ミッション10「大連軍事施設強襲」前編
《もう一度作戦内容を確認します。今回のミッションは大連にある軍事施設の強襲です。敵戦力は【大連軍の一部とブラックローズ】。特に【ブラックローズ】は天さんを優先的に狙う可能性が高いので、注意してください》
《みんな分かったな?できる限りでいい。優先的に天を援護してあげて》
《おうよ!》
《任せな!》
《ああ、大丈夫だ………》
「皆さんよろしくお願いします……」
『天、落ち着いて、深呼吸深呼吸……』
イヴリーンに促され、深呼吸をする。しかし心臓がバクバクする。いつもバクバクだが、俺が優先的に狙われるとなるとますます緊張する。こんな緊張は初めてだ……。
ここはEUNアジアの大規模な軍事戦力を持つ通称【大連軍】の軍事拠点であり、ここを抑えればEUNは手痛いダメージを負うことになる。今回はいつものミッションとは違って成功率は低い。最悪の場合、死者も出る。それだけ危険なミッションだ。というわけで、以前仲間になった人やドローン30ぐらい、新人で即戦力な人も動員し、ミッションに挑むことになる。
《天、いつも通りというわけにはいかんだろうが、お前なら大丈夫だ。それに新たな武器もある。ブラックローズを優先的に狙え。特に隊長格をな》
「は、はい」
リーダーから励まされた。ホープのいつものメンバーには新しい武器が支給われてある。相手の動きは大体わかる。ならこちらから【ブラックローズ】を優先的に返り討ちにすればいい。そう自分自身に言い聞かせた。
《まもなくミッションエリアに到達します》
《よし、発艦!》
《行ってくるぜ!》
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~ミッションエリア:中華国遼寧省 大連軍事拠点~
ついに初めての海外のミッションだ。ついでに俺が初めての海外でもある。異世界だけど。
《前方に敵影を確認。ブラックローズだ。気を引き締めていこう!》
《了解!》
『よしそらー、行っちゃって!』
「行くぜ……死ね!」
向かってくる敵機におニューの武器を試す。テスト時間がなかったからどれほどの使い勝手がいいかをここで試す。
ピイィィ!!!
おお!これがEスナイパーか!青白い閃光が敵機に向かって走っていった。弾がものすごく速いね!使った自分が一番驚いているような気がする。
敵機は避けきれずに一撃を食らってしまったようだ。バリアを展開しても余裕で破って致命傷を与えた!すごいな……威力も抜群のようだ。これが試作品かよ……
《へえ、そのEスナイパーが天の新しい武器か》
《おいおいすごいじゃないか!これならブラックローズといえども一撃必殺だな!》
《でもみんな、油断しないで。連中も新型のエルクがいる。気を付けて》
どうやらブラックローズもおニューの兵器を持っているらしい。確かに油断はできないな。
俺たちはついにブラックローズと本格的に戦闘に入った。俺は基本後方で援護射撃だが、やはりというか、相手は高速でこちらに向かっているようだ。そんな奴らをスナイパーで返り討ちにするが、一気に来られると流石にまずいので、移動しながら迎え撃つ――
“システムエラー発生。妨害電波を確認。修復プログラムを起動します”
ECM(電子対抗手段)だ……。最悪だ……。でも覚醒すればどうにかなる。
そうそう、俺の覚醒条件について、ちょっと分かったかもしれない。
俺が今まで覚醒したのはいつもピンチの時だった。だから最初はピンチになると覚醒すると思っていた。しかし一部のミッションでは、そこまでピンチじゃなくても覚醒している。富山の遺跡がそうだった。それでピンチ説は終わった。
もう一つは俺がビビると覚醒するという説だ。おそらくこれが有力説だ。まあこれはずいぶん前からもしや……という程度だが、思っていた。
ビビりで発動するんだったら嫌な発動の仕方だな……。なんで覚醒するたびに小便ちびりそうな思いをいちいちしなくちゃいけないんだ?いづれトラウマが生まれるかもしれないし……。
白兵戦は怖いので、得意分野の人に任せる。俺は射撃で頑張るからみんなも頑張って!って無責任だな俺。
ドローン合わせて何とかなっている。とはいえ、流石に上級者がいるようでセシルたちも苦戦をしている。
FCSなくても当てられるといいけど……。機体を制止してどれか一気に狙いを絞る。
『へ?FCSなし!?あんたできるの?覚醒なしでできるんだったらどんどんやっちゃって!』
「実戦ではやったことないけど、やってみる」
『誤射んないでよね!誤射ったらシャレにならないから!』
「お、おう!」
しかしFCSなしで……難しいな。覚醒時の俺はよくこんなわけのわからないことをやれてたよ……。早速ターゲットを一機決めた――
《天!気を付けてな!そっちに行ったよ!》
「へ?うわ!」
『きゃあ!』
紗季さんから切羽詰まった声でそう言われた。まずい、一機が俺に向かっている!
