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現代神話のエルカヴァリア  作者: 白卯兎 健太
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自爆魔

~ミッションエリア:中華国山西省~

『みんな見て!万里の長城よ!』

「「「「お~!!!」」」」


 モニター画面ではあるが、みんな興奮気味だ。


 万里の長城か~。画面越しでもすごい迫力というか、果てしなく長い!間近で見るとより迫力は満点なのだろう。いつかは観光してみたい。


 ちなみにこの世界の万里の長城は、壁の上に石像が延々と並べられている。敵国の侵略を守るために石像が動き、敵を排除していくものらしい。

今は所々が風化されており、マナを流しても動くことはない。石像に関しては万里の長城だけでなく、どこの国も宮殿などの重要なところに置かれていたらしいが。


《え~皆さん。盛り上がっているところ申し訳ないのですが、まもなくミッションエリアに到達します》

『え~……』

「え~じゃない!」

《もう一度作戦内容を確認します。今回のミッションは中華国の中心部を制圧します。ここを抑えることができれば今後の戦略に非常に有利となります。北京に展開している【EUNアジア、聖アジア魔術師団】を殲滅してください。彼らは長期戦により疲弊しているものと思われますが、決して油断成されぬよう気を引き締めてください。また【BS】の動向はこちらから確認します。指示がなければ攻撃は厳禁です》

『ちぇ……あいつらを信用しなきゃいけないなんて……』


 それは俺もそう思うが、あまり敵対したくないのは確かだ。そもそも、ホープとブルースカイの敵はEUNと共通しているはずだからな。

 敵が交渉に応じるならまだいいんだけど……。いざって時のためにも警戒は怠らない。


《さて諸君。今回のミッションはわかっていると思うが、ここを抑えなければ、我々は【ブルースカイやEUN】に対抗できない。逆を言えば、ミッションを成功させた暁には、我々の影響力を世界中に響かせることができる。君たちの検討を祈る》

『おやまあ、リーダーが激励するなんて珍しいね』

「重要なミッションだからだろ?」

《まもなくミッションエリアに到達します。発艦の準備をしてください》


 無駄なお喋りをしているうちに、いつの間にかミッションエリア近くまで来ていたようだ。いつも通り、システム等に異常がないかの一通りの確認をする。


 そしてついにミッションエリアに到達。敵機も見えてきた。


《よし、作戦開始!》


 セシルの合図に全機が一斉に動き出す。俺はいつもと同じ背後から撃つ。


 【聖アジア魔術師団】はその名の通り、マナが豊富な人間が主な構成員となっている。……つまりヴァリアントだらけ。エリートも多いが、素人も多いので、四大組織の中でも特にやりやすい相手らしい。

 メインウェポンは主にM系武器。M系は銃口に魔法陣が展開する。実際に魔法陣から銃弾が出る。銃口は飾りです。


「そういえば、M系武器って明ちゃん以外では初めてかも……」

『武器がバカ高いんだもの、使い手が少ないのは当たり前でしょ?』

「しかしそのバカ高いものをあいつらは何で当たり前に持っているんだ?」

『当り前じゃなくて、あれを持っているのはごく一部のアルファにしか過ぎないってよ』

「あれ?そうなの?」

『あれは幻覚の魔法陣。実際は実体弾なのよ』


 なんだよ……M系に見せかけただけの武器かよ……。さすがに金に余裕がないから、せめて雰囲気だけでもというところかな。


 それは置いといて、今回も俺のEスナイパーが火を噴く。遠くから敵機を一撃で撃破する。けれど相手は余裕なのか、こちらに来ようとはしない。


『ずいぶんと余裕ねあいつら』

「セシルたちが近寄らないように――!?」


 いきなり横からエルクが急接近してきた。何が起こったのかわからない。ついパニックになってしまう。


《隙ありー!!!》

ズパァ


『きゃあああ!』

「うわ!」


 思いっきり斬られた!今の一撃ですでにダメージが50%を超えてしまった!こいつ!なかなか腕が立つな!


