第35話 切り札
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「お互いの自己紹介を終えたし……、イッカクについての話をする前に……。先ずは、成神君、鉄君、紫堂さん……」
「「へ? は、はい!?」」
「お、おう!」
お互いの自己紹介を終えると、バニラは突然、勇綺達の名前を呼び掛ける。
突然バニラに名前を呼び掛けられた事で、勇綺と秋、そして龍哉は慌てながら返事をしてしまう。
「ゴホッ、ゴホッ……。これからは、共にイッカクを退治する仲間なんだし、あなた達の職業を教えてくれないかしら? あなた達の事を予め知っておかないと、作戦を練る時や、戦闘中に支障が出るかもしれないからね」
「え、えっと……、それは……」
「いや、職業は……。う〜〜ん……」
バニラは勇綺達の職業について、咳き込みながら問い掛ける。
バニラから問い掛けられて、勇綺と龍哉は、自分達の職業を教える事に迷っていた。何故ならば、こちらの職業を教えた事で、バニラがオドワルド王や武器屋の店主のように態度を豹変させて、戦闘職じゃない自分達を理不尽に責め立てて、不愉快な思いをさせてくる可能性があるかもしれないからだ。だから勇綺と龍哉がバニラに、自分達の職業を教える事に迷ってしまうのも無理はないだろう。
すると……。
「あの……、その……。私の職業は……、バードです……」
「「えっ!?」」
自分の職業を教える事に迷っている勇綺と龍哉とは対照的に、秋は、自身の職業をバニラに教えてしまう。
勇綺と龍哉は目を丸くしながら、自身の職業をバニラに教えた秋が居る方へと振り向く。
(教えちゃった……。秋が、職業を教えちゃった……。ど、どうしよ……。王様達みたいにバニラさんも豹変して、戦闘職じゃない僕等を追い出そうとするんじゃ……)
(秋……、おまっ! ヤバい、ヤバい、ヤバい! これは、やべぇぞ!? このままだとまた、糞王や武器屋のおやじの時みたいに、このねぇちゃんも豹変して俺達に、《戦闘職じゃない役立たずな雑魚共は、お呼びじゃないんだよ! 帰れ!!》とか言うんじゃねぇか!?)
秋の方へと振り向いた勇綺と龍哉は、戦闘職じゃない自分達がバニラに追い出される場面を、頭の中で想像しながら慌てふためいていると……。
「へぇ……、紫堂さんの職業、広域サポートが得意なバードなのね……。良い職業じゃない。あなたの職業は、きっと、イッカク退治の時に、私や勇綺君達の助けとなるわ!」
「そ、そうですか? えへへ……」
「「へ!?」」
勇綺と龍哉が慌てふためいている最中、バニラは秋の職業を高く評価する。
秋は、自身の職業を褒めてもらえて、相当嬉しかったのか、顔をニヤけさせてしまう。
勇綺と龍哉は、秋の職業を称賛したバニラに目を大きく見開く。まさか、戦闘職じゃない秋を称賛するとは思ってもいなかったのだ。今までの人達は、戦闘職じゃない勇綺達を理不尽に責め立てて、不愉快な思いをさせてきた。だから勇綺と龍哉が、戦闘職じゃない秋を称賛するバニラに、驚くのも無理はないだろう。
「じゃあ……、成神君と鉄君……。あなた達の職業も、教えてもらえないかしら……?」
秋から職業を教えてもらったバニラは、勇綺と龍哉に視線を移す。そして、二人の職業について問い掛ける。
(戦闘職じゃない秋を責め立てなかった、この人なら、大丈夫……かな?)
