ミッション11「北京制圧」後編
~ミッションエリア:中華国山西省~
《あれあれ?新人君とやらはいったいどこにいるのかな?》
《お前なんかに教えるわけねーだろ!》
《はは~ん……さてはいきなり自爆魔に落とされたな新人君は》
《知ってんのかよ!?》
《ならば新人君に伝えてくれたまえ。気に病むことはない、僕もやられたことあると。君たちが生きて帰ってこれたらな》
《この戦闘狂が!》
ユーフェミアと対峙するのはソランジュ。いきなり不意打ちされてご立腹の彼女はその憂さを晴らすべく、力任せにユーフェミア機に斬撃を与える。しかし相手も玄人レベルだ。簡単にブレードで斬撃を防ぐ。ソランジュは至近距離からEマシンガンで攻撃。
《おっとっと!》
多少の被弾を受けたが、致命的ではない。ユーフェミアは散弾銃ですぐさま反撃した。しかしその散弾銃はただの散弾銃ではないようで、連射性能が非常に高く、あっけなくAFを破り、ソランジュ機を削る。
《うわ!なんだその武器!チートじゃねーか!》
《ふふん。いい武器でしょう?君のEマシンガン……僕も超ほしいんだけど。よし、君に勝ったら戦利品はそれだな。いいよねソランジュ?うんサンキュー》
《勝手に戦利品にするな!それに肯定してねーぞ!?》
(しかしまずいな……。予想以上に削られる……。ただでさえミランダ戦でダメージを追っているのに……)
連戦でタメージは蓄積しており、ダメージ率も七割を超えている。いつ離脱してもいいように準備をしているが、ユーフェミアだけには負けたくないというのが本音である。勿論、ナディアやユーフェミアらも連戦のため、条件はほぼ五分五分。
(あの散弾銃……見た目的に多分すぐに弾切れ来そうだ。それまで耐えてみるか?)
ソランジュの推測通り、ショットガンはすぐに弾切れになり、すぐさま、近接戦闘を展開する。
《フフフ……さて私の斬撃を耐えきるかな?》
《お前の距離にのこのこ入って行くかよ!》
ソランジュはユーフェミアの白兵戦に付き合うことなく、Eマシンガンを撃つ。しかし、ソランジュも弾切れになり、舌打ちしながら結局、白兵戦に付き合う羽目となった。ブレードが激しくぶつかり合う。ユーフェミア機は肩部に内蔵されてあるナイフをいきなり飛ばした。
《あぶな‼》
とっさに反応し、何とか交わしたが、ナイフが飛んで行ったその先には――
《!やば――》
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一方、セシルはナディアと対峙する。しかしミランダとの戦闘で消耗が激しく、内心、勝ち目がないとあきらめ気味になる。
(いや、Eスナイパーをうまく当てれば相手も……)
《ミランダを倒したのか……。流石だなセシル。敵対関係とはいえ、元部下で仲間だったお前たちの成長はとてもうれしいよ。悪いことは言わん。今すぐにでもブルースカイに戻れ。お前たちの力を失うのは惜しい》
「それはお断り!」
セシルはEスナイパーを撃つが、避けられる。ナディアはミサイルを撃ち返す。
《ほう、このミサイルを完全に避けられるとは……その腕がなければここまで勢力を拡大することもできんからな》
先ほどセシル機を執拗に追いかけるミサイルは、すべて見切られる。ナディアはミサイル攻撃をやめて、接近戦を挑む。
(ここでもう一回……)
セシルは再び先ほどの秘密兵器を展開した。まぶしい光がナディアを襲う。
《ぐ……!》
(よし、今だ)
セシルはEスナイパーを構え、照準を合わせる。しかしセシルの撃った青い閃光は大きな砂煙を上げたものの、ターゲットはそこにはいなかった。
「な!?いない!?」
《厄介な兵器だ。そうか、お前たちも【トワイライト】からのプレゼントをもらっていたのか。だが残念だったな》
(まさかもう対策がなされているとは……)
まだナディアとは、新兵器を搭載してから一度も戦っていないし、そもそも、今回のミッションで初めて使用した。特に対策のしようがないと思われるが……
(スパイ?いや、もしかしたらミランダ戦の一部始終をどこかで見ていたのかもしれないな)
様々なパターンが考えられるが、今は戦闘中。余計なことはなるべく考えないようにする。
ナディアは得意の近接戦闘を挑み、セシルに一機に接近してきた。流石に至近距離ではスナイパーは足かせになる。スナイパーをパージし、セシルも近接戦闘を挑む。
お互いのブレードが火花を散らし、音を鳴らす。しかしナディアが一枚上手だ。ブレードを華麗に操り、セシル機を押していく。
《スナイパーの腕はそこそこ、だが白兵戦はまだまだだな》
ナディアはセシルのブレードを薙ぎ払い、左足を回し蹴る。セシル機はバランスを崩し、隙ができる。
「ク……!」
《フフフ……》
(まずい!)
