表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら白ねこでした。お菓子魔法で異世界の心を癒やします。――もふもふカフェから始まる甘くてやさしい異世界生活――  作者: 明石竜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/28

第二十章 お菓子が繋ぐ世界

「最かわの証明を経て、私のお菓子魔法は格段に安定し、深みを増した。

新しいお菓子を作るたびに、それを食べた人の心に正確に届くようになった。

「師匠、最近のお菓子、何か違います。もっと深く心に響く感じがして」

リリアが言う。

「成長したのかもしれない」

「素敵です」

 試練を経て変わったことは、技術だけではなかった。

 ものの見方が変わった。

 以前は、お菓子を食べてもらう時、「喜んでもらえるかな」という不安が常にあった。

 失敗を恐れていた。拒絶を恐れていた。

 でも今は違う。

 心を込めて作ったお菓子は、必ず誰かに届く。たとえその日ではなくても、いつか、どこかで。

 それを信じられるようになった。

「心が安定すると、魔法も安定するんですね」

「そうだな。お前のお菓子、前より温かくなった気がする」

 レイが言う。

「食べた時、じんわりと温かい何かが広がる感じがして、前よりも長く残る」

「気づいてたんですか」

「当然だろ。毎日食べてるんだから」


 ある日、エリザベート嬢が提案してきた。

「ココ、大陸中のお菓子職人を集めた、大きなフェスティバルを開いてみない?」

「フェスティバル?」

「ええ。あなたが旅で出会ってきた人たち、各地のお菓子文化、それを一堂に集めて、世界中の人に見せたい。お菓子が世界を繋ぐ、というコンセプトで」

「いいですね。ぜひやりましょう」


 準備に三ヶ月かかった。

 王女も全面的に支援してくれた。

「大陸中から、お菓子職人が来てくれるわ」

「ハナさんにも声をかけました。サクラノクニから来てくれるそうです」

「フィアナ王女も?」

「はい。エルフ王国のお菓子職人も一緒に来てくれます」

「アランさんは?」

「もちろんです。旅から戻ってきたばかりなのに、すぐに承諾してくれました」


 フェスティバル当日。

 王都の広場は、色とりどりの屋台で埋め尽くされた。

 東の大陸の餡菓子、エルフ王国の葉っぱのケーキ、ドワーフの石窯で焼いたパン菓子、砂漠の民のデーツと蜂蜜の菓子……。

 世界中のお菓子が、一堂に会していた。

「こんなことが実現できるなんて……」

 感動で言葉が出ない。

「お前がいたから、できたんだ」

 レイが隣に立つ。

「私一人ではなかった。みんなのおかげです」

「そうだな。でも、最初に一歩踏み出したのはお前だ」

 開幕のあいさつで、私は壇上に立った。

 たくさんの顔が見える。リリア、グレン、ノエル、エリザベート嬢、王女、アラン、ハナ、フィアナ王女、マルガレータ……。旅で出会ってきた、大切な人たち。

「本日は、世界中からお越しいただきありがとうございます」

 声が広場に響く。

「私は一年前、この王都で小さなお菓子屋を始めました。お菓子を通して、人々の心を繋げたいと思っていました。今日、こうして世界中のお菓子が集まり、様々な文化を持つ人々が笑顔で集っている光景を見て……夢が叶ったと感じています」

 拍手が起きる。

「お菓子は、言葉が通じなくても、文化が違っても、心を伝えることができます。一口の甘さが、人の心を解かします。笑顔を生みます。思い出を作ります。これからも、私はお菓子を通して、世界を繋ぎ続けたいと思います」

 大きな歓声と拍手が上がった。


 フェスティバルは、三日間にわたって続いた。

 来場者は延べ数万人。

 子どもたちは目を輝かせながら様々なお菓子を食べ、大人たちは懐かしい味に涙を流し、老人たちは若い職人たちの情熱に目を細めた。


 最終日の夜、閉幕の花火が上がった。

「綺麗……」

 夜空に咲く光の花を見上げながら、私は感じた。

 これで終わりじゃない。

 むしろ、始まりだ。

「ココ」

 レイが隣に立つ。

「次は、どこへ行く?」

「南の大陸。まだお菓子を知らない人たちがいるから」

「またしんどい旅になりそうだな」

「でも、楽しい旅になります。一緒に行きますか?」

「当然だろ」

 彼は笑って、私の手を握った。

 空に最後の花火が上がる。

 世界は広い。でも、お菓子があれば、どこへでも繋がれる。

 私はそう信じていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