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ヴィンセントの魔法陣を解析するならば…
グレイシア本人に出来ることには限りがあるだろうとは思っていた。人に施す魔法陣は魔力の源とも言える魂に刻まれる。
婚姻の魔法陣と同じで、ヴィンセントが用意していた魔法陣も、それを元に作られたのだろう。
過去にポリアンナがグレイシアに仕掛けられた魔法陣を調べようとしたことがあったようだが、その時には両手を合わせて魔力を探ったのだろう。お互いの腕を介す分、魔法陣まで少し遠い。手を介すと余計な魔力がこちらに入って来て煩わしい。メリッサは面倒くさくなって、グレイシアの額を鷲掴みにして魔力を探る。
「ねえ、少々扱いが乱暴ではないかしら?」
老女の見かけをしたグレイシアが戸惑ったように言う。
「黙って!気が散る!」
えらく集中力が必要で…こちらの魔力を流す分、疲労も激しい。
確かなのは、ヴィンセントの魔力が、すでにもうグレイシアのものとほぼ区別がつかなくなっていると言うことだ。コンコンと湧き出す魔力の源に、ピッタリとはまり込んで居る。ヴィンセントの魔力だけを追うとその源がそこにある、と言うのだけは分かる。分かるが、深過ぎて、そこに辿り着くだけで消耗する。
メリッサは、ぐったりと長椅子に身を横たえて、降参する。
「師匠は、ランバートのこと、どう思ってる?」
婚姻の魔法陣ならば、本来は相手が異性であった方が触れやすい。
だが、人を選ぶ。要は恋人や夫婦同様に、魔力を交換することになるからだ。
ただ、グレイシアに触れても問題のない人物となると、限られてくる。
浮かんだのは、アルドレット、ヨシュア、ランバートであるが。
ヨシュアは論外。消去法で、ランバートだよねぇ。独り者だし。
魔法陣操作慣れてるとなれば、師匠も指示しなくていい分楽だろうし。
それが駄目なら…アルドレットだけど、なぁ。
「ランバート?有能よ。器用だし、魔力操作もメリッサに並ぶんじゃないかしら?きっと、研究も進んでると思うわ。気になるけど、気にしちゃ駄目よね。口出したくなっちゃうもの」
あーーーー、そうよねぇ。
師匠だもんなぁ。
ランバート、解析して…絶対解くだろうけど。解くまで絶対諦めないだろうけど。解いたらもう、戻れなくなるだろうな、アイツ。
チラリ、とグレイシアを見る。
師匠が応えてくれるなら、奴も報われるだろうが。
まぁ、ランバートだしなぁ。
犠牲者ランバート。
召喚するかなぁ。