『あれ?あの機体よく見ると……』

「“六地蔵”じゃん!そうか!ステルスで近づいたのか!」

『全然気づかなかったわ!』


 クソ……ただのネタ機だと思っていたけど、やっぱりうまい人は何でも使いこなせるんだな。


フッ――


 覚醒。とりあえず、ブレードで斬り返す。


ガキン!


 ち……またかよ。何時もブレードで防がれる。だが俺はスナイパーだ。Eスナイパーで撃破する。


 ステルスで逃げるようだが……魔波を展開し、歪みを見つけ、狙撃する。


ピィィ!!!


 バリアを展開したようだが、余裕で貫通する。一撃で致命傷を与えた。


『よし、このままイケー!!!』


 よし、このまま……おっと、急接近してきた。白兵戦か?


《フフフフ………》

「!?」


 一瞬なにか嫌な予感がした。すると……


《おめーなかなか強いじゃねーか!楽しかったぜ!あばよ!》

『え?』


 敵機が……いきなり自爆した。


ドォオオオオオオオオオオオオンンンン!!!


『きゃあああああ!!!』

「……落とされた」


 その爆発は俺の“あざみ野”を巻き込んだ。俺の機体はAFや装甲を吹っ飛ばされ、大破した。


 しかしどうやら、いつの間にか体が勝手に動いていたようで、手には脱出ボタンを押していた。コクピットごと脱出。そのあと、俺たちは輸送機に回収された。









✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪

「「…………」」ジー

「『う……』」

「「…………」」ジー

「あ、あの……」

『アハハ……』

「「…………」」ジー

「『ごめんなさい……』」


 親父さんとアルマちゃんにめちゃくちゃジト目で見られている。沈黙の視線に耐え切れず、謝ってしまった。二度目の謝罪なんだけどね……。でもあざみ野を大破させてしまった……。幸い機体と武器は回収されたようだが……。しかし大破したあざみ野の痛ましい姿はまだ愛機となってから短い付き合いだが、正直、ショックを隠せない……


「もう天をからかうのはそこまでにしよう、親父さん」

「いや、あんたが俺を親父さんというのか」


 リーダーが出撃口に入ってきた。どうやら俺の様子を見に来たようだ。


 ちなみに親父さんよりもリーダーが年上だったりする。それでも親父さん呼ばわりしている。それほど仲がいいというものだろうか。


「戦場というものはイレギュラーがよくおこるものだ。油断せずともこうして落とされることはある」

「はい」

「今回は不運だったな。我々も詰めが少々甘かったようだ。生きて帰ってこれただけでも良しとしようか」


 この重要なミッションでよりによっていきなり最初から落とされて、落ち込んでいた俺をリーダーが励ましに来てくれたようだ。


『しかしなんだったのあいつ……いきなり自爆だなんて……』

「どうやら【円卓騎士団】が混じっていたようだな」

「【円卓騎士団】って欧州の?」

「あの動きは間違いなく【自爆魔】だろう。連中はここに潜んでいたか」


 【自爆魔】ルーカス・アンヴィル……円卓騎士団のメンバーだ。その名の通り、分が悪くなる戦いなら自爆して相手を葬るやつだ。円卓騎士団の中でも変人騎士団長と並ぶくらい有名だ。主に指揮官を狙っている。ごくたまに戦闘せずにいきなり自爆したりするのだとか。

 ずいぶんとユニークな戦い方だが、エルクの使い方を間違っていると言わざるを得ない。彼はエルクを自爆兵器としか思っていないのだろうか?


 しかしそんな奴に俺はやられたのだが……。


『しかしどうして【自爆魔】がセシル君じゃなくて天を狙ったのかしら?ブラックローズがEUNに漏らしたのかしら?』

「普通は味方に報告するものだがな。しかし連中が報告をするとは思えない。きっとEUNか円卓騎士団がブラックローズの機密を盗み出したんだろう」

「ということは俺の情報がEUNにも……」

「ああ、間違いなく、お前の情報をつかんでいるだろうな」


 マジか……。これじゃEUNも厄介な相手になってしまう……。とりあえず今の俺は何もできない……何かできることはないか?


