悪意に満ちた研究所の悪夢
……例の空間だ。夢の世界なのかここ?まあいいや。さて、今日は何の夢を見るのかな?みんな気になっている俺の夢。いちいちくたばらないといけないのはあれなんだけど、ちょっと気になっている俺もいる……。
お?光が見えた。
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~某研究所~
ここはどこだろう?すごいSFチックな施設だ。とりあえず、廊下を移動してみる。壁をすり抜けると、三つの廊下に分かれている。
どこから行こうかな?真ん中は多分何かイベントシーンみたいなものがありそうだから、寄り道をしよう。じゃあ俺は右利きだから右から行くわ。
右を進むとまたドアがある。ドアをすり抜けると……
『……なんだ……これ?』
そこにはいろいろな動物の死骸が山のように埋もれていた。犬や猫のみならず、スライムなどの魔物も……。まるでごみのように捨てられているようだ。
さらに異様なのは、死骸の体の一部が変色していたり、変形していたりしていた。中には内側から破裂したような……とにかく、グロい。
『これはあんまり見るもんじゃないな……』
気分が悪くなってきた。さっさとここから出よう!
部屋から出て、次は左側の通路を移動し、ドアを通り抜ける。
グルルル……
シャアーー!!!
この部屋は動物がそれぞれ檻に入れられている。どいつもこいつも狂暴そうな動物(魔物)だ。かわいいはずの犬や猫なんて目から殺気を放っているし……こんなに怖かったっけ……?こわ!
よく見るとみんなやせ細っている。……ここってなんかやばそうな施設だな……。きっとEUN関連の施設なんだろう。しかし何のために動物や魔物をここに閉じ込めているんだろう?ここもあまり気分のいい場所ではない。早く出よう……。
部屋から出て次は真ん中の通路へ……向かう途中に人影が数人見えた。男が数人、そして後ろ手に縛られ、猿轡や目隠し、首輪でつながれた少女数人が強引に連れていかれている。なんてひどい奴らだ……!
「そうか……ではもうすぐだな」
「はい。これで反乱分子どもを鎮圧できます。ドウェイン閣下もさぞ満足になられるでしょう」
「MM計画の成功の暁には、我らが【ムーワード連邦】はエルメルに続く世界で二番目の国家として君臨できるだろう」
「おお!ついに我が国がこの世界で影響力を与えることができるのですね!」
MM計画?なんだそれ?先ほど見たあの動物や魔物と何か関係があるのだろうか?そんなことよりあの少女はどうなるんだ?触ることはできないからこのまま黙ってみるしかない。
怪しげな集団は奥のほうへ進んでいく。俺も後ろからついていく。この先にはいったい何があるんだ?
見たところ、こいつらは服装的に研究者っぽいな。絶対ろくでもないものを研究、実験しているんだろうな。まさかとは思うが少女を被験体として扱うつもりか?い~や!絶対そうとしか思えない!
研究員がキーを読み込んで、奥の大きな自動ドアが開かれた。
……な……なんだあれ!?
俺が見たものは巨大な犬の魔物だった。所々が腐れ落ち、左足なんかは骨がむき出しになっている。顔も左側の骨がむき出しだ……。見ていて痛々しい……。まるでゾンビのようだ……。左目は眼球はないが、赤く、禍々しく光っている。
「相変わらずひどい臭いだな……」
「ゾンビですので……」
「明日は実戦テストか?」
「はい。あれはテロリスト捕虜のエルカヴァリア相手にどこまで殺せるか楽しみですね」
「ククク……我々正義のEUNに歯向かう愚かな悪だ。どんな声で鳴くのか楽しみだな」
う~わやっぱり最悪な連中だよ……。お前らのせいで彼らは戦わざるを得ないんじゃないかよ!
最高責任者っぽい奴が少女を連れて丸く光っている床のところで少女らの足を縄で縛り、首輪を外された。
「ん、ん~!!!」
少女たちは声を出している。助けてほしいのだろう。俺が助けてあげたいけど触れない!
男はすぐに光の床から離れていく。すると、緑の床が下の階へ降りていく……。
お、おい!一階にはあの犬の化け物が……!
「グルルル!」
犬がよだれを垂らす。まさかあの少女たちはあの化け物の餌!?少女は得体のしれないうなり声に反応し、顔面蒼白になっているようだ。男たちは彼女の行く末には興味ないらしく、さっさと部屋から出ていった。
くっそあいつら!
犬の化け物は少女たちにとびかかり――
急に周りが光にあふれた。あ、時間か……。
グシャリ!!!
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「は!」
『きゃあ!』
ゴツン!!!
「『痛い!?』
痛え!何かに当たってしまったようだ。
『ちょっとなんで今なのよ!』
「え!?何が!?」
『なんで私が天の顔をのぞこうとしたら,そこでタイミングよく起き上がるのよ!』
「いや…そんなことを言われても……」
起きてから早速怒られたよ!しかも怒られた理由が本当に理不尽だし……。
『……で、その様子じゃ、例の夢を見たようね』
「夢……ああ、そうだ」
俺はイヴリーンに今回の夢のことについて話した。
『MM……。いったい何なのかしら?少なくとも動物魔物を使って何か企んでいることは間違いないようね』
「あいつを使って何しようとしているのか……。ろくなことにはならないと思うけど……」
『夢がいつの時期なのかはわからないけど。もう実戦テストならもうすぐ戦場に投入するんじゃないかしら?』
「あんなのを投入されるのか……」
あの魔物はエルカヴァリアの敵になるようだ。まさかあの化け物をエルカヴァリアで相手にすることになるとは……。
『しかし【ムーワード】とかいう国がそんなことをやっているなんてね……。所詮は【エルメル】の取り巻き国家ね!特に許せないのは罪のない……のかどうかは知らないけど、少女を餌として扱うなんて……』
「ああ、そうだ!あいつらを駆逐しないと少女たちが今も現在進行形で無残に殺されているとなると……」
『ええ!そうよ!私たちはああいう国家から滅ぼさないといけないわ!というわけでリーダーに!』
「よし行こう!」
俺たちは頷きあい、早速リーダーたちにこのことを伝えた。
「気持ちはわかるが今は北京の騒動が先だ」
「『ですよね~』」
「今の我々はまだ規模が小さい。【ムーワード】には【EUNやエルメル帝国軍】が常駐している。残念ながらどうにもならない。必要以上に連中と事を構えるわけにはいかんのだ」
残念ながら今の俺たちだけじゃ、あっさり返り討ちに遭うのは目に見えている。しばらく規模を大きくしてからだなこの問題は。しかし今もなお、少女たちはあの化け物の生贄になっていることを考えると、どうしても早く解決したいという気持ちが大きい。チート能力さえあればな……。
「しかしMMですか……。Mとはモンスターの略なのでしょうか?それはともかく、こちらにはそのような情報は今のところありませんね」
「【ムーワード】か……ただのエルメルの忠犬国家だと思っていたが、やはりエルメルの取り巻きはどこか黒いな。これからはこいつらも監視を強化しないといけないようだな」
【ムーワード】はノーマークというわけではないけど……しかし軍隊を持たないといっても裏で何をやっているのかなんてわからないからな。今回のMMとかね……。
結局今のところMMらしい情報は特にない。あのお坊ちゃんですら聞いたことがないというらしいし、スパイもそこまでの情報をつかんでいない。
これは予想以上に戦争が長引くかもしれない……。