俺、ビビってるぞ……!……あれ?覚醒しない……。ビビり説も違うのか!うれしいような悲しいような……でも今は最悪だ!
《死ね!ひよっこが!》
敵がブレードを振るう。間に合わない!即AFを展開!
バチィ!ピシピシ……
ブレード一発でひびが入った。そこから連続でブレードで攻撃し……
パシャン!!!
AFが割れ、機体にダメージが入る!だが俺も負けじとブレードを振るうが、AFを展開するまでもないらしく、ブレードで防がれた。
さらに奥からもこちらに向かってきている!やばい、俺普通に大ピンチだ!
《くう……天、逃げろ!》
『に、逃げましょ!私たちこんなところで死にたくないわ!』
「あ、ああ!」
急いで逃げる。勿論背中向いて逃げるわけにはいかない。何もできなくなるから。後ろへブーストしながらEスナイパーを撃つ。しかし当たらない!
《さあお前たち、あざみ野だ!あざみ野を優先的に狙え!》
《《《了解!》》》
《オラ!大連の落ちこぼれ共!てめえらは援軍到達までほかの連中でも足止めしてな!》
《……っチ》
《……BSよりあいつらを殺したい……》ボソッ
ブラックローズの傲慢な態度に舌打ちしたり悪態をつくEUNアジアの兵士たち。この会話だけでもブラックローズは味方からも相当嫌われているとわかる。殺したい奴を殺せない……それだけでなく、そいつらが味方にいるからなおさらたちが悪いんだろう。
しかし援軍なんて来るのか……!俺、ここで死ぬのか!?全然終わりが見えない!まだ始まってばっかりだけど……やべーこえぇ……。
『あいつは【神速の剣豪】ラフシャーンよ!』
「道理で剣捌き……うわ!」
剣捌きが激しい!これが玄人の業か!素人の俺には到底まねできないし、俺の動きが読まれている。
白兵戦はいつも怖い……。冷や汗が流れてくる……
フッ――
『は!覚醒した!』
《覚醒来たか!よし天、ここからお前の出番だぜ!》
どうやら覚醒したらしい。なるほど、確かに恐怖心がなくなっている。
「ああ、任せろセド!」
『ん?』
《覚醒?関係ないな!》
任されたので、さっき俺を狙ったやつをシバク。関係ないとか言われたが、こいつも“フォース”なんだろうか?
後ろへバックする。相手も想定済みなのか、距離を詰めてくる。なんだこいつ、俺の動きが見えるのか?だが多少の距離が開いたところでスナイパーライフルを撃つ……
ピイィィ!!!ドオォォン!!!
やったか!?……とは言わない。何故なら、アニメや漫画などではそれは例のフラグになるからである。言わないけど言いたくなる。
『やった!?』
あ、おい……。
煙の中からそこそこダメージを受けたエルクが現れた。やっぱりなイヴリーン……。
『嘘!?あれで落とされないどころか、まだ平気そうじゃない!?』
「あのエルクは、エナジー耐性が高いらしい。案外前のスナイパーのほうが効いてたのかもな」
『えええええ!ちょっと何それ!?』
「まあ、エナジー耐性が高いのはこいつぐらいだろう」
《そうだ、天!ECM発生源の兵器をあと10機ぐらい破壊してくれない?土星みたいなやつ》
土星みたいなやつ?あの空中にぷかぷか浮いている奴か?輪が二つあるけど。
《!させるか!》
《おっと、天の邪魔はさせない!》
ラフシャーンが俺に向かって攻撃を加えようとするが、セシルがブレードで応戦してくれた。ほかの敵機も俺に向かってくるが、みんなが止めてくれる。いい連携だ。
《チぃ!大連の連中……役立たず共が!》
《おい!増援はまだなのか!?何をやっているんだあの連中は!?》
《見捨てられたんじゃねー?》プ!
