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(2-19)一日のスケジュール

 忠史の一日のスケジュールは概ねこんな感じだ。


 まだ空が白みきらない頃に自然に目を覚ます。

 鳥たちのさえずりが重なり、それが目覚まし代わりのようでもあった。


 朝食はほぼ自宅(奥田家)でひとりで済ませている。東京でも独り暮らしなので自炊には慣れていた。炊きたてのごはんに味噌汁、いただきもののお漬物。質素だがとても満ち足りていた。


 食後は捲る練習。だいたい三〇分から一時間程度。

 まったく感覚は掴めないが練習に意味があると信じ一回一回をしっかり丁寧に行う。


 その後は山菜採りを兼ねた山の散策。ほぼ樹と一緒。樹は食べられるものと食べられないものがわかるようで、さすが山育ちとは思うものの「そういうことも根っこに教えてもらえるんだろうか?」とも思う。


 お昼は外で簡単に済ませることにしていた。朝食後に自分で作った塩おにぎりを沢の音を聞きながらかじる。それだけで不思議とお腹は満たされた。


 午後は畑の手伝いだ。土に触れ、時には鍬を振るう。単純な作業の繰り返しだがその単純さがとても心地いい。

 汗が流れ息が上がるが嫌な気分は一切なかった。


 夕方前に薪や小枝を集める。乾いた枝を選び束ねる。火のことを考えながら集めるのが少しずつ楽しくなってきていた。

 夕食の前には再び捲る練習をする。やはり三〇分から一時間程度。

 空気の流れを感じつつ指先に意識を集中して目に映る景色の端を探るように指を動かす。他人が見たらとても滑稽な仕草のようではあるが、この奥村では誰も何とも思わないだろう。

 単純な腕振りのくり返しではあるが、みんながやってきたことだと思うとやはり真剣になる。


 夕食はたいていどこかの家でいただく。特に順番を決めているわけではなく、奥村家も奥園家も中村家もいつも温かく迎えてくれる。


 夜、就寝前は必ず外に出た。幻想的に浮かび上がる村を見ているだけで気分が上がるし、家の中より外の方がよりエネルギーを吸収できるような気もしていた。

 そして、頭上には満天の星空。これまでの人生で見たこともないほどの光の世界。しかも、その一つ一つがなんだか近く感じる。


 そんな夜の時間をひと通り満喫して、ようやく布団に入り目を閉じる。

 一日の感覚がゆっくりと沈み眠りに落ちていくのだった。


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