(戦闘職じゃない秋の職業を高く評価した、この、ねぇちゃんなら、俺の職業を教えても問題はなさそうだな……)
問い掛けられた勇綺と龍哉は、バニラに自分達の職業を教える事を決意する。おそらく勇綺と龍哉は、秋の職業を高く評価してくれたバニラが、自分達の職業が戦闘職じゃないと知っても、理不尽に責め立てたりする人物ではないと判断したのだろう。
「俺の職業は、骨細工師だ」
「えっと……。僕の職業は、園芸師です」
龍哉と勇綺はバニラに、自分達の職業を教えると……。
「鉄君は、骨細工師か……。あなたの職業は、かなり面白い職業よ……。私、骨細工系の武具、けっこう好きなの……。骨細工師はね、魔物の部位を素材にして、それらを使って武器や防具を作ったりする事ができるわ……。素材によっては……、魔物と同じ特殊能力が発動できる武器や、魔物と同じ耐性を持った防具とかも作ったりする事ができるの……。更に骨細工師は戦闘で、敵の能力を下げるスキルが使えるのよ」
「ほぅ……、魔物と同じ特殊能力や耐性を持った、武器や防具が作れるだけじゃなく、戦闘では敵の能力を低下させるスキルが使えるのか……。なる程……。確かに、そいつは面白そうだな……」
龍哉の職業を相当気に入っているのか、バニラは嬉しそうに骨細工師についての説明をする。
龍哉は顎に手を当てながら、バニラの説明を興味深そうに聞いていた。
「そして、成神君。あなたの職業、園芸師だけど……。園芸師は、木材や薬草、野菜と果物、そして繊維作物を採取するのが得意な職業なの。戦闘では、植物系の魔物相手ならば有利に戦えるスキルを持っているわ。更に、この園芸師は【スキルレベル】が高くなると、イッカクを倒す切り札になり得る可能性を秘められているスキルを覚えるのよ……」
「「「えっ!?」」」
骨細工師の話を終えたバニラは、勇綺の職業についての話を始める。
バニラの話を聞いた勇綺達は、目を大きく見開く。植物を採取するのが得意な園芸師が、イッカクを倒す切り札になり得る可能性を秘められていた事に、勇綺達は驚いてしまったのだ。
「バニラさん、教えて下さい! イッカクを倒す切り札になり得る可能性を秘めている園芸師のスキルは、どんな力があるんですか!?」
勇綺はバニラに、園芸師のスキルについて問い掛けると……。
「イッカクを倒す切り札になる可能性を秘めている園芸師のスキルは、武器に虫系特効を付与する戦闘スキル、【防除】と、虫系特効を高める補助スキル、【バグキラー】。そして、虫系の魔物に攻撃する時のみ、攻撃力を一瞬だけ強化する補助スキル、【バグハンター】の三つよ。この三つのスキルを持った園芸師が居れば、虫系統の闇の王であるイッカクに、勝てる可能性が高くなるはずだわ……」
バニラは勇綺達に、切り札となる園芸師の三つのスキルについて話す。
「すげぇな、園芸師って……。虫系統の魔物相手に有利に戦えるスキルを持つ園芸師をもっと多く集めれば、イッカクに勝てる可能性を更に高く出来そうだな……。なぁ、バニラのねぇちゃん。どうなんだ? イッカク退治に協力してくれる園芸師って、勇綺以外にどれくらい居るんだ?」
話を聞いた龍哉はバニラに、イッカク退治に協力してくれる、園芸師の数について質問をすると……。
「成神君以外で、イッカク退治に協力してくれる園芸師は……、二人だけしか集められなかったわ……」
龍哉からの質問にバニラは、どこか悔しげな表情を浮かべながら返答をする。
「そんな……。どうして、他の園芸師の人達は、イッカク退治に協力してくれないんですか? 自分達の世界が危ないんですよ?」
秋はバニラに、他の園芸師の人達がイッカク退治に協力してくれない理由について問い掛ける。
「ゴホッ、ゴホッ……。皆んな、イッカクを恐れているのよ……。多くの園芸師の人達が私に、《レベルの高い戦闘職でも勝てない、あんな化け物と戦うなんて無謀だ!》 とか、《イッカクを倒すなんて無理だ! 他人を巻き込むな!!》とか、後、《あんたは、頭イカれているのか!?》とかも、言っていたわ。まぁ、イッカクは、腕利きの戦闘職を何人も血祭りに上げてるからね……。戦闘職じゃない園芸師の人達がビビって、イッカク退治に協力してくれないのも仕方がないわ……」
秋からの問い掛けにバニラは、他の園芸師の人達がイッカク退治に協力をしなかった理由について、咳き込みながら話すのであった。
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