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(4-3)電話2

 台所から浩子が顔を出した。


「電話、何だったの?」


「いや、それがよくわかんないんだよね」


 美樹は苦笑しながら振り返る。


「何か言ってたんだけど全然聞き取れなくて」


「なに? いたずら電話?」


「うーん、そんな感じじゃなかったけど……」


 美樹は先ほどの声を思い出す。

 不気味というより、どこか必死な感じだった。


「なんか『お願いします』みたいなことをずっと言ってた気がする」


 すると浩子がふと動きを止めた。


「あれ……?」


「ん?」


「そういえば……」


 浩子は記憶を辿るように目を細めた。


「いつだったかしら。同じような電話が前にもあった気がする」


「え?」


 今度は美樹が驚く番だった。


「そうなの?」


「うーん……はっきり覚えてないんだけど……」


 浩子は首を傾げる。


「一か月くらい前だったかなぁ」


「同じ人かな?」


「え? そうなのかしら……でもその時も何か聞き取りにくくて『もしもし?』って何回も言った記憶があるのよ」


「へぇ……」


 少しだけ背筋がむず痒くなる。

 偶然だろうか。それとも本当に同じ相手なのか。


「でも変な局番だったよ」


 美樹は電話機を指差した。


「08512だったかな」


「長いわねぇ」


「でしょ?」


 話しながらスマートフォンを取り出す。

 検索画面を開き、局番を打ち込んだ。


「えっと……局番08512……」


 画面をスクロールする。

 そして。


「あ」


「何?」


「あった」


「どこなの?」


 美樹はスマホを見つめたまま答えた。


「島根県」


「島根?」


「うん」


 さらに読み進める。

 そして目を丸くした。


「え? 隠岐(おき)?」


「隠岐?」


 浩子も聞き返す。


「隠岐の島?」


「たぶんそう」


 二人は顔を見合わせた。遠藤家に島根県の知り合いはいない。まして隠岐など、人生でほとんど縁のない土地だった。


「誰だろうね」


「さあ……」


 浩子が首を傾げる。

 美樹も同じように首を傾げた。


 窓の外では相変わらず蝉が鳴いていた。


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