《上層部は君たちを戦争の駒としてしかみなしてないからね。生きて帰ってこれたら儲けものしか思ってないんじゃない?》
《……貴様ら!》
レオンとお坊ちゃんの挑発でラフシャーンがブチギレたようで、ブラックローズはレオンとお坊ちゃんを狙い始めた。二人とも、ナイスアシスト。
普段から他人を煽っているくせに、本人らは煽り耐性はないのか……。
『ふん、レオンのくせに!』
「だがこれで土星を破壊できるぞ」
レオンの意外な活躍に嫉妬しているイヴリーンさん。そんなことより、スナイパーで土星型の兵器を破壊する。
《さ、させるか!》
《おっと、お前は俺が相手だ!》
挑発に乗らなかった奴が俺を狙うが……ってこいつEUNの人間か。勇樹さんがそいつを攻撃する。
「よし、これで最後」
最後の一発を撃ち、土星型の兵器をすべて破壊した。
“ECM濃度の低下を確認。システムが回復します”
『やったよ天!これでブラックローズを一網打尽よ!』
「よし、これで何とかなるな。増援が来る前にさっさと全滅させよう」
ここからは俺たちの反撃だ。ブラックローズが俺を優先的に狙ったためにホープ全体としては、そこまでの被害はなかった。……いや、意外とあるな。ドローンなんて三分の一程度しか残ってない。結構生き残っていたのに……。
《くそ!?まだか!?応援部隊は!?》
《だから見捨てられてるって。あきらめろよ………》
《犯罪者集団が!調子づくな!》
《挑発に耐性がないなこいつら。普段威張っててこれかよダセー!》
さらにセドリックが挑発を入れる。連中はきっと顔真っ赤どころか、湯気の出過ぎでヘルメットが曇っているに違いない。
しかしどうやら応援部隊は来ないようだ。やっぱり見捨てられたのか?
辺り一面爆発音が響く。今日はいつにもまして非常に激しいミッションだ。俺のEスナイパーで雑魚を狩る。当たり所が良ければAF貫通して、一撃で倒せる。
気が付けばあと5機。EUNは全滅した。ただ、さすがはブラックローズ。こちらの機体ダメージ率が64%だ。だが、相手のほうがもっと余裕がないだろう。よし、一気に決めて――
《ミッションエリアに敵機が接近しています!気を付けてください!》
《何!?》
《ッチ!まだ見捨てていなかったか……》
「ついに来たか……」
『早くこいつらをシバいて……』
《ハハハ!やはり神は私を見捨てなかった!見たか貴様ら!どうやら神に見捨てられたのは貴様らのようだ!》
《……!た、隊長!接近したのは……ブ…ブルースカイです!》
《……なんだと!?》
《……どうやら【ブラックローズ】ではなく、【明典たち】がここにやってきたようだな》
俺らだけでなく、結局あいつらも見放されたようだな。しかしこのタイミングはちょっと……。しかも明ちゃんたちか……。
《よう》
明典とソニア、それと部下がやってきた。でも数はそれほどでもないようだ。
《またお前か!》
《今日は俺もいるぜ?》
《わったしも!》
《げ!簡 書鳴とプリシラ・イーリィもいるよ……》
《こんな時に……》
セシルやセドが萎えるということは二人とも相当の腕利きのようだ。何もこんな時に来なくても……。
《ブラックローズの援軍はお前たちが倒したのか?》
《いえす》
《北京に行かなくていいのかよ!?》
《俺ら以外にも腕利きがいるしな。そこまで集まらんでも…と思って》
《ミランダたちは全部ナディちゃんにお任せですよ!》
《わざわざ戦いに横やり入れなくても…………》
《情報収集は大事だぞレオン君?》
「情報収集?」
《お前らとそこの隊長機だよ》
《……何が狙いだ?》
《教えるわけないやろ?》
そりゃそうか。でも情報収集なんてばらしていいのか?あえてばらしてるのか?
《ま、無駄話はそこまでだな。時間はそこまでかけたくないし》
『それはこっちのセリフよ!あんたらなんて一瞬で消してやるわ!』
《予想外の展開だが、敵はどのみち全滅させるだけだ。相手もダメージを受けているようだしな》
相手も手負いか……ならこちらにも勝機があるな。
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~イヴペディア~
*ちなみに【ブラックローズ】は人型と飛行型のみ保有している。全機黒をベースにした塗装。




