地でも安定した作業を可能にするためだ。

バケットで瓦礫を掬い、そこに積んでいく。

荷台が満杯になると再び荷台を背負い、街の外へと廃棄する。レギオンの残骸は再利用のために、回収した。

完全に瓦礫を撤去するまでには、1週間を要した。それでも、人力での作業とは比較にならないほど迅速だった。

カイトはレギオンを撃退したことよりも、人々の役に立ったことが嬉しかった。

「あったんだ…俺にもできること」

リアナがカイトの肩を叩く。

「ぼーっとしてるとこ悪いけど、復興はこれからよ?貴方も街の住民なんだから手伝いなさいね?」

「もとよりそのつもりですよ。それだってすぐにやってみせます。」

カイトには秘策があった。それは建築用3Dプリンタの存在だ。

『それなら、倉庫区画に保管されています。』

ソフィアは淡々と回答した。

惑星に着陸したあとスムーズに開拓を可能とするため、住宅を素早く建築できるそれを使用してシェルターを地下に造った後地上に都市が築かれる予定だった。

運び出されたそれを、地上で組み立てる。

「これは建物の基礎かしら?」

「違いますよ。それより、この近くに水源はありますか?」

「隣の領地との境に、ギャリーと呼ばれる川があるわ。それがどうかしたの?」

「そこで材料を採るんです。」

廃棄した木材を焼いて灰にし、川の砂利や水、石灰と混ぜる。コンクリートの完成だ。今回はレギオンの装甲由来の特殊素材も混ぜ込み、強度を上げた。

「地熱発電ができる地質なら、石灰だってある…予想通りだな。」

その特製コンクリートを建築用3Dプリンタに充填、出力していく。半日ほど経って外装ができ、そこに内装や窓ガラス・扉などを付ければ近代的な住宅の完成する。これらのパーツもブロック玩具のように取り付けられ、しかも頑丈だ。

「こんなに早く完成するなんて!」

「もう野宿しなくていいんだね!」

住民たちは口々に喜びの声をあげた。

自分の行動が称賛の対象になり、カイトは自分の居場所を見つけた気がした。

#4以降は現在改稿中ですので今しばらくお待ちください。

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