表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
97/126

(3-33)忠史の決意

 一方、忠史もまた、姫路から東京へ戻って以降大きく気持ちが変わっていた。

 あれほど自分を押し潰していた不安が、今はもうまったく無くなっていた。


 本橋と話せたことが大きかった。誰にも話せず、一人で抱え込んでいた思考をひとつずつ言葉にして整理できた。それだけで世界の見え方が変わった。


 大学へ向かう道。

 駅のホーム。

 雑踏。


 以前と同じ景色なのに、自分だけ少し違う場所に立っているような感覚がある。

 忠史は、渉に言われた通り捲る練習を再開していた。


 大学の裏手。

 人の少ない公園。

 河川敷。


 土を踏みしめながら静かに集中する。


 大地からエネルギーを吸い上げるイメージ。

 指先へ集める感覚。

 目を皿のように開き視線を固定する。


 最初は掴みづらい感覚だった。だが、不思議と以前より集中できる。ほんのわずかだが“何か”が近づいているような感覚もあった。

 そして今では忠史は思っていた。もし本当に自分に能力が発現したとしても――。


 渉は死なない。


 なぜそんな風に思うのか自分でもよくわからない。根拠もない。ただ何となくそう思えた。だから以前のような恐怖はもうなかった。

 むしろ今は。


 早く渉のようになりたい。

 早く力になりたい。


 そんな気持ちの方が強くなっていた。




 奥袴狭。

 道なき村。

 外界から閉ざされながら、それでも静かに人を導く場所。


 そこへ導かれた二人。


 大村環。

 遠藤忠史。


 まったく違う人生を歩いてきた二人だったが、その運命は少しずつ奥袴狭へ引き寄せられていた。


 それが何を意味するのか。

 その先に何が待っているのか。

 まだ、誰にもわからない。


 ただ――。


 山の奥深く。

 淡く光るあの村は、今日も静かにそこに在り続けていた。


ここまでを「捲る人(第三章)」にしようと思います。

第二章を終えた時には「次の章で締めようか……」などと思っていたのですが、なんだか終わりが見えず。

今後どういう風にすすめていこうか、またひらめきの赴くままゆっくり考えます。


いつも読んでいただきありがとうございます。

これからも読み続けていただけると幸甚です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