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魔法陣の向こう〜呪いの魔女グレイシアの物語〜  作者: サンガツワサコ


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新たなる王が立った。


王太子シュドリウスは、歴代の王と同じく二十八で戴冠した。


王太子は戴冠より2年前に妃を迎えていたため、王都の国民に向けては王と王妃が揃っての披露目となった。


街では祝福の祭りが催されている。その喧騒は離宮に設けられたグレイシアの研究室にまで、わずかに届いていた。


離宮の研究室は閉じられ、ランバートは王宮魔術師の塔へ移る。


グレイシアの研究室には、ヴィンセント時代から利用してきた古い魔道具や魔石、研究資料や報告書の写しが丁寧に綴られている。機密事項も多い資料はランバート自らが運ばなければならない。


そして。


仮眠室のいっかくに、黒いローブ。


グレイシアは、王宮魔術師のローブを、ヴェールを、グローブを、そこに置いて行った。


王宮のメイドがローブを手に、振り返る。


「こちらはどなたに下げ渡されますか」


下げ渡す前に洗濯に出すのだろう。


「ポリアンナ様が受け取られる筈です」


下げ渡す必要のない、グローブとベールだけ受け取って、ランバートは塔へ向かった。




魔法陣の書き換えは、1ヶ月前ほどに行われた。書き換えにはランバートが立ち会った。


目の前で立ち上がる魔法陣に満たされた魔力は美しかった。

王家特有の黄金色の魔力が、魔法陣に満たされる。そこに、グレイシアの魔力が導くように走ってゆく。


書き換えを終えたシュドリウス陛下は、驚いたような表情をみせた。


「私が魔法陣の書き換えを行うのはこれが最後です」


グレイシアは新たな国王に挨拶をする。


「陛下の御代が、泰平の世でありますように」


黒いローブ姿のまま、魔術師の礼をとる。

そして、呪いの魔女は王宮を去ったのだ。


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