「天、イヴリーン。二人ともついて来い」

「え?あ、はい」



「…………」ジー

「あ、あの……アルマちゃん」

「フフ……冗談ですよ。正直ようやく落とされたかと思っていましたから」

「え……?」

「天さんって初ミッションから前回まで一回も落とされていないのでしょう?ヴァリアントでも普通は数回落とされるものですよ」


 確かに言われてみると、俺が落とされたのは今回が初めてだ。いつもはギリギリながらも無事帰ってこれたんだよな。


「でもそれは俺が“フォース”で、しかもスナイパーとはいえ、後方だから狙われにくいとかもあるのでは……?」

「それもあるかもしれませんが、でも前回のミッションでやられなかったのはさすがだと思いますよ!まだ数ヶ月でしょう?ベテランのセシル君たちですら苦戦した相手ですよ!よっぽど何かを持っていると思いますよ!」


 おおう、こんなに褒められるのは初めてなのかもしれない……。イヴリーンやソランジュは俺のことを認めてくれないしな。


「ですから、今回のことは反省しつつも、後悔することはないと思いますよ!また次回も頑張ってくださいね!」

「ああ、ありがとうアルマちゃん」

「……笑ってくださいよ~」

「ごめん、俺、覚醒状態では、表情や感情が死んでいるんだ」











✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪✪

《え!?天がやられた!?嘘だろ!?》

《何やってんだよ…………》

《本当です。【自爆魔】が潜んでいました。ほかの【円卓騎士団のメンバー】も潜んでいるかもしれません。十分に注意してください》

《そうか……。円卓騎士団がここにいるとは……》


 天が撃墜されたことに皆動揺しているが、特に動きが悪くなることはない。セシルが天の生死について聞くと、無事脱出したようで、すでに輸送機に回収済みであると聞き、ほっと胸を撫で下ろした。


《なんで【自爆魔】がここにいるんだ?しかも天を狙っていたそうだし……》


 セドリックの純粋な疑問に、全員が何かを察した。


(まさか、天が“フォース”であることが漏れている!?……そうか)


 そもそもブラックローズはEUN内部からも特に煙たがられている存在だ。実力的には申し分ないものの、高圧的な態度で、時として自分たちの要求をのまない味方に攻撃を加えるなど、問題児組であった。 さらに質の悪いことに、上層部がブラックローズに対して制裁を加えないため、彼らは好き放題に動いている。下っ端はさすがにブラックローズに対してどうこうすることはない。と考えると、同じく疎ましく思った【円卓騎士団などのEUN派組織】がブラックローズにスパイを送っている可能性は決して低くはない。


《しかしこれから大丈夫か?ミランダとか来ないよな?》

《来たら来たで俺たちが対処すればいい》

(しかし、天がいなければミランダ戦はきついな……。【自爆魔】か……。本当に厄介な奴だよな……)


 いきなりで予想外の展開であったが、それでも対処できないわけではない。それに【トワイライト】から贈呈された秘密兵器もある。天の穴は自分たちでどうにか埋めるだけだ。


 セシルたちは特に苦戦することもなく、ほかのメンバーは苦戦しつつも次々と敵を排除していく。少しずつ被害を出しながらも何とかEUNを全滅させた。


《ミッションエリア付近にエルクが高速で接近しています。おそらくミランダ機と思われます!十分注意してください》

《みんな!》

《わかっているって!》

《おうよ!》

《はいはい…………》


 みんなが気を引き締める。もともと天で狙撃してどうにかする予定だったが、いない以上、仕方がない。


《来た……!》


 ついにミッションエリアにミランダ機とその取り巻きが到達した。


《……奴がいない……?》

《どうやら奴があざみ野を撃破したようです。脱出済みのようですが》

《そうか……》

《ミランダ……お前の相手は俺たちだ》

《……今回はお前たちが私の相手か》


 EUNが一斉に攻撃にかかる。ホープも攻撃を開始し、再び戦場に激しい轟音が響く。

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