ナディア機はセシル機めがけて接近し、ブレードを払う。
《危ないいい》
《!》
しかし目の前に一つのナイフが通り過ぎ、ブレードではじく。弾かれたナイフはそのまま爆発した。
《こら!ユーフェミア!どさくさに紛れて私を殺そうとするな!》
《俺はソランジュ君とその射線上にいたセシル君を殺そうとしただけだ。妾の射線上の前に来ようとしていたお前が悪い。以上》
《嘘をつくな!明らかについでに私まで巻き込もうとした攻撃だろ!……これなら明ちゃんにしておけばよかった》
(いやこれは明ちゃんの陰謀か?さてはあいつら共謀で私を殺そうとしているのか?だからあの時断ったのかあいつは……!だったらこれが終わったらあとで逆らえないよう調教してやる!)
《ナイフ回収よろしく……もしもし?聞いてる?》
ナディアの被害妄想が加速する。その間にセシルは体勢を立て直し、スナイパーライフルを拾いなおした。
(何とか助かった。あの姉妹の連携の悪さは相変わらずだな。だいたいEさんのせいだけど……)
ナディアは再び白兵戦で決着を付ける。セシルは狙いを定めようとするが、ナディアは照準から逃れながらセシル機に近づいていく。なかなか照準を合わせることができないが、セシルはターゲットの移動先を読み、タイミングを見極めて引き金を引いた。その一撃はナディア機になんとかダメージを与えることができた。
《!……ほう。ノーロックか。面白い!》
セシルは再びナディアの行動を読もうとするが、今度はなかなか当たらない。
《そう同じ手は食らわんぞ》
「ク……」
ガキィイイン!!!
セシルは狙撃をあきらめて、白兵戦で挑み、再びブレードが交差する。今度はセシルもナディアの斬撃に対応し、何とかしのいでいく。
《ほう。この短時間で対応してきたか》
《うぅ……一撃がいちいち重すぎる……》
セシルは弱音を吐いてはいるものの、強気の姿勢でナディアと戦っていく。しかし明典からナディアに通信が入る。
《ナディ……ヘンリーからご命令。撤退しろ》
《撤退だと?》
《EUNは撤退した。こちらも撤退するぞ》
《しかし……》
《大丈夫だ。連中は太平洋でドンパチするから》
《そうか》
通信が切られ、ナディアは距離を取りため息をついた。セシルは突然の行動変化にも戸惑うことはなく身構えている。
《時間切れだな。今日は有意義な戦いだった。また会おうセシル、ホープ》
《ああ!?ネクタルが!》
《さっさと帰るぞ、馬鹿いも……いやなんでもない》
《今妹って呼ぼうとしたな?しかし今日は明ちゃん一押しの子、いなかったね》ニヤニヤ
ブルースカイは次々と撤退していく。戦場に残されたのはホープの機体数機だけだ。
《終わったのか……?》
《エリア周辺に熱源の反応はありません》
《ネクタル切れか?》
《連戦ですのでその可能性は高いでしょう》
「終わったか……」
《危なかった……今日はやばかったな》
《これは天を鍛え直さないといけないな!》
《でも初見じゃ【自爆魔】は厳しいだろ…………》
「生きて帰ってこれて良かったよ。戦死していたらそれこそ最悪だった」
ブルースカイはミッションエリアから撤退した。とはいえ、ホープ側も連戦によって限界が近づいており、むしろ撤退してくれたほうが助かったという本音もある。今回のミッションでEUNを中華国の北京周辺から撤退させることに成功した。少なくとも最低限の目標は達成したといえる。しかしながらホープも大きな被害を受けた。それだけでなくブルースカイとは完全に対立することとなった。今後もホープの取り巻く環境は非常に厳しい。




