#11手掛かり
「作物の問題…どうしたら…」
街へと帰ってきたリアナはため息をついた。
「あー、そんなことですか…」
対照的にカイトは動じていない様子だ。
「貴方は良いわよね!領主じゃないから責任がなくて!」
「違いますよ…解決策ならもうあるって話です」
カイトはシェルター内、栽培区画へと案内した。
ドーム状の壁面、円筒状の構造物には枯れた植物の痕跡がある。この区画だけは、電力復旧後も稼働していなかったようだ。
「ここは栽培区画です」
「電気がついてないようだけど?」
「俺一人には多すぎる量の作物を栽培できるから、勿体無くて使ってなかったんです。それに、ここは莫大な電力と水を消費しますから。」
失われていた超技術の一つ、テクニカルファーミング。それを行うための区間がこの栽培区間だった。
水耕栽培と太陽の光を再現した特殊光源、区画内を適切な温度に調整する設備。それらがプログラムにより管理され、少人数で大量の農作物が栽培可能だ。
「味が変わるといけませんから、水や肥料は農家の方々に聞き取る予定です。」
リアナは安堵の表情を浮かべた。
「貴方が生きた時代の技術って、ほんとになんでもできるのね…」
「ええ。あらゆる問題は技術の躍進によって解決されました。」
「でも不思議ね。それなのに、なんで貴方の故郷は滅んだのかしら…?」
「"対立"です。人々の意識を変えることは、ついぞ成し得なかった。だから戦争によって壊滅した…そう聞いています。」
「実際に見たわけじゃないのね。」
カイトは肩をすくめる。
「そりゃあそうですよ。だって太陽系を脱出したのは、千年前にこの星についた更に前の出来事ですよ?
さすがにそんなに長生きできないですよ…」
「あら、私の両親が生まれたのが大体100年前よ?私だって今70代だし。」
「えぇ!?」
ソフィアが解説する
「彼女たちは以前の人間より老化が遅いようです。」
「20代後半に見えるぞ…」
「ちょっと、子供扱いしないでよね!」
「す、すいません…」
談笑する2人。
そこにシエラが駆け込んでくる。
「カイトさん!戻ってたんですね!」
3人は、ドック区画へと移動した。
そこには、シエラ達が倒した黒い二脚兵器の残骸があった。
「あんたが、カイト技師か。」
新たにドライバーとなった二人も揃っていた。
簡単な自己紹介がなされた後、本題に入った。
「見たことのないタイプだな…とりあえず、解析してみるか」
ドローンが残骸をスキャンし始める。
シエラが問う。
「そう言えば、カイトさんの鉄戦車はどうしたんですか?」
「国に没収された…」
カイトの表情は悔しげだった。
「でも、今はシエラ達がいるから問題ないさ」
解析結果が空間ディスプレイに表示される。
名称はディテクタ。偵察用に開発された二足歩行無人兵器だ。
ルークが口を開く。
「こちらに攻撃しなかったのは偵察機故か。」
サイモンが返す。
「道理で弱っちいわけだぜ…」
「それより、敵の情報とかないんですか?」
「そうだな…ブラックボックスのデータを見みるか。」
無人兵器には周囲の情報や、与えられた命令をバックアップしておく為の記憶媒体としてブラックボックスと呼ばれる装置が標準搭載されている。
「データのほとんどが機能停止時に削除されてる…」
残っていたのはマップデータとテキストファイルのみだった。
データを見たリアナが叫ぶ
「私の領地の地図だわ!」
「すると、この偵察機たちは測量をしていたのか…」
そのデータには1つのポイントが示されていた。
「テキストファイルのほうは!?」
ファイルを開く。
『旧人類は絶滅していない。テクノロジーは消滅していない。その地に真相がある』
謎めいたテキストは、衝撃の事実を示していた。




